『アンダルシアを知るための53章』より
ついに世界のリーディング産業登場か、と期待されるスベインの産業部門が「離陸」した。それが「再生可能エネルギー産業」である。その中心が風力や太陽光・熱であるが、アンダルシア州の事情はスベイン全体の状況とは異なっている。その現状をみていこう。
一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの比率は、スベイン、アンダルシア州ともに約8%と依然として小さい。再生可能エネルギーが普及すれば、日本と同じ石油依存国であるスベインにとってはエネルギー自給率の向上を意味する。再生可能エネルギーはほぼ100%が発電に向けられることから、スペイン全体の再生可能エネルギーの発電許容量比率をみると、もっとも多いのが風力で全体の半分を占め、続いてコ・ジェネレーション、太陽エネルギー、水力、廃棄物、バイオマスとなっている。しかしアンダルシア州では、バイオマスがダントツの1位であり、2位が風力、太陽エネルギーが3位、水力が4位となっている。アンダルシア州のバイオマス生産は、同州主要農産物の一つであるオリーブ生産と不可分の関係にある。オリーブ生産量世界1位のスベインにおいて同州は一大生産地域である。生産面積(150万ヘクタール)はスベイン全体の約60%を占め、オリーブ果実生産では(年間平均約400万トン以上同じく約80%を占める。
オリーブ果実全生産量のうち93%がオリーブオイル生産に向けられる。これら果実のうちオリーブオイルに精製されるのは20%であり、残りの80%は搾りかすとなる。つまりオリーブオイル約70トンが生産されるのに対して、搾りかすが約300トンも副次的産物となるのである。これらがバイオマス資源に向けられる。さらにオリーブ樹木の派生物もこれに加わる。1ヘクタールのオリーブ樹木から平均3トンの剪定枝が生じるので、年間にすると、約200万トンの剪定枝が生じる。従来は、これらをオリーブ畑で燃やしていたが、同州が開発した専用機械で、剪定枝をバイオマス燃料用の木片に変えることで、バイオマス資源となった。さらに、ヒマワリ、ワタ、コメ、施設園芸作物、コルク、砂糖などから生じる農林工業残滓物もバイオマス資源に循環される。
オリーブ大生産地のハエン県、コルドバ県、グラナダ県では、これらの残滓物のバイオマス資源化を業態とする企業が約15社創設されている。また大小さまざまな規模のバイオマス発電所とバイオガス発電所も建設された。従来ならばいわば「お荷物」であった派生残滓物が再生可能エネルギーになることは、二酸化炭素削減に大きく貢献するとともに、地元産業・雇用創出効果という二重の効果という結果をもたらした。ただし、問題もある。オリーブ生産量はEU規模で生産調整されるために、それに比例してバイオマス資源供給量が左右されてしまうことである。
2004年までの州別風力総容量はガリシア州に次いでアンダルシア州が2位であったが、2008年では両州を抜いたカスティーリャ・ラーマンチャ州とカスティーリャ・イーレオン州が1、2位を占め、アンダルシア州は4位に位置している。風力発電設備は同州全体で91力所(2008年)設置されているが、とりわけスベイン最南端のカディス県に54力所と集中している。アンダルシア州の経済発展からみた問題は、地元企業・雇用を生んだバイオマス利用と異なり、州内風力発電設備メーカーおよびウィンドファーム運営会社をほとんど創出していないことにある。スベイン全体では2008年までの風力装置設置実績はガメーサ社が半分を占め、4分の1を外資が設置している。風力発電設備の場合、構成部品は約1万5000点といわれ、部品数は多い。したがって裾野産業創出効果は高い。アンダルシア州にはそれらの部品産業・企業がほとんどなく、多くは北部スペインに創出された。ここにアンダルシア州社会経済の問題がある。
太陽エネルギー利用という点では、年間日照時間が約3000時間のアンダルシア州は太陽エネルギー利用のメッカのように思われている。実際、太陽熱エネルギー施設の累積設置面積は、国内ではアンダルシア州がもっとも広い。個別ケースを見ても、アルメリア、グラナダ、セビーリャ各都市郊外に建設された新型施設は、将来の同国太陽エネルギー利用の発展を牽引していくであろう。しかし同州産業・経済の「離陸」という観点からすると、別の将来が見えてくる。
