カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

まともなんて糞くらえです   まともじゃないのは君も一緒

2021-10-27 | 映画

まともじゃないのは君も一緒/前田弘二監督

 予備校講師の大野は、割合イケメンなのだがいわゆる空気の読めない数学オタクのような人間で、そもそも人間関係を上手く構築することができないし、苦手すぎてあきらめてもいたようだ。その生徒である香住は、大野を馬鹿にしながらも教育することによって、憧れのカリスマ経営者とその婚約者との仲を引き裂く材料として利用しようとする。飲み込みは悪く教育しがいのある大野は、それでも香住の言うことは良く聞いて、カリスマ経営者の婚約者の女性に近づき、かなり好感を持たれるようになっていくのだったが……。
 前田監督持ち前の、思い込み計画が上手くいきながら微妙に意味がずれて展開していく物語炸裂の痛快コメディである。僕は元々この監督の傑作「婚前特急」の大ファンであるからして、この展開は非常に美味しかった。ちょっと性格が悪いけど可愛い女である吉高由里子だからこういう映画が最高だと思っていたけど、割合清純そうな清原果耶が演じても十分に行ける手ごたえが感じられた。まあ、ちょっと意地悪なところがあるけど実はまっすぐ、という女の子像は、基本的には変わらないのかもしれないが……。また、そうした女は、同じ女からはそんなに好かれないのかもしれないが(しかし世渡りは最低限下手ではない)、つまるところ監督を含め(恐らく)多くの男の理想像なのではあるまいか。
 男女間の恋愛については詳しいと自負しているが、実は自分は恋愛実体験は未経験という妙な女子高生はそんなにいるはずはないが、人間関係の下手な青年は世の中にごまんといるだろう。しかし彼の強みは、実はちゃんとイケメンであるということだ。そういうことになると、やっぱり世の中には、そんなに存在しない人間かもしれない。だからこそこれはファンタジーであるのだけれど、面白ければそんなことはどうでもよくなることなのである。実際映画を楽しんだ上に、世の中のモヤモヤしたものがなんであるのか、いろいろと考えさせられることにもなる。しあわせになるというのは、多少自分勝手であっても、自分の思うようにした方がいいのだ(たぶん)。ということで、これを観て元気になってください。
コメント
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