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未唯への手紙

未唯への手紙

ソーシャルワーカーの倫理綱領

2017年01月15日 | 7.生活
『福祉小六法』より

前文

 われわれソーシャルワーカーは、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に則り、サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する。

 われわれは、社会の進展に伴う社会変動が、ともすれば環境破壊及び人間疎外をもたらすことに着目する時、この専門職がこれからの福祉社会にとって不可欠の制度であることを自覚するとともに、専門職ソーシャルワーカーの職責についての一般社会及び市民の理解を深め、その啓発に努める。

 われわれは、われわれの加盟する国際ソーシャルワーカー連盟が採択した、次の「ソーシャルワークの定義」(二〇〇〇年七月)を、ソーシャルワーク実践に適用され得るものとして認識し、その実践の拠り所とする。

 ソーシャルワークの定義

  ソーシャルワークの専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人々のエンパワーメントと解放を促している。

  ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。

  人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。(IFSW:2000.7.)

 われわれは、ソーシャルワークの知識、技術の専門性と倫理性の維持、向上が専門職の職責であるだけでなく、サービス利用者は勿論、社会全体の利益に密接に関連していることを認識し、本綱領を制定してこれを遵守することを誓約する者により、専門職団体を組織する。

価値と原則

 I(人間の尊厳)

  ソーシャルワーカーは、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。

 Ⅱ(社会正義)

  ソーシャルワーカーは、差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす。

 Ⅲ(貢献)

  ソーシャルワーカーは、人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する。

 Ⅳ(誠実)

  ソーシャルワーカーは、本倫理綱領に対して常に誠実である。

 Ⅴ(専門的力量)

  ソーシャルワーカーは、専門的力量を発揮し、その専門性を高める。

倫理基準

 I 利用者に対する倫理責任

  1(利用者との関係)

   ソーシャルワーカーは、利用者との専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利用しない。

  2(利用者の利益の最優先)

   ソーシャルワーカーは、業務の遂行に際して、利用者の利益を最優先に考える。

  3(受容)

   ソーシャルワーカーは、自らの先入観や偏見を排し、利用者をあるがままに受容する。

  4(説明責任)

   ソーシャルワーカーは、利用者に必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供し、利用者の意思を確認する。

  5(利用者の自己決定の尊重)

   ソーシャルワーカーは、利用者の自己決定を尊重し、利用者がその権利を十分に理解し、活用していけるように援助する。

  6(利用者の意思決定能力への対応)

   ソーシャルワーカーは、意思決定能力の不十分な利用者に対して、常に最善の方法を用いて利益と権利を擁護する。

  7(プライバシーの尊重)

   ソーシャルワーカーは、利用者のプライバシーを最大限に尊重し、関係者から情報を得る場合、その利用者から同意を得る。

  8(秘密の保持)

   ソーシャルワーカーは、利用者や関係者から情報を得る場合、業務上必要な範囲にとどめ、その秘密を保持する。秘密の保持は、業務を退いた後も同様とする。

  9(記録の開示)

   ソーシャルワーカーは、利用者から記録の開示の要求があった場合、本人に記録を開示する。

  10(情報の共有)

   ソーシャルワーカーは、利用者の援助のだめに利用者に関する情報を関係機関・関係職員と共有する場合、その秘密を保持するよう最善の方策を用いる。

  11(性的差別、虐待の禁止)

   ソーシャルワーカーは、利用者に対して、性別、性的指向等の違いから派生する差別やセクシュアルー(ラスメント、虐待をしない。

  12(権利侵害の防止)

   ソーシャルワーカーは、利用者を擁護し、あらゆる権利侵害の発生を防止する。

 Ⅱ 実践現場における倫理責任

  1(最良の実践を行う責務)

   ソーシャルワーカーは、実践現場において、最良の業務を遂行するために、自らの専門的知識・技術を惜しみなく発揮する。

  2(他の専門職等との連携・協働)

   ソーシャルワーカーは、相互の専門性を尊重し、他の専門職等と連携・協働する。

  3(実践現場と綱領の遵守)

   ソーシャルワーカーは、実践現場との間で倫理上のジレンマが生じるような場合、実践現場が本綱領の原則を尊重し、その基本精神を遵守するよう働きかける。

  4(業務改善の推進)

   ソーシャルワーカーは、常に業務を点検し、評価を行い、業務改善を推進する。

 Ⅲ 社会に対する倫理責任

  1(ソーシャルーインクルージョン)

   ソーシャルワーカーは、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などから守り、包含的な社会を目指すよう努める。

  2(社会への働きかけ)

   ソーシャルワーカーは、社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のため、利用者や他の専門職等と連帯し、効果的な方法により社会に働きかける。

  3(国際社会への働きかけ)

   ソーシャルワーカーは、人権と社会正義に関する国際的問題を解決するため、全世界のソーシャルワーカーと連帯し、国際社会に働きかける。

 Ⅳ 専門職としての倫理責任

  1(専門職の啓発)

   ソーシャルワーカーは、利用者・他の専門職・市民に専門職としての実践を伝え社会的信用を高める。

  2(信用失墜行為の禁止)

   ソーシャルワーカーは、その立場を利用した信用失墜行為を行わない。

  3(社会的信用の保持)

   ソーシャルワーカーは、他のソーシャルワーカーが専門職業の社会的信用を損なうような場合、本人にその事実を知らせ、必要な対応を促す。

  4(専門職の擁護)

   ソーシャルワーカーは、不当な批判を受けることがあれば、専門職として連帯し、その立場を擁護する。

  5(専門性の向上)

   ソーシャルワーカーは、最良の実践を行うために、スーパービジョン、教育・研修に参加し、援助方法の改善と専門性の向上を図る。

  6(教育・訓練・管理における責務)

   ソーシャルワーカーは教育・訓練・管理に携わる場合、相手の人権を尊重し、専門職としてのよりよい成長を促す。

  7(調査・研究)

   ソーシャルワーカーは、すべての調査・研究過程で利用者の人権を尊重し、倫理性を確保する。

なぜ、教育は集団でやるのか

2017年01月14日 | 6.本
部屋が寒くて、本が読めない

 部屋が寒すぎる。寝て、本を読むために腕を出していると、凍えてくる。

 部屋の暖房が欲しい。2011年の3月11日の数日前に部屋で小火を起こした。小さなストーブからニュージーランドの資料に点火した。偶々、ノブが居て、助かった。それが3.11につながったと思っている。

 それ以来、布団乾燥機だけで過ごしてきた。

本はどのように書かれているのか

 本は皆、自分の体験をまともに書いているのか。記憶があまりにも鮮明すぎる。ほとんど、創作だと思う。俘虜記にしても人の名前を覚えているはずないし、言葉が鮮明に出てくるはずがない。どこから持ってきているのか。それともイメージでビデオのように覚えているのか。これを蓄積というのでしょう。

