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井岡山の赤旗

『覇王と革命』より

南昌で蜂起した賀龍、朱徳らの共産党軍が、広東への脱出行に出て間もない八月七日、共産党は武漢・漢口で、緊急会議を開いた。毛沢衷が鉄砲による政権奪取を訴えたのは、歴史的に「八・七会議」と呼ばれるこの会議だった。二十三歳の小平は、この会議で初めて毛という人間を眼にしている。

会議では、国共合作の失敗を総括、陳独秀ら党指導者の「右傾日和見主義」を批判するとともに、土地革命、国民党の「反動派」に対する武装蜂起方針を決定した。蜂起地点として指定されたのは、共産党勢力が強い湖南、湖北、広東、江西の四省で、収穫期に農民が暴動を起こすことから、「秋収暴動」と呼ばれる。毛沢東は、湖南、江西省境での武装蜂起の指導を担当、元国民革命軍兵士、農民軍、鉱山労働者ら約五千人で編制した「工農革命軍第一師団」を率いた。この軍は、土地革命の渦中にある貧農らを吸収できた。

九月九日、毛沢東の蜂起は、広東-長沙、岳州-長沙を結ぶ鉄道線路の破壊から始まった。コミンテルンの指示に基づく共産党中央の命令は、長沙東方の省境の街・濡陽を奪取し、長沙を攻撃せよというものだった。だが、貧弱な暴動は、国民党軍の反撃、内部の裏切りの中で瞬く間に頓挫した。毛は長沙攻撃を放棄し、国民党の統治能力が手薄な農村に拠点を置いて軍事力を温存、再起を期すことを決めた。コミンテルンの指導厳守を訴える幹部との間で激論となったが、結局、実情を踏まえた毛の意見が通った。

毛沢東は、西の長沙ではなく、南の羅宥山脈に入っていった。

九月二十九日、山中の道を百五十キロほど南下した江西省内にある三湾という村に入り、約千人にまで減った残存兵力を再編し、「工農革命軍第一師団」を「工農革命軍第一軍第一師団第一連隊」と命名した。この連隊の中隊以上にはすべて共産党代表が置かれ、党が軍を指導する「党の軍隊」の組織構造を徹底した。「三湾改編」と呼ばれる部隊再編は、現在の中国共産党の軍である人民解放軍の雛形を作った重要な行動とされている。

毛沢束の部隊は、三湾からさらに三十キロほど南に進んだ茨坪という村に入り、土地の匪賊に銃七十挺を送って部隊をそこに落ち着けた。山中の匪賊にとって、銃七十挺など夢のような宝だ。毛にすれば、根拠地が要る。この土地は、三方に道は通じているが、いずれも、侵入するには長い山中の険路を通らなければならず、山岳防御拠点としてはきわめて優れていた。

この一帯の名は、「井岡山」という。毛沢東が初めて築いた農村の革命根拠地だった。この井岡山に赤旗が翻ったとき、中国は、中華人民共和国への第一歩を記した。痩せて神経質そうな面影の当時の毛には、やがて自身が北京の天安門楼上で百万の大群衆に熱狂的に迎えられる姿など、想像もできない。自らが建国の祖となることも、数千万の国民を餓死に追いやることも、ソ連を敵に回してアメリカ合衆国の大統領と手を握ることも知らない。とりあえずは、山中で、今後進むべき針路について考えた。
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天声人語 2012秋

『天声人語』より

「看板に偽り」の消費税

 看板に偽りあり、の仕打ちにやられた人は古今東西に数え切れまい。米国のある作家がこんな皮肉を言ったそうだ。「奇跡の薬とは、効能書きの通りに効く薬のこと」。

 日本の政治も似たり寄ったりだ。民主党が麗々しく掲げた政権交代の「効能書き」は、軒並み崩れて見る影もない。公約通りに行われれば奇跡、という政治では、怪しげな薬と変わらない。そんな呆れた総崩れに加え、またぞろ新たな「看板に偽り」の芽が萌えだしている。

 消費増税は「財政再建」と「社会保障の充実」のため、と聞かされてきた。その二枚看板に「公共事業」が割り込みつつある。増税で3党合意をした自民党など、「10年で200兆円」だと喧伝し、大借金どこ吹く風で景気がいい。

