5月28日にメキシコ市で開かれた07年ミス・ユニバース世界大会で、日本代表の森理世さん(20)が優勝しました。日本人の優勝は1959年の児島明子さん以来、48年ぶり2人目だそうです。ちなみに、昨年のコンテストでは、那覇市出身の知花くららさんが2位に輝いています。
ミス・ユニバースの選考基準は、美しさ・知性・カリスマ性・外国語能力・人間性・健康美など、とても厳しいものです。数々の選考過程を経て優勝者が決まるわけですが、ここ二年間、日本人が上位に入ることが出来た理由は、1998年からフランス人のイネス・リグロンが、ミス・ユニバース・ジャパンのナショナル・ディレクターに就任したことが大きいようです。
つまり、旧来の「日本的美人」の価値観から脱却したこと。言い換えれば、国内向けの「日本人受けする美」から、国外向けの「世界に受ける日本の美」に方向性を転換した事が大きかったということでしょう。この発想は旧来の体質を引きずっていては決して生まれなかったと思います。
優勝した森理世さんは静岡県出身ですが、高校からカナダへ留学し、オンタリオ州 センティニアル高校を卒業していますから、カナダ代表になってもおかしくなかったはずです。
柄にもなく、どうしてミスコンなどを話題に取り上げたかというと、これからの、否、もう既に始まっている国際化の姿を示していると思うからです。まず第一に、日本でしか通用しない学歴には価値がなくなりつつあると言うこと。第二に、ミスコンですから肉体美も大切ですが、知性・コミュニケーション能力・外向的な強さといったプレゼンスが重要だと言うこと。第三に、自分の母国を忘れることなく、国際的な価値観にも対応しなければ、決して評価はされないと言うこと。その三点を強く感じたからです。
このマインドが、今の日本の教育界には決定的に足りないのだと思います。保守では世界に通用しないし、革新でも世界には通用しない。もっと本質的なスケールの大きさを教育界が追い求めて行かなければ、日本は世界の中で衰退して行かざるを得ないと思います。
森さんの言葉は新鮮です。「私はいつでも前向きで、逆境に強い人間。自分のやる事に信念を持ち、確実に目標を達成していきます。どの場面でも常にリーダーとして頑張ってきました。身に着けた英語力で世界中の方々と交流もしてきました。今後、より一層日本を世界にアピールしていきたいです。」
この信念ある、日本を愛し、世界に通用する20歳の女性を育てたのは、残念なことに日本の教育界ではなさそうです。