俳句の本

 言葉として、俳句にすること。その裏に膨大な事実と風景がある。

宇宙人を探すために本を読む

 本の中に宇宙人を探している。そんな感じです。何を書いているのか。当たり前のことを当たり前に書いている人。それで飯を食っている風景が見える。そこから、書いているのが宇宙人「独我論者」を見つけたい。

 何故、哲学の本がいいか、数学の本がいいか。それは自分のことを書いているからです。

なぜ、教育は集団でやるのか

 効率的なんでしょう。優秀な先生が少ないからでしょうか。松下村塾の時代なら、そうかもしれない。1;nの関係です。本来、教育というのは、1:1もしくはn:1です。アリストテレスはアレキサンドロスの教育係になったように。

 家庭も教育と同様にしていったらどうか。それとも、教育を家庭と同様にしていくか。そこから変化が始まる。

教育を変えるために

 教育を変えていくために、「教育とは何か」から圏が得るために、教育原理をOCR化した。単なる理念だけだった。何故、学校で教育なんだろう。それで生涯学習までの連続性が保証されるのか。逆に、生涯学習が教室スタイルになっている。考えているのだろうか。

 皆に教えるとなると、どうしても同調性になってしまう。教える人が少ないから1:nになる。皆が皆に教えるようにすることが配置と循環の考えに沿っている。

今週の図書館の新刊書

 今週の図書館の本は合っていない。ロクでもない感じ。それでも、9冊をOCR対象にした。

OCR化した本の感想

 『図説 日本の都市問題』

  「サービス産業の拡大と就業問題」をピックアップした。次の時代の仕事はサービス業しかないと思っている。農業なども六次産業として位置づけられる。作っているだけでは仕事ではない。使われて初めて、仕事になる。その中にはメーカーも入る。

  その時に重要なのはお客様ひとりに対応する高度サービス化です。サービス自体に意味を持たせて、付加価値を明確にする。スタバはコーヒーを売るのではなく、空間とか時間を売っている。その時に重要なのはスタッフの意識です。

 『中東崩壊』

  石油の地政学では、あまりにも見え透いた、アメリカのシェール戦略です。結果として、ロシアの石油戦略を崩壊させたが、ロシアをあらぬ方向に導いてしまった。プーチンのえんめいに寄与するカタチになってしまった。併せて、アメリカ自体の環境意識をないがしろにした。

  主要国の光と影では、チュニジアを取り上げた。第3次ポエニ戦争でカルタゴがローマに消失された。その時の思いが、チュニジア革命の発火点になった焼身自殺と結びついている。この歴史の連サの結果がいかなるものになるか。

 『2017年アメリカ大転換で分裂する世界立ち上がる日本』

  この著者も本の装丁も好きにはなれない。あえて、アップしたのは、最期の「EU加盟国のなかから自由、平等、民主主義が壊れていく」と言葉のためです。自由、平等、民主主義、これがどのようになっていくのかが未唯空間の歴史編の主要テーマだから、参考としました。

EU加盟国のなかから自由、平等、民主主義が壊れていく

2017年01月14日 | 1.私
『2017年アメリカ大転換で分裂する世界立ち上がる日本』より ⇒ 著者は仰々しい。「自由・平等、民主主義」を一纏めにしているところだけは合意できる。未唯空間と同じ。ただし、そしてどうなるかまで、未唯空間では述べている。超国家としてのEUでの実験から新しい社会が生み出される

「リベラル・ナショナリズム」という言葉をご存じだろうか。リベラル・ナショナリズムとは、「自由、民主主義、平等、さらにはマイノリティの保護のためにはナショナリズムが不可欠である」という考え方である。

たとえば、国内である程度の平等を追求するためには、累進課税などで高所得者層に負担を求め、社会福祉という分配政策を実施する必要がある。高所得者層が、税負担の増大と低所得者層への所得分配を受け入れるためには、「同じ国民だから」という同胞意識、仲間意識、連帯意識が不可欠だ。

現在のフランス国民などヨーロッパのネイティブな「国民」は、はたして国内のムスリムと連帯意識をもっているのだろうか。正直、とてもそうは思えない。

筆者は以前から、

 「中華人民共和国ではまともな社会保障は成り立たない」

と主張しているが、理由は同国には「ナショナリズム」がないためだ。

チベットやウイグルの人びとが、漢人の社会保障を負担することに納得するはずがない。それどころか、上海人が北京人の社会保障を負担することすら拒否するだろう。

中国人には「同族意識」は強く存在するが、「国民意識」はない。結果的に、社会保障は成立しえない。毛沢東のように独裁的に相互負担を押しつけるならば別だが。

また、民主主義は「多数決」である。多数決で負けたほうが、敗北に「納得」するためには、「ナショナリズム」が不可欠だ。多数決の敗者が納得しない場合、最終的には国民統合は壊れてしまう。

筆者は常々、

 「現在の日本政府が憲法9条の改正を国民投票にかけることは危険だ」

と主張している。

理由は、まさに日本国の国民統合が破壊されることを懸念しているからだ。改正派、改正反対派のどちらが勝っても、負けた側は納得しないだろう。

また、政治学的に「自由」とは、「選択の自由」を意味する。選択の自由を高めるためには、「ナショナリズム」に基づき、「母国語」でビジネスや文化を繁栄させる必要がある。

日本国民が比較的「職業選択の自由」を享受できているのは、わが国が曲がりなりにも「ナショナリズム」に基づき「日本語」の文化を維持しているためである。

たとえば、特定の職業に就くためには「英語を流暢に話さなければならない」という事態になれば、われわれの「自由」は相当に制限されることになってしまう。

実際、イギリス領インド帝国のインド住民は、行政の領域で働きたい場合、「英語」を流暢に話す必要があった。英語を話せない一般のインド住民は、インド庁で働くことはできなかったのである。

そして、マイノリティや少数派を保護するためには、現実には、「同じ国民なのだから、マイノリティの権利であってもきちんと守ろう」と、多数派が認識する必要があるはずだ。

たとえば、日本の「移民問題」といえる在日朝鮮人、在日韓国人に対し、多数派の日本国民が「反感」をもつのは、彼らが外国人であるためだ。厳密には、外国人でありながら、地方参政権などの「権利」を要求するためだ。

彼らが「朝鮮系日本国民」「韓国系日本国民」であれば、多くの日本国民が、「同じ国民なのだから、マイノリティの権利を守ろう」と思ってもおかしくないはずだが、現実は異なる。

