カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

社会に背負向けても、迎合しなくても、受け入れられる音

2020-08-24 | 音楽

 妙なご時世になっているとはいえ、音楽はそれなりにふつうに聞けるというのはある。もともと田舎暮らしなので、そういうあたりは何の関係も無いということなんだろうか。しかし、ちょっとだけ以前より画像検索なんかしたりしているようで、やはりそういう部分は違うといえば違うのか。
 そうしてちょっと考えさせられたというか、唸らされたという感じが、他でもなくハイムだったのだ、それなりにコーラスのやり方はマンネリ化しているかもな、と感じていたにもかかわらず、新作はちょっとジャズっぽい趣向を凝らして、もっとおしゃれになっている。バンドとしても音がいい感じになっているな、と感じてちょっと映像を見てみようかと思ったら、PVの映像もなかなか楽しめるのだった。
 彼女らはいちおう三姉妹のようだけど(その役割分担など詳しいことまでは知らない)、失礼ながらアイドル的な感じではないのではないかと思われる。映像でも汚く歯を磨いたり、ノーブラで下着姿だったりして、男目線というよりは、女性への共感の方を大切にしている風である。分かり合えない男たちにイラつきがあって、そういうものを音楽にぶつけているということか。女として批判や非難されていることをあえてやって、逆批判を世間に向けてぶつけている風で、そういうのが、やはりなかなかロック的なのだった。
 以前より不幸な感じの女性の代表選手的な雰囲気を持っていたフィオナ・アップルの新譜も良かった。自らしあわせにはなれないような感じの人が、更に牙をむいて狂気をみせている感じだ。以前は明確に男たちに対してのイラつきというのがあったにせよ、世間一般的にも、何か気に食わないことばかりで牙をむいている変な人ではあった。それがまた磨きがかかって、誰に対しても気を許さないような緊張感がある。そんなものがいいのか? と思う人はやはり騙されて聞いた方がいいと思う。奇妙な歌い方や変な調子を取りながら、やっぱり心惹かれる楽曲の力がある。そうして確かに何かが新しい。不気味な赤ん坊のような笑い声だったり、相変わらず暴力的だが、その力量に脱帽するより無いだろう。ボブ・ディランなんかもアルバムを出したが、なんとなくフィオナに食われて霞んだようにさえ思われる(まあ、個人の感想です)。
 そういうことに刺激を受けたのかどうかまでは計りかねるが、何とテイラー・スイフトまでいいのである。いったいどうしたんだろう? といぶかしく思うが、売れるために開き直ってポップに走りこんでいた人だったのに、もともとの原点回帰のカントリーでもなく、暗いポップソングの世界に入り込んでいるように見える。しかしこれが聞きにくいわけでも無くて、ちゃんと感心しながら聞ける。そもそもの力量もありながら、芸術作品だって作れるってことなのかもしれない。内向的でありながら、ちゃんと社会の中で成り立つ客観性があるということでもあろうか。売れている人が趣味に走りすぎて観客を忘れて歌うことはありがちだが、そういうことにならないバランス感覚はさすがではあるまいか。
 ということで、ちゃんと音楽は楽しんでおります。ダーティ・プロジェクターズもポップで良かったです。
コメント
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