![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/c5/6f5ea1acb1ae52e4a86eb3eb5beef403.jpg)
北のカナリアたち/阪本順治監督
元小学校の教師だった女性に、20年前の教え子が殺人容疑で失踪していることを知らされる。女性はその頃北海道の離島で、その児童を教えていた。それで当時教えていた6人の児童を訪ね歩く旅にでるのだった。そもそも20年前に、その島に一緒に来ていた夫を事故で失っていた。当時の児童たちの関係と自らの事故の謎と共に、失踪した児童の行方が明らかになるのだろうか……。
基本的には謎解きミステリだが、原作が湊かなえで、人間関係のドロドロしたようなところが随所にみられる展開になっている。女教師は音楽的な才覚があるようで、6人の児童たちをまとめるために合唱をすることになる。それが題名のカナリアに通じているわけだが、児童たちはみるみる歌の能力を開花させ、コンクール出場を果たすことになり、小さな島では、大きな期待を集めることになっていく。そうして、注目の中に重圧も大きく、その息抜きのために夫の提案でバーベキューをすることになり、その折に事故で夫が亡くなってしまったのだった。
北海道の壮大な風景と共に物語は展開されるのだが、資料によると、この撮影のために小学校の校舎も背後の風景に合うよう建設されたものだという。僕は映画を見ながら、機会があったらこの学校を見てみたいと思ったほどだった。まさに素晴らしい調和がある風景だと思ったが、それにあわせて作られていたとは……。
確かにそういうこだわりのようなものが感じられる作品にはなっていて、さらに若い頃もそのまま演じている吉永小百合の存在もすごいものである。里見浩太朗と親子を演じているのだが、さすがにそこまで年が離れてはいないことだろう。
まあ多少ミステリの真相には、ちょっと変なところが無いでは無いが、人間の関係というものは、そういうものがあるということなのだろう。