すなわち、現在のヨーロッパが国内のムスリムを「同胞」として受け入れるためには、ナショナリズムを再構築する必要があるのだ。当然ながら、言語的にも「母国語」を強制する必要がある。それがむしろ、移民のためだ。

ジダンを引き合いに出して、多文化共生主義のすばらしさを説くのは簡単だ。とはいえ、現実の「国民」は、言語、文化、人種、そして宗教までもが異なる移民や難民が生きていくコスト(社会的なコストを含む)を、自分たちが負担することに簡単には納得しない。

納得するとすれば、それは彼らを「同胞」として受け入れている場合のみだ。すなわち、ナショナリズムが不可欠なのである。

メイ首相の発言を見るかぎり、「623国民投票」以降、イギリスはナショナリズムの再構築に大きく舵を切った。ナショナリズムの再構築を果たすためには、国民が「選挙」や「投票」によって意思を明確に示すことが不可欠である。

イギリス以外のEU諸国の国民も、ナショナリズムの再構築に乗り出す意思を示さなければならない。さもなければ、人類はEU加盟国のなかから、自由、平等、そして民主主義が壊れていく光景を目撃することになるだろう。

中東崩壊 リビアとチュニジアの光と影

2017年01月14日 | 4.歴史
『中東崩壊』より 主要国の光と影 ⇒ ポエニ戦争からの都市国家カルタゴの末裔として、チュニジアの将来に関心がある。

リビア--もう一つの失敗国家

 国土の大半は砂漠の原油大国

  リビアは地中海に面し、国土の大半が砂漠だ。沿岸部では降水があるものの、中部や南部は乾燥地帯で、農業生産が可能な地域は限られている。こうした地域では、複数の部族が遊牧などで生計を立てている。

  歴史的には、チュニジアと同じく、古代はフエニキア人によって都市国家として栄えた。7世紀にアラブ人が侵入し、16世紀にオスマン帝国の支配を受けてイスラム教が広く浸透した。1912年に「イタリア・トルコ戦争」でオスマン帝国がイタリアに敗れると、イタリアの支配下に入った。

  第2次世界大戦中に連合軍が占領し、英国とフランスが支配した。1951年に連合王国として独立し、69年にカダフィ大佐などが率いる民族主義の青年将校団がクーデターを起こして政権を掌握した。カダフィ大佐は、アラブ民族主義や直接民主制に基づく国家「ジャマヒリヤ」の樹立を宣言した。カダフィ氏は一切の役職から退いた後も「大佐」の称号で呼ばれることが多かった。

  カダフィ大佐は「汎アラブ主義」を掲げてエジプトやシリアと共和国連邦を志向したが、後にこの構想は頓挫した。カダフィ大佐はアラブ主義を掲げて列強の植民地支配を批判し続けたこともあり、欧米と対立することが多くなった。79年にエジプトがイスラエルと平和条約を結んだことも、強く批判した。

  リビアは豊富な天然資源で知られる。英資源会社BPによると、リビアの原油埋蔵量は約484億ハレルと、世界で10位の水準だ。天然ガスも豊富で、こうした天然資源を資金源としてアフリカ諸国に資金を援助し、アフリカ地域で大きな発言力を確保していった。

 孤立するカダフィ体制

  80年代から90年代にかけて、欧州でのテロ事件や米航空機の墜落事件にリビア政府が関与したとして、欧米はリビアに対して制裁を科し、リビアは国際的な孤立を深めた。

  大量破壊兵器や核兵器を開発しているとの疑惑が深まったことも、リビアの孤立に拍車をかけた。しかし、2003年に大量破壊兵器の開発計画の放棄を約束し、国連機関による無条件の査察を受け入れることで米英と合意。04年に米国はリビアヘの制裁を解除し、06年に関係は正常化した。

  国際的な孤立からは徐々に脱したものの、国内では、長期の独裁による汚職や言論弾圧、側近の要職登用など、弊害が目立ち、国民の不満は強まっていく。H年1月に隣国のチュニジアでベンアリ政権が崩壊すると、2月からリビアでも反体制デモが起きるようになる。カダフィ体制を敵視する欧米やペルシヤ湾岸諸国は、反体制派への支援を表明し、資金や武器を供与。カダフィ政権を支える国軍と反体制派との間で内戦状態に突入した。

 無秩序に乗じた「イスラム国」

  もともと、リビアはアラブ人が大半を占めるが、多くの部族が地域ごとに散在し、カダフィ政権の強権で辛うじて統一を保っていた側我がある。内戦により、多くの部族が武装するようになり、国軍から離反した兵士などが民兵組織を結成。カダフィ大佐は国営メディアに度々登場して「国を守れ」と訴えたが、同政権を欧米が見限り、反体制勢力の優勢となった。

  11年8月に重要拠点である西部のトリポリが陥落したことで、42年間続いたカダフィ政権は事実上崩壊。10月には民兵組織に拘束され、カダフィ大佐は殺害された。

  カダフィ政権が崩壊すると、これまで「反カダフィ」で連携していた組織同士が対立するようになり、今に至るまで内戦状態が続いている。国内には2つの議会が樹立されて国家は事実上分断状態となり、何度も統一国家の樹立で合意しても、その後事実上無効となる状態が続いている。

  こうした混乱に乗じて勢力を伸ばしたのが、過激派組織「イスラム国」(IS)だ。石油施設などを占拠して資金稼ぎを目的としているとも言われ、リビアがISにとってシリアとイラクに次ぐ拠点になるとの懸念が高まっている。

チュニジア--欧州を手本とし世俗主義に

 都市国家カルタゴの末裔

  チュニジアは北アフリカに位置し、北部は地中海に面する。中部から南部にかけては大半の国土は砂漠だが、首都チュニスなど、地中海に近い北部沿岸地域では地中海性の気候で、オリーブやかんきつ類などの農業も盛んだ。原油や天然ガスなどの埋蔵量は多くないが、リン鉱石は豊富で、主要な輸出産品の一つだ。

  紀元前には当時地中海沿岸で栄えたフエニキアの一部となり、紀元前9世紀頃にはフエニキア人が建設した都市国家、カルタゴが誕生した。今でも国内のあちこちにカルタゴの遺跡が多く残っており、世界的な観光名所で知られる。2010年から起きた民衆蜂起「ジャスミン革命≒が起こるまで、こうした観光地を訪れる外国人観光客による観光収入は、チュニジアの経済を支えていた。

  歴史的には、地中海貿易で栄えたが、現在のイタリア南部にあるシチリア島など、地中海沿岸の利権を巡る争いでローマ帝国と対立。3度にわたる「ポエニ戦争」で敗れ、カルタゴは消滅した。7世紀にはアラブ人が侵入し、16世紀にはオスマン帝国の支配地域に。

