カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

結婚生活としての鬱   ツレがうつになりまして。

2020-08-25 | 映画

ツレがうつになりまして。/佐々部清監督

 原作はコミックエッセイで、数冊存在するようだ。テレビドラマ化もされている。実はこの映画2015年にも一度観ているらしい。細部は忘れてしまったのでかまわず観てしまった。アマゾンプライムではよくあることになりつつある。困らないではないが、なんだかな、という現象だろうか。
 外資系の会社なのだろうか、妻からツレと呼ばれている夫は、会社ではバリバリに働く人だった。しかしながら常連のクレーマーにも悩まされており、休んでいても名前指定でクレームを受けるような、ある意味で信頼のおける、ある意味で押しに弱いタイプとして描かれている。仕事の山はいくらもでもあるようで、追われに追われ仕事をしている。上司も厳しいタイプらしい。段々と鬱症状が出だして仕事がつらくなり、死にたくなってくる。会社も休みたいがそういう感じではなく、妻が辞めなければ離婚するとまで言い、辞めることにする。辞職願を出すが、役職でも無いのだから退職願として書き直せと上司から嫌がらせを受ける。それもつらくて仕方なくて、書く。医者との相性もまあまあのようだし、腰を落ち着けて鬱の生活に入ることになる。鬱仲間も薬局などで会話できる。
 自殺もはかるが、見つかり死ねない。泣くがどうにもならない。鬱の苦しさがそれなりに続き、妻は漫画を描いている関係で、ツレが鬱で大変だから仕事をくれと営業する。
 ツレは勤めに行くのがどうもまずいようで、それ以外のことであれば、たとえば家事などの仕事はできるようだ。人間関係に戸惑いがあるというか、新しく何か関係を作り出すような感じにためらいのようなものがあるのかもしれない。苦しんでいるが、地道に妻を支えるような仕事に専念し、自分のやれることにシフトしていく感じである。妻はこの家族での鬱体験を本にしたいという。ツレもそれを受け入れ、自分らの鬱の生活を客観視して面白がるような感覚が芽生えていくようだった。鬱の状態がいいというのが続いてくれるといいが、完全に治すというか、そのまま付き合うということに慣れようとしていくようだった。
 おそらくだが、それなりに素直に実話をもとにしているのは感じられる。俳優さんたちの演技もあるんだけれど、つらいものはつらいわけで、それが恥ずかしかったり、実社会の人にはなかなか理解されなかったり(それで更に傷ついたり)、なかには仲間らしい人を失ったり、何にもできなくなるといっても様々な体験をする。なるほどなあ、という鬱の姿がひと固まりとして理解されやすくなっているのではないか。
 僕も個人的に複数の鬱の人との付き合いを持っているが、仕事の人はともかく、まあ、それなりに普通にというか、それなりに付き合っているという感じかもしれない。上手く付き合う方法があるというよりも、まあまあ、という関係なのではないか。ひどくなると入院してしばらく姿を見なくなるということで、出てきたらまた会話などをする。知っている人は、映画のツレのような感じの人ではないし、要するに鬱といっても人それぞれらしい。まあ、啓蒙的な意味合いでこの映画を観ることは、それなりに大きいのではないかとは感じられる。夫婦の仲がちょっとうまくいっていない人も含めて、考え方としてはシンプルに伝わるものがあるんじゃないかと思ったのだった。
コメント
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