「差別は生まれてから学ぶもの」は主に人種差別を差しているものだが、
最近の消費者の「虫」に対する極端な拒絶反応振りからも同様の印象を
持たざるを得ない。
農産物に虫が付着していたり虫の食害の痕跡があったりすると返品となる
ことから、生産者は農薬をタップリ使って虫を根絶するようになり、消費者
は農産物を通して「虫」を意識する機会は皆無となった。
それで「メデタシ、メデタシ」となり、その陰で健康被害や自然破壊が
急速に進展していることには無頓着となっている。
毎日新聞「余禄」2023.8.27から
奈良県橿原(かしはら)市の昆虫館は、飼育するチョウを温室で観察できる。
だが元館長の学芸員、木村史明さんは「ここ10年くらいで虫を極端に怖がる
子どもが増えました」と心配する。同館は、子どもたちが虫に触れられる機会を
できるだけ作ろうとしている▲大人がやみくもに虫を怖がると、子どもに影響
するといわれる。開けた窓から虫が飛び込むと、つい大騒ぎしがちな自らも
反省したい。正しい知識を伝えるとともに、昆虫への愛着心を育みたい、
虫めづる国の子どもたちだ。