ついに世界のリーディング産業登場か、と期待されるスベインの産業部門が「離陸」した。それが「再生可能エネルギー産業」である。その中心が風力や太陽光・熱であるが、アンダルシア州の事情はスベイン全体の状況とは異なっている。その現状をみていこう。
一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの比率は、スベイン、アンダルシア州ともに約8%と依然として小さい。再生可能エネルギーが普及すれば、日本と同じ石油依存国であるスベインにとってはエネルギー自給率の向上を意味する。再生可能エネルギーはほぼ100%が発電に向けられることから、スペイン全体の再生可能エネルギーの発電許容量比率をみると、もっとも多いのが風力で全体の半分を占め、続いてコ・ジェネレーション、太陽エネルギー、水力、廃棄物、バイオマスとなっている。しかしアンダルシア州では、バイオマスがダントツの1位であり、2位が風力、太陽エネルギーが3位、水力が4位となっている。アンダルシア州のバイオマス生産は、同州主要農産物の一つであるオリーブ生産と不可分の関係にある。オリーブ生産量世界1位のスベインにおいて同州は一大生産地域である。生産面積(150万ヘクタール)はスベイン全体の約60%を占め、オリーブ果実生産では(年間平均約400万トン以上同じく約80%を占める。
オリーブ果実全生産量のうち93%がオリーブオイル生産に向けられる。これら果実のうちオリーブオイルに精製されるのは20%であり、残りの80%は搾りかすとなる。つまりオリーブオイル約70トンが生産されるのに対して、搾りかすが約300トンも副次的産物となるのである。これらがバイオマス資源に向けられる。さらにオリーブ樹木の派生物もこれに加わる。1ヘクタールのオリーブ樹木から平均3トンの剪定枝が生じるので、年間にすると、約200万トンの剪定枝が生じる。従来は、これらをオリーブ畑で燃やしていたが、同州が開発した専用機械で、剪定枝をバイオマス燃料用の木片に変えることで、バイオマス資源となった。さらに、ヒマワリ、ワタ、コメ、施設園芸作物、コルク、砂糖などから生じる農林工業残滓物もバイオマス資源に循環される。
オリーブ大生産地のハエン県、コルドバ県、グラナダ県では、これらの残滓物のバイオマス資源化を業態とする企業が約15社創設されている。また大小さまざまな規模のバイオマス発電所とバイオガス発電所も建設された。従来ならばいわば「お荷物」であった派生残滓物が再生可能エネルギーになることは、二酸化炭素削減に大きく貢献するとともに、地元産業・雇用創出効果という二重の効果という結果をもたらした。ただし、問題もある。オリーブ生産量はEU規模で生産調整されるために、それに比例してバイオマス資源供給量が左右されてしまうことである。
2004年までの州別風力総容量はガリシア州に次いでアンダルシア州が2位であったが、2008年では両州を抜いたカスティーリャ・ラーマンチャ州とカスティーリャ・イーレオン州が1、2位を占め、アンダルシア州は4位に位置している。風力発電設備は同州全体で91力所(2008年)設置されているが、とりわけスベイン最南端のカディス県に54力所と集中している。アンダルシア州の経済発展からみた問題は、地元企業・雇用を生んだバイオマス利用と異なり、州内風力発電設備メーカーおよびウィンドファーム運営会社をほとんど創出していないことにある。スベイン全体では2008年までの風力装置設置実績はガメーサ社が半分を占め、4分の1を外資が設置している。風力発電設備の場合、構成部品は約1万5000点といわれ、部品数は多い。したがって裾野産業創出効果は高い。アンダルシア州にはそれらの部品産業・企業がほとんどなく、多くは北部スペインに創出された。ここにアンダルシア州社会経済の問題がある。
太陽エネルギー利用という点では、年間日照時間が約3000時間のアンダルシア州は太陽エネルギー利用のメッカのように思われている。実際、太陽熱エネルギー施設の累積設置面積は、国内ではアンダルシア州がもっとも広い。個別ケースを見ても、アルメリア、グラナダ、セビーリャ各都市郊外に建設された新型施設は、将来の同国太陽エネルギー利用の発展を牽引していくであろう。しかし同州産業・経済の「離陸」という観点からすると、別の将来が見えてくる。