カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ルビーは喜ばれる

2020-08-03 | ことば

 日本の文字の特徴にルビをふれるというのがある。読みにくい漢字にルビが降ってあると助かる。それは麻生大臣でなくとも助かることに違いない。実際読めない漢字というのは結構あるもので、読めないだけでなく、意味もつかみにくくなって閉口させられることもある。難しい漢字を使えることを自慢げに変換させるような無知な人も多くて、いちいち読みにくい文章というのがそれなりに増えている気もするのである。役人の文章みたいに妙な横文字や記号の多いのも困るが、要するに分かりにくく書く方が知性的だという勘違いの表れだろう。もしくは書いている人が、本当は何を言いたいかはっきりしないだけかもしれないが……。
 西洋の映画なんかを見ていると、発音している名前などを、何とつづるか説明している場面があんがいある。要するに書いてある通り発音されない可能性のある名前なのだろうと思われる。アルファベットにルビをふるという習慣を見たことが無いので、書いてあるだけでは、間違われて発音され続けている単語なんかもあるのかもしれない。特に英語というのは日本語と比べても単語の数も多いし、全部の英語話者がすべての単語を知ってるなんてことはあり得ない。読めない単語の存在なんて、実際にごまんとあることだろう。彼らはルビを持たないだけでなく、日々読み間違いの人生を送っているのではないか。それはロシヤ語でもスワヒリ語でも同じだろうし、中国語なんて漢字だらけだから、読めない文字ばっかりあるんじゃなかろうか。教育もあるとは思うが、海外では一定の文盲率があるようで、それらの何%かの原因に、このルビということがあるんじゃなかろうか。
 ところでこのルビという言葉は、英国からの輸入らしい。活版印刷の技術を日本が英国人から習った折に、伝わったものだという。ルビのない国から何故ルビを習うことができるのかというと、実はあちらの国では、文字の大きさを宝石などの名前を当てて読んでいるらしい。だからパールとかメノー(単語としてはageteだが)という文字の大きさあるらしく、なかなか華やかなのである。それでルビーという大きさの文字が、日本のフリガナに使われる小さいポイントの文字を指す言葉だったという。
 カッコつけてルビーをふるって発音したところで、気取っているだけでなく、通じないかもしれない。でも実際はその方が正しいわけだ。なかなか言葉というのは難しいものである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

情けない自分は笑える   俳優 亀岡拓次

2020-08-03 | 映画

俳優 亀岡拓次/横浜聡子監督

 いわゆる個性派俳優で、ちょっとした脇役を専門として仕事があるようだった。例えば泥棒役は何度もやっているようだし、殴られたり倒れたり、体を張ってなんでもやるという感じなのかもしれない。私生活ではおとなしく人のいい性格のようで、やや押しが弱いという感じか。おとなしくしているが、なんとなく自分を押し殺しているような印象も受ける。それで後半爆発系のお話になるのかな、などとも思ったりしたが、そういう映画ではなかったようだ。
 ある映画のロケが長野になり移動して、そこで駅前の静かな居酒屋で居眠りしながら飲んでいると、店のオヤジは遊びに行くようで、奥からその娘らしき女が代わりに出てきた。サービスだといわれて地元の寒天を出され、じゃあおたくも一杯という感じで楽しく酒を飲んで、なんとも言えない非常にいい気分になる。さらに撮影の関係で二日続けて飲みに行って、いわゆるすっかり惚れてしまった。この辺りは、なかなかよくわかる。こういう感じなら、男はそうなってしまうかもしれない。
 その後、それまで避けていた舞台の仕事も受け、苦労するが、海外の映画監督からオファーを受け、不思議な演技も披露する。何か人生の転機が徐々に見え始めているのではないかという期待が、なんとなくだが感じられていくのだったが……。
 淡々とした演出ながら、そういう脇役の人のそれなりに忙しいながらにわびしいような感じを、うまく引き出している。劇中に劇が入れ混じって演出されていて、少し幻想的な雰囲気になったり、ファンタジーになったり、いろいろとする。それでいて、日常的な悲哀がこもっていて、あの居酒屋で出会った安曇ちゃんという女への思いが募るのも、よく伝わる。また、確かに寂しい男にとっては、実に理想的な感じのちょうどいい具合の美しさと可愛らしさのある女性を、麻生久美子が見事に体現しているのである。ああ、これは僕が何とかしなければ。いくら僕のような男であっても、頑張って彼女をしあわせにできるのではないか、と思うのではないかという感じが見事に伝わってくるのだった。
 単純なようでなかなかに複雑な物語を、なかなかにうまく演出できているいい映画である。役もハマっているし、ところどころのチープさとエピソードの妙なリアルさが、物語を引き締めている。やっぱり一人って寂しいんだなあ、としみじみすると思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする