カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

身近にある危機との共存

2012-09-21 | HORROR

 土砂崩れの恐ろしさというのは、建物の崩壊や命の危険というのもあるが、やはりいつ起こるか予測しづらいというのがあるようだ。斜面からの泥水のあふれ方や、ミシミシという音がするという話も聞くが、気持ちが悪いながらも、その場所から非難するかどうかというのは悩むところではなかろうか。ましてやそれが自宅であるとして、自分の住んでいるところへの不安がありながら住まい続けるというのはどんな心境になることだろう。
 長雨で雨量がかさむと地滑りの危険が高まる訳だが、近年はそのような災害が増えているのだという。つまり長雨が以前より増えているということだ。過去十年間のデータで比較すると、その前の十年の2倍増ということらしい。原因としては海水温の上昇があるようで、日本列島沿岸部に至るまでの海水温が上がることで、偏西風の通り道に変化が見られるという。以前は日本列島を横切っていた風が、日本列島に沿って流れるようになっているらしい。海からの上昇気流にのって雲が発生して、そのまま列島をくまなく通るような雲が増える。一度雨が降り出すと、次々に雨雲が絶え間なく続いて生まれて連なるために、結果的に長雨になってしまうようだ。一日の降雨量が少なくなっても、連日の雨でトータルの雨量が増えるために、地層に蓄えられる水の量が増える。結果的に崩れやすくなり、さらには深い地層まで水が浸透するという事態も起こり、いわゆる地滑りの大規模化や深層崩壊といわれる表面より深い場所から根こそぎ地層が滑り落ちるということが起こりやすくなっているそうだ。
 台湾で500人という命をのみ込んだ大規模な深層崩壊の事故が起こった事もあり、地層の似ている日本においても脅威度は増している。そうして実際に最近の紀伊半島の災害ということもあった。比較的なだらかで、これまでは地滑り危険の低いとされていた場所も安心できないという。ましてや今回の紀伊半島の被害個所は、川を挟んだ対面の斜面が滑ってきて対岸の集落を襲ったものだ。その場所に居れば、確実に悲惨な目に会うことになってしまうだろう。
 地震や津波という非常にインパクトの強い災害の前に、災害の一点に集中してしまうように見える地滑りというものは、いくばくか軽んじられる可能性もあるように思える。しかしながら火山灰の堆積した地層が多いことや、長い歴史上プレートの動きで折れ曲がった地層が幾重にも堆積しているという構造が、深層崩壊という危険をはらんだものになっていると指摘する専門家もいるようだ。雨が降れば、どの場所が崩れるのかという予想がつきにくい災害であるもののようなのだ。
 台風銀座に長雨に、頻繁にさらされる宿命を背負う日本列島に移り住んできたご先祖様たちは、何から逃れてこの新天地を求めたのだろうか。日本人が災害とつきあいながら生活してきたということについては、その気質というものとも関係があるのかもしれない。その意味はひも解かなければ理解はできないのかもしれないが、これからも危険と共に生きながらえる術は身につけていかざるを得ない問題なのであろう。
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