  オスマン帝国崩壊後はフランスの支配を受けるようになり、保護領となった。現在の公用語はアラビア語だが、国民には仏語が広く浸透しており、医師や高級官僚などのエリート層には、フランスヘの留学経験を持つ者が多い。

  第2次世界大戦後の1956年に独立して共和制に移行し、独立運動の指導者だったブルギ、バが初代大統領に就任した。ブルギバ大統領は宗教と政治・社会を分ける「政教分離」を重視。フランスに対抗しつつも、政治や社会の制度設計には欧州の価値観を積極的に取り入れた。

  国教はイスラム教としつつも、イスラム教が容認する一夫多妻制などを禁じたほか、一定の条件を課しながらも飲酒も容認した。中部や南部など農村地帯には保守的な風土が残るが、チュニスなど大都市では飲酒や喫煙をする女性の姿を日常的に目にする。

 不安定なジャスミン革命後の政権

  2010年12月17日、中部のシディブジドで青年が警察官に抗議して焼身自殺すると、瞬く間に抗議デモが全土に広がった。87年にベンアリが大統領に就任して独裁体制を敷いて以降、汚職や縁故主義、言論弾圧や強権姿勢がはびこり、一般の国民に不満が蓄積していたことが、この背景にある。翌年1月にベンアリ大統領が亡命して独裁体制は終わった(ジャスミン革命)が、治安や経済の悪化など、社会問題が深まった。

  ベンアリ政権の崩壊後にイスラム原理主義組織「アンナハダ」が政権を率いたことで、イスラム勢力の存在感が増すことに主に政教分離を重んじる世俗派が強く反発するようになり、両者の対立は深刻な社会問題となった。世俗派の政党関係者などが暗殺される事件が相次ぎ、国内ではイスラム過激派によるとみられるテロが相次いで起きるようになった。

  自由選挙による大統領選と議会選挙を通じて15年2月に正式政府が発足したものの、依然として治安の改善と経済再生が重要な課題になっている。

  リビアやシリア、イエメンなど、独裁が崩壊した各国では混乱が続く。民主的な過程を経て正式政府の発足にこぎ付けたチュニジアが再び混乱に陥れば、周辺国への影響も大きい。

  15年10月に、イスラム勢力と世俗派との和解を担った労働組合などの4者「国民対話カルテット」にノーベル平和賞が授与されたのは、チュニジアが民主化の道筋を着実に進むよう国際社会が支援するように促す狙いがあった。

  チュニジアが後世まで「アラブの春」の「唯一の成功例」と呼ばれ続けるか、今まさに分岐点に差し掛かっている。

石油の地政学 原油高、原油安は中東に何をもたらしたか

2017年01月14日 | 4.歴史
『中東崩壊』より 石油の地政学

シェール革命の影響は何か

 米国を世界最大の産油国に

  サウジアラビアなど従来型の原油で主導権を握ってきた中東の産油国を揺さぶっているのが、北米のシェールオイルだ。

  シェールオイルとは、地下深くにある「シェール」という頁岩の層に分布している石油の一種だ。ここにはシェールガスと呼ばれる天然ガスもある。2000年ごろに取り出す手法が開発され、本格的な生産が始まった。ガスとオイルを合わせて「シェール革命」という。米国は14年、サウジを抜き世界最大の産油国に躍り出た。

  シェールオイルの開発・生産が進んだことで、原油の供給は膨らみ、需要を上回り続けている。世界の原油在庫は過去最高の水準にまで積み上がった。これに対し大きな消費国である中国などの経済減速で需要は思うほど伸びていない。結果として、原油価格は落ち込み、なかなか上昇しない状況が長引いている。

 サウジの思惑

  石油輸出国機構(OPEC)が力を持っていたかつては、OPECの「盟主」を自負する最大の産油国サウジが油市場を安定させるため、自分の生産量を増やしたり減らしたりしてバランスをとっていた。このためサウジは「スイング・プロデューサー」(生産の調整役)と呼ばれた。

  しかしサウジは14年、もはやこの立場をとらないことを明らかにした。米国やロシアなどOPECに加盟していない産油国が自由に生産を増やす中では、サウジをはじめOPECだけが生産量を調節しても相場を左右することはできないからだ。サウジは自らの市場シェアを守る方針を鮮明にし、高水準の生産を続けた。

  原油市場はこの流れに売りで反応した。14年6月に1バレル=115ドルを超えていた原油価格は下落を続け、16年1月には一時1バレル=30ドルを割り込んだ。

  サウジの原油生産コストは極めて低く、シェールは相対的に高い。安値競争はサウジ自身にとっても痛手になるが、米シェール産業を採算割れに追い込み、市場から退出させる思惑がある。

  実際、米シェールの投資や開発は鈍ってきた。しかしシェールは投資のサイクルが短いため、原油価格が回復すれば比較的短い期間で生産を再び増やせる。サウジの思惑通りに事態が進むかは見通しにくい。

 「米国の中東離れ」とサウジの独自外交

  シェール革命の影響は相場だけにとどまらず、政治的な緊張の種にもなっている。シェールの生産拡大が結果的に、米国の「中東離れ」を招いているとの不安が中東の産油国にはある。米国がサウジを中東外交の要と見なし、同盟関係を築いてきたのは、中東からの原油供給を安定させる狙いがあったからだ。

  しかし自前のシェールの生産が増えると、米国が中東の原油に頼る必要は薄れる。サウジやアラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどは中東に展開する米軍に安全保障を頼っている部分が大きい。もはや米国がかつてほど中東に注意を払ってくれないとなれば、頼みとしてきた中東の親米国にとっては重大な事態だ。

  サウジで15年1月に即位したサルマン国王は、隣国イエメンヘの軍事介入やイランとの断交などで独自の強硬な外交を展開している。伝統的に親密だった米国の忠告にかつてほど耳を貸している様子はない。イエメンでの作戦にはUAEやカタール、バーレーンも加わった。オバマ米政権の中東への関与が及び腰だとみて、自らの安全保障を米国には頼らないとの意思を表しているとの見方もある。

原油高、原油安は中東に何をもたらしたか

 天国から地獄へ

  原油価格が1バレル=100ドルを超えていた2014年まで、中東の産油国は好景気に沸いた。豊富なオイルマネーをインフラの整備や都市開発につぎ込み、国内外で強気の投資が相次いだ。主役になったのが、原油輸出で得た多額のお金を集めて株や国債、不動産などに投資し、配当や利回り、賃料収入などを稼ぐ役割の政府系ファンドだ。カタールやクウェートなどの政府系ファンドが、有力企業の株や、欧州の高級ホテルをはじめとする不動産を買い集め、日本企業にもずいぶん投資したとみられている。国の「貯金」に当たる外貨準備は積み上がった。

