カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

年の差は、アリであるはずだけど   恋は雨上がりのように

2021-10-30 | 映画

恋は雨上がりのように/永井聡監督

 原作は漫画であるらしい。さらにアニメ作品もあるという。この映画がそれらをもとにどれだけ忠実に作られているかは検証するつもりはないが、映画の尺の関係もあるので、ずいぶん端折られているのではないかと推察はされる。
 主人公の女子高生は、アルバイト先のファミレスのさえないオヤジ風の男に恋心を抱いている。元陸上部で、短距離の全国レベルのトップのスター選手だったが、アキレス腱のけがで戦線離脱している。お話はこのちょっとあり得ない年の差恋の行方と、実はこの主人公のレスポンスの高さから、この年頃の階級社会のありようのような背景が描かれている。それは主目的では無いにせよ、さえないバツイチの中年男性が卑屈にならざるを得ない状況であることを浮き出させており、さて、どうなるのか? ということなのだろう。
 しかし映画だから、主演の小松奈々と大泉洋との関係を見ると、それはあり得るというように見える。学内の関係と、ファミレスの他の従業員の恋の駆け引きは僕にはよく分からない感覚だったけれど、それが世界観というやつだろう。なんだか若者というのは階級が激しいな、という気がしたが、だから仕方がない。
 僕は中年男性よりも年上だし、そのあり得ない気持ちはよく分かるけれど、しかしながら人類の歴史的な恋愛ということにおいては、別段あり得ない話ではないし、むしろありふれているようにも感じるのだが、それは前提としておかしいことになる。主人公の女子高生は母親と暮らしているのだが、父の気配が無く、母子家庭なのかもしれない。それは重要な描かれ方はされていないが、一つの要素ではある。さらに店長の男は、作家志望で、有名な作家の友人もいる。さえないといっても客に誠実に謝るし、激高して従業員をしかりつけるようなことは絶対にしない。特に仕事ができすぎるわけではなさそうだけど、店長である。休みの日には小学生くらいの息子と遊んだりしている。モテる男ではないかもしれないが、十分にいい人間ではないか。
 ということで、少女から大人への成長物語のはずでもある。僕なんかは、これが「セーラー服と機関銃」だったわけで、時代も変わったな、ということでしょうかね。まあ、全然違いますか。
コメント
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