カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

コンビは決まった人と組もう   僕たちのラストステージ

2020-08-13 | 映画

僕たちのラストステージ/ジョン・S・ベアード監督

 大人気を博した伝説のコメディアン、ローレル&ハーディの晩年の姿を現したドラマ。事務所の契約の関係のこじれで、一度はコンビを解消していたが、全盛時代から時代を経て、16年後に再び英国の地で、コンビを復活させ劇場を回るようになる。もっともその勢いで、映画会社との契約も勝ち取ろうという思惑もあるようで、水面下では交渉が続いている。いくら以前に時代を風靡したコンビとはいえ、最初はなかなか客足が伸びない。しかし知名度は抜群で、なりふり構わす宣伝を打ち、報道も共感的なものが増えていき、再び画期的な人気を取り戻していくのだったが……。
 大人気の大スターながら、時代もあり、お互い複数の離婚歴があり、生活習慣やギャンブルなどの問題なのか、稼いだ金がちゃんと資産として残されていない様子だ。今回のツアーは、そのような生活を打開すべく打って出た、最後の賭けのような試みなのかもしれない。実際にコンビとして動いてみると、あんがい以前のようにしっくりするし、新しいギャグを話し合っても、それなりに形になっているように感じられる。映画としての脚本の方も相方が書いているのだが、なかなかウケそうな塩梅なのである。最初こそ英国側のエージェントのいい加減さもあって扱いがショボいが、何しろ実力者だから大衆はもともとみんな知っているのだ。やっぱり面白いじゃないかと話題になって、劇場の規模を大きくしても大入り満員なのである。
 そういう中にあって、実はやはり過去の確執が原因で、二人は大げんかをやらかしてしまう。過去のわだかまりは、避けて通っていただけのことで、実は心の奥底に、ずっとくすぶり続けていた火種のようなものだったのだ。お互いがお互いに対する不満はあって、それは言わずが仏であっただけのことで、一人がポツリと過去のことを口に出してしまったが最後、どんどん相手を罵倒して止まらなくなる。いつも舞台で演じているドタバタギャグさながらの大げんかになって、もう最悪の関係になってしまうのである。
 こういう伝記映画のどこまでが史実に忠実なのかは僕にはわからない。しかしながら大筋での出来事や、当時のギャグの再現なども行われていた様子である。よく似ているに違いなさそうだが、もちろんいろんな演出デフォルメはあることだろう。売れに売れながら、当時の契約のやり方などにも、やっぱり問題はあったのかもしれない。晩年の悲しさとともに、実にうまくまとまった感動コメディになっている。友情ってやつは、やっぱり必要なんだな、と思います。そうしてそういう友人こそ、人生の豊かさなのであろう。
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