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毎日新聞「余録」

2016-05-07 21:03:50 | 社会


5月3日の憲法記念日に掲載された毎日新聞の「余録」が興味深かったので紹介したい。


(今日は一日中「代かき」に追われた)

「余録」(毎日新聞2016.5.3)

「例外のない規則はない」という規則に例外はあるか?
あると考えても、ないと考えても矛盾にはまる。頭がこんがらかるこの手の話をパラドックス(逆説)という。
どうも憲法にも「例外のパラドックス」問題があるらしい。
災害や有事の際、人権などの憲法秩序を一時停止して政府に非常権限を与える案が改憲の主要テーマに浮上している
憲法記念日である。この権限は「国家緊急権」ともいう。しかし政府が憲法を破れる条項を憲法で定める「例外」は
パラドックスを産まざるを得ない。

政府の非常権限を厳格に定めれば緊急事態で破られる可能性が増す。逆に抽象的に規定すれば権限の乱用の危険が高
まる。このジレンマは「国家緊急のパラドックス」といわれる。(佐藤幸治著「日本国憲法論」成文堂)

ドイツの基本法が冷戦下で導入した緊急権条項は非常事態の分類や乱用への歯止めを厳格に定める多数の条項からなる。
だがどんな規定もジレンマから逃れられない。併せて設けられたのは、憲法秩序を守る市民の側に超法規的な「抵抗権」
を認めた条項であった。もちろんナチスによってワイマール憲法の緊急権条項が国家乗っ取りに利用された歴史が背景
をなしている。民主的に選ばれた多数派であろうと民主主義や人権の破壊は許さないのが憲法の役目だが、国家緊急権が
その抜け道に使われた。「例外」の恐ろしさである。

緊急事態条項は当の憲法秩序を守るぎりぎりの選択肢というのが論議の前提だ。もし憲法の制約を疎んじる政権が、
現実の必要と関係なく改憲しやすいテーマと思っているのなら、それこそ非常事態だろう。


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