17歳/フランソワ・オゾン監督
女子高生が夏のバカンスでドイツの青年と初体験を済ませ、その後は売春を重ねる話。しかしある客が腹上死(実際は下だったけど)してしまい、そのままホテルから逃げ出してしまうのだったが……。
家庭に不満があるわけではなく、名門の学校に通っている美しい少女という感じなのだが、発情期というか、性的にかなり不満があるという感じである。しかしながら性体験してみると、思っていたものとはちょっと違う感じなので、女なので売春という形で、さまざまな男と試してみるということなのかもしれない。その中の一人は少し老人で、そうして後に死んでしまう訳である。なんだか少し合っていた感じだったのに残念、ということか。
しかしながら、これは一種の男の欲望でもあって、こんな思春期の女性と相手が望む形で性行為をしたいというフランス人の欲求のような夢だろう。彼女らは、ふつうに年恰好が同じ男たちと交わるのが普通であって、相手になんかしてくれない。いちおう売春がある訳だが、そういう必要性のある女には、この微妙な年ごろの妖艶さが足りない。プロとしては物足りないが、素人としての罪悪感もない。そういう都合のいい女を描くとしたら、こうなってしまったということなのかもしれない。スケベな国民性が、望んだ形で描いたら、奇妙な女性像が生まれてしまったということなのだろう。実際のところ訳が分からないのだが、反抗期と欲求不満が重なると、いわゆるこういう理由になると考えたのだろう。
原題は「若くてかわいい」というような意味のようで、主演の女優さんが、若いわりに大人びて美しい様であることで、そういうことを映像的に最大限に活用している感じもする。ちょっと痩せすぎていてエロとしてはどうなのか、という感じもするが、まあ好みもあるので、これがいい人もいるのかもしれない。売春は犯罪なのだが、十代の売春なので大人だって悪いんじゃないの? という設定にしている訳だ。今はSNSがあって、犯罪組織に関わって売春をやっているわけではない。自分の価値として一定の金額を報酬としてもらう。ふつうのバイトの4,5倍は頂くわけで、そういうもので自分を確かめている、ということかもしれない。同世代にはそのような財力は無いし、そうしてそういう自分の価値を見出せる力量さえない。高級なホテル代もあちら持ちなので、そういう総体的な意味もあって、反抗を続けているわけだ。そうしてそれなりの意味を見出そうとしている矢先に、トラブルに見舞われ、なんだかちょっと失敗したな、という感じに陥ってしまった。正気に戻ってみると、なんてことの無い愚行だったのだが、いまさらこれを誰に説明できるものでもない。まあ、映画になったので、それはそれとして観る人に考えてもらうよりないのかもしれないのであった。