<43> ワレモコウ
吾亦紅 吾も紅とは まことなり
暗紅色の小さな花を団子状につけるワレモコウを私は長い間花ではなく実であると思っていた。カバノキ科のヒメヤシャブシなどの実によく似ているからである。ワレモコウの花をよく見ると花弁状の萼片四個の小花が密に固まってついているのがわかる。 これが遠目には団子状に見える。一説には漢字で「吾亦紅」と書くが、ワレモコウになって訴えるこの名には日の光が射したところを見ると、その名に納得がゆく。濃い紅色が映えて実に美しい。
ワレモコウは全国的に分布し、棚田の畦などに生え、九月から十月ごろ一メートルほどに伸びた枝先にこの団子状の花をつけ、枯れても萼片の部分が残り、冬にもワレモコウと確認出来る。この花らしくない花は野趣があり、活け花などにも用いられる。ワレモコウの名の由来についてはほかにも説が見られるが、 私には「吾もまた紅なり」 と主張する花に寄せたこの説がおもしろく思われる。 で、冒頭のような句も出来た。