  半面、財政のスリム化や無駄な事業の見極めは遅れた。やがて原油が出なくなる時代が来ることを見据えて進める必要がある産業の多角化や、人材の教育もあまり進まなかった。奇抜なデザインの高層建築や沿海部の埋め立てによるリゾート開発など、ぜいたくな投資が相次いだ。節約して本当に必要な分野に集中する必要に迫られなかったからだ。

  しかし原油安で、この構図は暗転する。原油価格が半分以下の安値に落ち込んだため、収入のほとんどを原油に頼る産油国は当然のように巨額の赤字に陥った。

  赤字を穴埋めするため、政府が銀行からお金を借り入れたり、借金に当たる国債を発行したりするケースが相次いだ。積み上げてきた外貨準備を取り崩し、政府系ファンドも保有する株や債券を売却して現金を手に入れようとしているとの見方が強い。

  サウジアラビアは15年秋に、急がないプロジェクトは実行を遅らせると発表し、すべての政府機関の新たな発注を一時停止した。契約済みの案件で、外国企業への支払いが滞った例もある。大手の建設会社で、従業員が賃金不払いに抗議するといった騒動も起こった。

 経済構造改革のチャンスだが

  湾岸の産油国は支出を減らそうと、これまで国民に大盤振る舞いしてきた補助金のカットにも動いている。アラブ首長国連邦(UAE)は15年にガソリンや軽油の小売価格を「国際市場価格に連動させる」として補助金を撤廃。サウジやバーレーン、オマーンも同様の措置をとった。アラビア半島の6カ国でつくる湾岸協力会議(GCC)は足並みをそろえて、日本の消費税に当たる付加価値税(VAT)を導入しようとしている。

  各国とも、教育や保健、電力・水インフラといった国の将来に必要な分野については支出を続ける構えだ。UAEのドバイでは20年に万国博覧会を、カタールでは22年にサッカー・ワールドカップ(W杯)を開催する予定で、こうした国際的なイペントのための工事は止めるわけにいかない。

  各国とも原油安のショックを和らげようとしているが、支出を絞らなければならない原油安の局面は、経済構造を厳しく見直す改革のチャンスにもなる。サウジは16年4月、向こう15年間の経済改革の道筋を示す「ビジョン2030」を公表した。経済を多角化し、原油依存から抜け出すという野心的な目標を掲げている。

  しかし過去にも原油安で改革への動きが一時は高まっても、再び原油価格が上向けば変化の機運がしぼむことが多かった。今回は「のど元過ぎれば熱さ忘れる」ということにならないのかどうか。補助金削減や新たな税金の導入はどんな国でも人気のある政策ではない。国民の不満が高まったとしても改革を実行するのか、産油国は覚悟を問われている。さが、エルドアン政権の弱点として再び浮上する可能性がある。

サービス産業の拡大と就業問題

2017年01月14日 | 5.その他
『図説 日本の都市問題』より ⇒ スタバのようなサービスの行動化への径を探りたい

(1)サービス業の概念とサービス産業の進展

 現代はサービス経済化が進展しているといわれる。サービス業のマクロ経済に占める重要性が高まる一方で、新たな就業問題が生じている。

 サービス業の定義は論者によって多様にあり、一意的に規定することは難しい。日常的には「サービス」の語を「無料」「割引」「おまけ」といった意味でも使用されるが、英語のserviceの動詞形であるserveは人に仕えるという意味である。そこから考えると、サービスとは自分の代わりに何かをやってもらうということになる。クリーニングは洗濯をしてもらうというサービス財という商品を代金と引き替えに交換している。ただし、サービス財は物財とは異なり、基本的には物理的実体のない無形既という特徴をなっている。サービス業は広義には第三次産業と捉えられる。一方、狭義には捉え方は多様であり、第三次産業から商業、運輸業、金融保険業、不動産業、公務等が除かれる。

 サービスの本質を「代行」と捉えれば、サービス経済化は基本的には分業の進展である。仮に夕食を外食で済ませるために1、000円かかるとしよう。自宅で作れば材料費は300円ですむが、料理の経験に乏しいAさんが満足に作れるようになるには相当練習する必要かおる。この場合、バイトで稼いだお金で外食するのが合理的である。では、料理が比較的得意なBさんの場合はどうか。この場合もライフスタイルや価値観の問題を別にすれば、外食した方が経済的に合理的なことが多い。食事の準備には買物を含めれば1時間は必要である。その時間をバイトで時給900円が得られれば、外食の方が200円分出費を少なくできる。企業間の取引でも同様であり、相対的に不得意な部門や間接部門はアウトソーシング(外注)し、自身は最も得意で稼げる部門に特化する。製造業包例外ではなく、究極的には今や世界最大の企業となった米国アップル社のような、自社工場を持だないファブレス化である。

(2)サービス業の分類と立地

 サービス業は、対個人サービス業と対事業所サービス業に大別される。対個人サービス業は主として一般消費者を対象としたサービス業で、飲食店・宿泊業、医療・福祉、教育・学習支援業、郵便局、洗濯・理容・美容・浴場業、旅行業・冠婚葬祭業等のその他の生活関連サービス業、娯楽業、宗教、放送業などが含まれる。対事業所サービス業は主として企業向けのサービスを提供しており、情報通信業(放送業を除く)、法律事務所・公認会計士事務所、情報処理サービス業・デザイン業等の専門サービス業、建築設計業・商品検査業等の技術サービス業、協同組合、学術・開発研究機関、廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、物品賃貸業、広告業、建物サービス業・警備業等のその他の事業サービス業、政治・経済・文化団体などが含まれる。

 サービス取引の基本的特性の一つとして同時性があげられる。たとえば、高級フレンチレストランで食事をするということを考えてみよう。単にフランス料理を食べるということなら、デパ地下で中食を購入して家で食べるということもできる。しかし、それは高級レストランでの飲食とは別物である。洗練された調度品、上品な雰囲気やもてなしなど、料理だけではなくトータルとして非日常性を楽しむには、そのレストランに出向かなければサービスを受けられない。つまり、サービスを提供する側と消費する側が時間と場所を共有している。この結果、サービス業は需要に近接しで立地することになる。換言すればサービス業は基本的に都市型の産業である。東京23区における立地をみると、対事業所サービス業は都心や副都心に多く、山于線の外側の近郊ではほとんど立地がみられない。干代田区・中央区・港区やターミナル駅周辺で、企業どうしが取引関係をもって集積の利益を受けている。一方、対個人サービス業は、対事業所サービス業に比べると分散的である。ただし、近郊の住宅地は相対的に多く、都心や副都心は少なく、城東や城南の中小工場が多い地区も相対的に少なくなっている。

