大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2011年10月19日 | 写詩・写歌・写俳

<47> コ ス モ ス
         コスモスに 塔の眺めの 奈良大和
  コスモスはキク科の一年草で、メキシコの高原が原産地の明治時代に渡来した帰化植物である。花が可憐でやさしい感じがするところからサクラになぞらえて秋桜(あきざくら)と命名され、日本人の心に融け込んで、 今ではすっかり定着して秋を代表する花になっている。仮に今日、秋の七草を選定するとすれば、コスモスを選ぶ人が多いのではなかろうか。
  大和でも毎年休耕田などに植えられ、その花を地域興しに用いたりしている。 田畑一面に咲く花で言えば、 春にはナノハナやレンゲソウがあり、夏にはヒマワリが見られ、秋のはじめにはソバの花が見られるが、これらは花だけでなく、 ナノハナやヒマワリでは種子から種油を採り、 レンゲソウは緑肥にし、ソバはその実からソバ粉を採るなど作物として本筋の用途が大きい。だが、 コスモスの場合は専ら花に目的があって植えられているのがわかる。
 私が知る限り、大和でコスモスと言えば、橿原市の藤原宮跡付近、斑鳩町の法起寺や法隆寺周辺、奈良市の大和高原に当たる阪原町、御所市の葛城古道一帯などがあげられる。ほかにも各地で見られるので、花の盛りである今の時期、大和を訪れるとどこかでその可憐な花に出会うことが出来る。
  写真は斑鳩の里の法起寺三重塔を背景の眺めであるが、コスモスの花はこのような古塔にもぴったりと雰囲気の合う花である。