渇き/パク・チャヌク監督
人の生死の無常さに悩む神父が絶望を覚え、致死率の高い伝染病の治験に臨むことにする。事実上の自殺だったはずなのだが、奇跡的に生き残る(生き返る)と、神父はバンパイヤになってしまっていた。病症が進むとできものができたりして大変だが、血を飲むとみるみる復活する。そんな神父が、家畜のように虐待を受けながら献身的に家族に奉仕する若い女に恋することになるのだった。
ちょっとなんだか分からないかもしれないが、この血がドバドバする感じは、いかにも韓国映画である。同じ東アジアでも肉食は違うなあ、という感じである。とにかく気持ちが悪い。古典的な西洋映画だと女性の首をガブリと噛んで生き血をすする訳だが、この神父さんは、点滴から血を抜き取ったり、尖ったもので刺して噴き出る血を飲んだりする。いちいち殺して回ると死体があふれることになるので、取った血は冷蔵庫に保管して飲んだりもする。そういうところは合理的だが、しかし恋した若い女といろいろ致すことになってから、派手に人生が狂いだすのだった。
いつの間にかバンパイヤとゾンビはごっちゃになる傾向にあって、この映画もバンパイヤとして超人化するとほとんど不死身(傷ついても復活する)になって、人間はとても太刀打ちできない。バンパイヤ同士で争うと、それなりに強い方が勝つようだが、しかしこれを止めることは、なかなかに難しそうだ。女の家族は非常に問題があって、次々に妙なことになっていくのも見どころだが、とにかく破滅的なことになっていって、どうなるのかどうかもどうでもよくなるような感じになっていく。まあ、派手と言えばそうなのかもしれないが、こういうのが好きな人にはたまらないのかもしれない。実際それなりに評価された映画のようで、そのために僕も観たのだろうけど、勉強のためには一つの教養として観ておいてもいいのかもしれない。気持ち悪いですけど。