私が思うことは「個の確立」が喫緊の課題だということです。一人一人の人間が、考え、良き意志を持って、行動を起こしていかなければならないのです。
政治家も、メディアも、教育者も、親も、子どもも、一人の例外もなく、自分で考え、私利私欲のためではなく、社会全体としての理想を考え、人のため、国のため、世界のためという思いを持つことが大切だと思います。
「君子は義に喩り、小人は利に喩る」(『論語』)という言葉がありますが、君子(立派な人間)になることを理想だ絵空事だと嘲笑し、みんなが小人(つまらない人物)で良いじゃないか、人間そんなもんだと易きに流れ続けてきたのが、日本の戦後から今日に至るまでの日々だったように感じます。
それが戦後の貧しさから抜け出したい、人並みの暮らしをしたいということと相まって、誰もが悪気なく利に走り、それをメディアも政治も教育も、増幅してきたのだと思います。
「何も持たない、若者たちの、無欲無限の赤心が、日本の明日をつくるのだ」(『吉田松陰』という歌の歌詞)とあるように、肩書きや、背景にある団体や、学歴など関係なく、これからは、私たちは理想を掲げていかなければならないのだと思います。
そして、互いに敬う心、思いやる心、感謝する心を持たなければならないのだと思います。それが社会をより良きものに変革していく唯一の方法のように思います。