(3)非正規労働者の増加

 近年、大学の新規学卒者でも正社員として就職することができず、非正規労働者として社会人をスマートせざるを得ない人が増えてきている。日本全体では、雇用者のうち30%以上が非正規労働者となっている。非正規労働者とは、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などとよばれ正規雇用以外の地位として働いている人のことである。非正規労働者は、正規労働者と比べて、労働時間が短いことが多い、契約雇用期間が短いといった特徴がある。

 非正規労働者の割合は業種によって差がみられ、対個人サービス業でその割合が高い。東京都においては、宿泊業・飲食サービス業(66%)、生活関連サービス業(52%)といった対個人サービス業で特に非正規労働者が多い。非正規労働者は一般に労働時間が短いことに加えて、給与水準が低いことも多いことから年間所得も低くなり、産業ごとの非正規労働者の割合と所得の関係をみると、負の相関の傾向がみられる。

 なぜ、対個人サービス業で非正規労働者の割合が高いのであろうか。第一に、サービス財は無形性という特徴をもつので、物財とは異なり在庫としてストックしておくことができない。しかも、サービスの需要は時間的に一定ではない。飲食業ならばランチタイムや夕方以降に客が増えるし、レジャー関連業ならば十日に需要が大きくなる。雇用者側としては、業務量に応じて柔軟に労働力を確保できる非正規労働者を雇うことが好都合である。第二に、サービス取引は同時性をもつことと関係する。サービス財は物財とは異なり、移動することができない。サービス業は、サービスを提供する側が消費者に対して接触する必要があるので、一般に労働集約的である。

 デフレが進行する中で人件費を抑制するには二つある。一つは、ハンバーガ一店に代表されるように、セルフサービス、つまり客に自分で働いてもらうことである。ただし、これには限界がある。もう一つは、賃金水準の引き下げである。物財の生産と消費の場は離れていても可能であるので、大都市の多くの製造業は、労働コストの安い地域に立地移動した。しかし、サービス業はそうはいかず、既存の正社員の賃金を大幅にカットすることも難しい。そこで正社員を採用する代わりに非正規労働者を雇う。この場合、労働時間や仕事内容は正社員と変わらないことも多い一方、低賃金や不安定雇用が問題となっている。

未唯空間のあとは未唯宇宙に取り掛かる

2017年01月13日 | 1.私
腰と胸が痛い

 昨日の夜から腰が痛くて、寝転がっていた。どんな姿勢をしても、腰が痛くて、胸が痛い。このまま、生きていけるのか。立ち上がれなくて、寝たままの状態で過ごした。8時からの予定が、またしても。今は10時半です。

 やはり、胸が心配です。原因を掴むことは出来ないのか。心臓外科ではないみたいです。加藤内科では他人事です。まあ、私自身が他人事ですから。

 未唯空間の見直しが終わった後遺症か? いつ、動けなるかもしれないことを前提に態勢を作り上げる。

 いつ動けなくなるか。入院しただけでも、ネットが絶たれます。その時に備えて、ネットのコンテンツを全て、オアシスに入れ込んでおきます。あれなら、潜り込んでも見ることが出来ます。

サラフィストが優れたソーシャルワーカー

 『アラー世代』でドイツの移民に関する本を読んでいた。サラフィストの方が優れたソーシャルワーカーである。日本にもキリスト教の布教で、青年二人で自転車で語りかけている。ああいうカタチでコミュニティのソーシャルワークとして、勧誘しているのでしょう。

 4世紀頃のアレキサンドリア図書館には、先鋭的なキリスト教徒が荒らし回っていた。最終的には、ああいう世界を作り上げるのでしょう。一神教の姿ですね。

未唯空間のあとは未唯宇宙に取り掛かる

 未唯空間第10章までの見直しが終わりました。次をどうしていくのか。当然、未唯宇宙の方に向かいます。参考文献の考察です。つまり、近傍系への拡大です。そこには、巨大な壁が横たわっています。正面からぶつかるのではなく、潜り込むか、飛び越えていくかします。

 それにしても、最終のところで「独我論」が出てきたのには驚きました。まあ、他者の世界との分離を出す以上は必然でしょう。

万年筆を試しましょう

 ボールペンで書いていると、指が疲れます。万年筆を試しましょう。

『哲学中辞典』は継続中

 『哲学中辞典』は後ろがいないので、また、借ります。何かと安心です。

OCR化した本の感想

 『アラー世代』

  ドイツの移民問題は第一世代の移民「外国人労働者」から第三世代の若者に移っている。ッドイツ社会に入り込むことをせずに、自分たちのコミュニティの中にいる。そのコミュニティはイスラム圏の国のコミュニティにつながっている。

  今や、コミュニティという単位で影響を受けている。その上に、イスラム国などの国境なき集団がいる。そのプロパガンダがソーシャルワークになった時の強みを感じる。

 『中国経済入門』

  中国の方向が世界の行方に影響を与えている。拡大でしか維持できない中国社会に持続可能性があるのか。世界を見て、自分たちの進路を決めるゆとりはあるのか。

  エネルギー・食料が自活するためには、人口問題を解決しないといけない。有効な手段はアフリカに押しやって、そこから持ってくると言うスタイルをとることになる。新帝国主義の変形になるだろう。

  本来の共産主義なら、全てのインフラの管理を国が行なっているのだから、環境問題は解決できるはずであるが、上からのMBA的な発想では13億人の挙動は制御できない。ただでさえ、地方分権の風土だから。環境問題は出たとこ勝負でしょう。

豊田市図書館の30冊

2017年01月13日 | 6.本
361.9『OECD幸福度白書3』より良い暮らし指標:生活向上と社会進歩の国際比較

291.01『図説 日本の都市問題』

498.53『カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの?』食べ物・飲み物にまつわるカガクのギモン

814.7『【図解】まるわかり時事用語 2017⇒1018年版』世界と日本の最新ニュースが一目でわかる!

019.9『「岩波少年文庫」のビブリオトーク』子どもの本の質が未来を変える

589.77『日本ゲーム産業史』ゲームソフトの巨人たち

936『とどまるとき』丘の上のアイスランド

335.89『NPO法人のすべて』特定非営利活動法人の設立・運営・会計・税務

332.22『中国経済入門』高度成長の終焉と安定成長への途

028『「100分de名著」名作セレクション』

019.9『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』

295.3『アメリカ西海岸』わがまま歩き ロサンゼルス ラスベガス サンフランシスコ シアトル

383.8『サラダの歴史』「食」の図書館

302.27『中東崩壊』

162.27『失われた宗教を生きる人々』中東の秘教を求めて

519『環境・CSRキーワード事典』

814『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』

336.3『女性リーダー4.0 新時代のキャリア術』

371『やさしい教育原理』

333.6『2017年アメリカ大転換で分裂する世界立ち上がる日本』

766.1『帝国のオペラ』《ニーベルングの指輪》から《ばらの騎士》へ

193『聖書入門』

369.12『福祉小六法2017』

372『生きるための知識と技能』

911.3『俳句と暮らす』

365.35『生き返るマンション、死ぬマンション』

336『ドラッカー思考法大全』

134.94『ニーチェ みずからの時代と闘う者』

331.5『ブルジョワ』近代経済人の精神史

103.3『哲学中辞典』⇒アトの人が居ないから、また、借りてしまった。よかった!

