カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

音の再現を体験する   BLUE GIANT

2024-06-06 | 映画

BLUE GIANT/立川譲監督

 原作は漫画のアニメ映画。しかもジャズを扱う音楽映画でもある。高校卒業後世界一のプレイヤー(サックス)を目指して、仙台から男が上京してくる。ちょっと強引に高校時代の同級生を頼って居候である。とりあえずジャズをやっているらしいバーに入るが、今は店で演奏はやってないらしい。それで、そこのママに教えてもらった店に行くと、素晴らしいピアノ・プレイを見せる青年と出会う。ところがこのピアニストがとんでもないビッグマウスで、まあ、自分と同じようなものなので意気投合して、日本のジャズを変えようと意気込むことになるのだった。
 後に彼らの情熱にほだされ、同居同級生がドラマーとして死に物狂いの練習を積んで参加するようになる。そこからは怒涛のジャズプレイが炸裂するという訳だ。
 もとは青年漫画だからだろうか、やたらといきがってみたり、バトルを意識してみたり、ちょっと感情的に激しい。心意気はそれでいいところもあるのだろうが、音楽、特にジャズというのは、共感でプレイが連鎖したりするのが楽しいのではなかろうか。うまいプレイヤーには刺激を大いに受けるだろうけど、そうでなくともそれなりに、というのが、まあ音楽的には楽しくていいのではないか。個性というのはそういうものなんだし。まあ、競わないと飯が食えないというのであれば、説得力はあるかもしれないけれど……。
 もっとも、アニメで音楽映画というので、おそらく陰で一流のプレイヤーが演奏していたはずである。そういうプレイがなんだが、やはり映像とも合っていて、なかなかに素晴らしい。一応の物語があるのは分かるが、やはりこれは一種のライブ体験(ライブじゃないけど)というものに近いのではなかろうか。何となくプレイそのものが成長しているようにも感じられて、演奏はよくできてるな、と感心した。映像は、それを助長させる役割であるというか、そんな印象も受けた。漫画で音を表現するのは、本来は想像力だが、音がそこにあるなら、映像は真逆のものに変貌する。おそらくそのギャップが、このアニメ映画の魅力になっているはずである。世の中には妙なことが起こるものである。そうしてそれを実現したいと考える人がいて、現実にそのようになる。僕らはそれを体験したらいいのである。
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