 公明党は少々控えめだが、それでも「10年で100兆円」を使えと言う。民主党の「コンクリートから人へ」はどこかに消えた。防災、減災の美名に隠れるような3党そろっての先祖返りに増税の目的はゆらりと揺れている。

 「庶民増税を打ち出の小槌にした新たな無駄づかい」という共産党、市田忠義氏の指摘はもっともだ。少子高齢化と天文学的財政赤字に向き合い、持続可能な国をつくるという大看板を、ゆるがせにしては困る。

 消費税を10%にすると歳入は13.5兆円増えるそうだ。国の財布が重くなって、心も軽く大盤振る舞い。そんな政治では、納税者は泣く。

民主党の孤城落日

 童謡の「どんぐりころころ」にもたとえられる民主党の代表選だった。三つのどんぐりがお池にころがり、どじょうと戯れた。そんな印象だ。消化試合とされた選挙での、番狂わせの匂いさえない野田首相の圧勝、再選である。

 といっても、しょせんはお池の中の争い。外に出れば、世間の風当たりはいまや暴風なみだ。19日に東京であった街頭演説会は激しいヤジに見舞われた。「帰れ」「うそつき」の怒号もわき、辻立ちで鍛えた首相もだいぶ参ったように聞く。

 それにしても、迫力と盛り上がりを欠く代表選だった。自民党の総裁選が同時進行して「ダブル党首選」とも言われたが、レコードでいえばこちらがB面だろう。針を落とせば流れる童謡に政権党の孤城落日はきわだつ。

 もっともA面の歌も歌手も、さして新味があるわけではない。総裁選の5人は「七光リ」の二世らばかりで、風を読んだようなタカ派的発言がもっぱらだ。下野して3年、党を変え、出直しを図ったという実態はよく見えてこない。

 日本の国力低下を国民は感じてはいた。だが今回、領土をめぐる近隣2国の態度にその思いをいっそう強くした人は多かろう。

 腰の定まらぬ政治の責任は大きい。外から敬意を持たれ、信頼される政府を持てないものか。高望みなら、せめて平均点で機能する政治がほしぃ。民主にせよ自民にせよ、それとも他にせよ。
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市民意識を育てる

市民意識を育てるには

 本当にダメな国です。あまりにも考えていない。国のことも生活のことも。どこからやっていけばいいのか。やっぱり、市民意識を育てるしかないでしょう。

 戦争をしたがっている連中が跋扈している。平和のじり貧に飽きているのでしょうね。それは市民意識とは異なります。だけど、市民意識から変えていくところはないです。何しろ、市民が考えていないから。市民が考えること、それを武器にできることのためにすべきこと

 やはり、コミュニティの多様化しかない。政党では無理です。色々な考えをそこに集めていく。一人をもっと分化しないといけない。

シェアを考えている

 テレビで、BMも電気自動車にあたって、シェアを連携していたと述べていた。この会社はいつ、シェアの概念を出してくるのか。

 出してきたとしても、自分たちだけでやる類でしょう。それはリース会社の発想ぐらいです。コミュニティとつなげる発想がない限り、エコは成り立ちません。これは店のエコと一緒です。自分たちだけで片付けられるものではない。主導権を渡すということです。

 それをもとにして、コミュニティは人を集めることができます。それを目的にできれば、地域エネルギーなどの営利をカタチづけられる。行政という、税金を使うというカタチでなく、市民からのボランティア意識です。

サファイア事務局

 サファイア事務局は、皆に動いてもらうという機能です。事務局自体が支持される必要はありません。それぞれが動いてもらって、それぞれが答えを出していくための政党です。サファイア循環の中で、いくらでも位置づけできます。

 循環の基本は下から上にあげる、ローカルからグローバルに上げる提案です。それでもって、自分たちを変えていく。政府を変えてもしょうがないです。

 当然、ローカルのエンパワーメントにも働きかけます。そうやって考えると、今一番重要なのは、エンパワーメントかもしれません。当然、意見を言うところもあります。ローカルの活性化がポイントです。

 ローカルで考える部分をどう救っていくかです。商品という側面だけで、空間を切ればいいです。商品と言っても、使い方もあるし、道路もあるし、コストもある。

 それぞれの立場で、どうしていくか。いかに最適化を図るか。駐車場とか、ふだんは動いていないという側面で切り込めば、次の時代が見えます。そのサンプルはオランダにあります。エネルギーもお金もないところから、いかに皆が豊かになるかを考えてきた。
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