「知の統合」が価値の源泉 「統合脳」をどう作るのか

2017年01月13日 | 2.数学
『価値創出をになう人材の育成』より 「知の統合」が価値の源泉--「統合知」の戦略とその展開人材 ⇒ 数学とか哲学からの考察がされていない。市民の覚醒が前提になる。

「統合知」の役割はますます拡大する。そこで、「統合」目標を策定し、実現するために必要な「統合脳」をどう作るかの方法を示したい。

〔1〕大学での統合脳の訓練法

 大学の教育は、それぞれ専門別のカリキュラムと統合領域別のカリキュラムで構成されている。

 理系では、基本論理と応用論理を受講し、実験・研究開発やプロジェクトヘ参加して、異分野間の交流や共同研究・開発を行うことで、多くの融合/統合が可能である。また文系は、専門分野の講座、統合分野の講座、ゼミカどの自主研究などによって、社会課題に関する専門書や関連する融合分野の研究など多くの融合/統合がなされている。しかし,業績を評価する場合は、絞った領域での評価や学位がもたらされる。また、統合的な知の集積は、広くて浅い知として評価される傾向がある。これらを前提にして、統合脳を訓練する方法を二つ提示する。

 (1)「知の構造化」の訓練

  たとえば、新聞記事や専門書などを読む際に、必ずA4判で1枚にまとめる方法をとる。筆者の方法は、第1段階として、目次別に枠を作成し、まず1枚にまとめる。次に、内容を読みながら、要点のみを基本にして、何か書かれているのかをまとめる。その後第2段階として、その内容を構造化するための新たな枠組みと、相互関係が明確になるようにし、枠を作って、結論は何かをまとめる。

  事例として、司馬遼太郎著『義経』の構造化を考えてみる。義経の合戦の内容と推移、頼朝との根底的な違いとともに、その相克の根底にある大きな時代認識の所在、なぜ鎌倉幕府という新たな時代創造がなされ、決定的な時代転換になったのかを概観しまとめる。これはそれぞれの自己流のまとめで良いが、時代転換など大局的な展開と個別の展開とを区分してまとめてみるのである。これは、個別の事象も重要だが、さらに俯瞰的な時代転換構造視点の思考である。この方法により、日常の新聞記事や論文などを、内容を俯瞰して観察し、記述して、構造化をすることで、「統合脳」を鍛える。

 (2)実践的経験から「統合知」の訓練

  大学での学びや研究に加えて、実践的な経験の補強として、企業との共同研究やインターンシップが導入されている。米国などにおいても講義や討議以外に、企業などからの要望によるカリキュラムの再編や新たな講座が導入されている。しかし日本での共同研究やインターンシップは、能動的な動機付けが少なく、問題意識の深堀りによる統合脳への転換が脆弱である。そこでインターンシップなどを、自己鍛錬の「気づきの場」であり、自己の新たな学問的な深堀りやさらに不足する知への習得意欲を高める場として把握し、また大学自身が、新たなカリキュラム編成を促す手段として見直すことの重要性を示しておく。たとえば汀自己の習得した成果とその分野での課題」を明示する。「気づきとしてのインターンシップの場」では、①現場のデータとは何か、②データの管理基準の方法、③複雑なデータの関連付け、④意思決定ムカニズム、⑤新たなシミュレーション持術。⑥データ処理と意志決定の体系など、で研究と現場でのギャップが生じるが、この問題意識に基づき、さらなる研究テーマの設定をすることで、知識の深まりと新たな研究領域への動機付けが可能になる。

  またこの新たな課題が大学などの「新たなカリキュラム再編」へと反映されることで,常に最新の「統合知」が形成される。このプロセスは、理論脳と実践脳の統合知でもある。日本でのインターンシップが、学生の就職経験の場として理解されているのでは、日本の知の劣化はますます深刻になる。

〔2〕企業での「統合脳」の訓練法

 企業では、事業環境の現状分析と今後の見極め、競争条件と自社の位置付け、基本戦略、戦略実現の方法、開発のテーマの設定と実現、事業モデルの創造、事業計画、事業化/製品化による価値の実現プロセス、推進体制の整備など多くの段階での分析や思考が求められる。

 そこで、価値開発を考える場合、多様な開発事項や開発部門を取りまとめる人材の確保が喫緊となる。

 (1)さまざまな開発技術や開発部門の統合としての「意味設計」方法

  製品価値の開発には、概念設計、スペックの設定、個別要素技術のマッチング、調整ターゲット(レベルの明確化)、インターフェイス(個々の技術の全体最適化)、リスク管理(環境変動/競争条件変動/日程の変更など)

  個別技術の動機付けや市場開発マーケティングなどを、「統合知」として取りまとめる必要があり、基本設計後、開発目標に「意味設計」という「実践的な統合知」実現プロセスが重要になってくる。

  つまり、個別技術にはそれぞれの目標や到達ミッションがあり、必ずしも、最終目標までの各要素技術の明確なミッションと目標とが整合しない場合がある。そこで、「意味設計」という段階を置き、目標に向けて実現すべき個別の開発分野の方向性を明確に設定しなければ、「統合知」としての完成ができないことになる。

  意味設計はまず、明確な目標の設定である。これには、ぶれない最終完成目標、統合すべき機能、プロットタイプ、「なぜ?」に対する意味付けが必要である。

  この目標に向けての課題の構造化によって、課題の体系化、課題解決アイディアの抽出、解決の吟味と体系化を行い、各要素技術の集結を図る。その作業のうえで、「意味設計」の段階では、①個々の機能と目標となる機能の相違やギャップの明確化、②それぞれの構成する個別技術のスタンス相違の明確化と目標を実現するギャップの解消と説得、③新たな課題解決の設定、④相互調整と相互要素間インターフェイスの改善、⑤十分な討議と調整などを行い、全体目標に向けての動機付けや執念を強化することを、実現するためのプロセスに導入することが重要になり、これによって、新たな統合知の完成を行うことができる。この「意味設計」は事前に様式化して、記述をすることで、抜けのない意味付けの設計ができる。

 (2)成功条件先取りの戦略と実行プログラム法

  企業経営では、技術などの「統合知」以上に、さらに経営全体(開発/生産/販売/サービス/戦略/組織体制/経営風土/人材育成/権限移譲など)を推進し、持続的に収益を上げ,勝ち続けることがきわめて重要になる。筆者は、企業での経験をもとに、事業の成功条件を先取りして予測し、その実現策を様式に書き出し、異質部門を含めて全体討議を行いながら、各要素の整合性を図るとともに、実行プログラム(日程と責任体制)を実施する方法を提示する。これは経営のさまざまな要素の「統合知」を共有し、成功条件形成に向けて、集中的に実行する方法である。筆者のコンサルティング経験から、経営の全体系の構造と成功条件を各社の事業特性を含めて書きだして、全体を眺めるという作業を勧めたい。これによって、異分野の部門からの追加・修正も行い、整合的な成功条件かどうかを吟味確認するのである。また、組織全体に経営成功の「統合知」が形成され、実現に向けての明確な動機付けが形成される。

  さらに、経営には多くの事業リスクがあり、これらを統合的に視野に入れて経営しなければ、持続的な発展はできない。

中国経済の持続可能性 中国はみずからを養えるか

2017年01月13日 | 4.歴史
『中国経済入門』より 持続的経済成長は可能か? エネルギー・食料の制約と環境問題

人口と食料の推移

 改革開放以降の30年余りの間において、中国の食料生産量は大幅に増加した。それに、一人っ子政策による人口抑制の効果もあって、1人当たり食料生産量もこの間かなり増えた。米、小麦、トウモロコシといった主要穀物の自給率はこの間に95%以上を保っており、今日の中国は自力でみずからを養っているといえる。

 図が示すように、1985年から2015年の期間、総人口は33.4% (3億1、600万人)増えたが、食料の生産量はそれを上回る60.5%増だった(『中国農業発展報告』、『中国統計年鑑』各年版)。その結果、1人1年間の食料生産量は350~450キログラムという高い水準が保たれた。

 農業の大増産を反映して、米、小麦、トウモロコシは非常に高い自給率を維持している。全期間を通して米は生産過剰で純輸出の状態であり、トウモロコシは国内の畜産業の発展で飼料用の消費が増えたにもかかわらず、ほとんどの年で輸出超過となった。かつては年間1、000万トン以上の輸入超過であった小麦は、輸出入が均衡する状態にまで国内生産が成長している。輸入が急増したのは大豆および食用植物油である。1992年に輸入超過に転落した大豆は、2014年には7、100万トンの純輸入となった。これは同年の国内豆類生産量の4.4倍で、大豆の国際取引量全体の64%を占めた(2013年)。大豆の輸入増大は中国の貿易黒字を緩和する目的もあり、輸入元はアメリカなど既存市場からの割合が低く、日本とは真正面から競合してはいないが、中国の対外資源獲得戦略の一環と目されていることは確かである)。

食料需給の見通し

 中国の1人1日当たり熱量摂取は90年代半ば以降、日本のそれとほぼ同じ水準(2、800キロカロリー)に達している。今後、都市化や所得増加で消費構造が高度化し(植物性カロリーから動物性カロリーヘのシフト)、同水準の熱量摂取を維持するにしても、より多くの食料を必要とすることはいうまでもない。これは食料の間接消費(穀物などを飼料として家畜に与え、その肉や乳製品を食する)が増えるためである。しかし他方では、経済成長の過程で、就業構造が農業(肉体労働)から非農業(非肉体労働)ヘシフトしていくために、熱量消耗自体が減少する可能性もあり、直接消費の減少分によって消費構造の高度化を維持することはある程度可能である。

 1人当たり食料消費量は今後も400キログラムの水準に留まることが予想される。だとすれば、総人口のピークを迎える2030年まで、食料生産は年平均500万トン程度増産すれば足りることになる。これは年平均1%の増加率に相当するものであるが、ここ30年間の実績(1985~2015年が年平均1.66%増)を考えれば達成できないレベルではない。

 増産可能という判断の根拠について、以下の3点を挙げることができよう。田工業化や都市化などで耕地面積は若干減少するものの、中国政府は農地の転用を厳しく規制しているから、減少のスピードは日本など他の東アジア地域よりは緩慢である。(2)広東、浙江、江蘇など沿海地域の食料生産は過去十数年間たしかに減少してきたが、東北地域、中部地域の新しい生産基地が形成されている。食料の主産地が市場経済化のなかで大きく変化したのである。(3)米をはじめ、小麦、トウモロコシの単位収量については、潅漑施設などへの投資増大、品種改良を通して、今後、それを上げる余地はなお大きいといわれる。

 他に、流通システムの合理化、飼料利用効率の改善などで食料の浪費を減らすことも期待される。要するに、予想を越えた災厄に見舞われない限り、主要食料の基本自給はさまざまな政策努力によって実現可能と思われる。

 ところが、世界貿易機関(WTO)への加盟を果たした2001年以降、中国は国内の農業構造を調整し、適地適作を原則とした主産地の形成を促進する一方、比較優位論に立脚する農産物貿易にも力を入れている。具体的にいうと、野菜、水産加工、果物といった労働集約的食料品の生産と輸出を拡大しながら、大豆、食用植物油といった土地利用型の農産物輸入を増やすということである。ブラジル、アルゼンチンから大豆の契約生産・輸入を行い、近年アフリカまで食料生産資源の獲得に目を向けはじめている。

 中国政府は1997年に95%以上の食料自給率を国際公約として設定し公表し、いま(2015年)もそれを変えてはいない。主要穀物をみる限りでは、この国際公約が守られている。ところが、大豆、食用植物油、小麦、大麦(ビール生産用)などの輸入量を国内で生産する場合に必要な耕地面積に換算すると、2010年にはそれが3.8億ヘクタールに上る。輸出した野菜等の分を差し引くと、食料供給が海外の耕地に依存する割合(依存率)は2割強に達する。言い換えれば、作付面積をベースに考えれば、中国の食料自給率はすでに80%程度に低下している。同じ方法で2015年の食料自給率を試算してみると、それが70%をやや下回ったことも判明した。この観点で中国の食料自給率を中長期的に考えると、自力でみずからを養うという中国政府の公約は危うくなる。

 十分な外貨を持ち、不足分の食料を国際市場から調達することは日本、韓国、台湾も行っていることであり、非難には値するまい。しかし、中国の巨大さからして、基本自給の目標を放棄した場合の国際社会への影響は甚大にならざるをえない。当分の間は、高度成長がつづく中国の食料問題から目が離せない。