カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

激しい音も静かに聞きたい

2012-09-24 | 音楽

 音楽好きと言いながら、コンサート(ライブ)が特に好きな訳ではない。アマチュアのバンドマンだったこともあるからステージを踏んだことはあるんだけど、他人の演奏を聞くのが上手じゃないというところがあるようだ。スタジオとか小屋なんかで練習しているときは熱心に他人の演奏を注視することはあるんだけど、コンサートのようなところではあんまりそれが叶わない。そういうところが不満らしい。立ちあがって踊ったり、手拍子したりして忙しい。汗かいたりして気持ちが悪くなる。適当なところで疲れてしまって早く終わんないかな、などと考えてしまう。
 ちょっと前に泉谷しげるをテレビで観ていたら、演奏の途中で曲を止めてしまった。観客が手拍子するのが気に食わないらしくて、この曲では手拍子をするな、と言ってまた最初から曲をやり直していた。客は多少面喰っていたようだけど、手持無沙汰になりながらも体をゆすったりして、いわゆるノッて聞いている風だった。まあ、それだけなのでどうということは無いのだが、そんな感じの方が楽な聞き方かもしれないな、とは思った。
 これも少し前の話だが、クラッシックの少人数でのアンサンブルの演奏会を観に行った事がある。その時演奏者の誰かが、演奏を聞きながら寝てもらって結構だ、と言っていた。会場はなんとなくウケていたが、まんざら冗談ということでもない風だった。気持ちよく客を寝せるような演奏を本当に心がけたいというような思いがあるらしいのだ。そういう気持ちはよく分からないな、とは思うものの、彼らの考え方は本当に変わっているのかもしれない。本当に寝せてしまえる力もいい演奏というのを信じているということか。いい訳ではなさそうではあったし、確かに演奏自体は澄んでいて、分からないながら心地よかったのだけれど。
 普段は圧倒的にCDやらMDなんかの音源に向き合う姿勢で音を聞いている。自分がどんな態度をとろうが、演奏者には関係が無い。もちろん根本的に生というのは違うので当てが外れているけれど、そういう姿勢に慣れ過ぎて聞き手はわがままになっているのだろうか。客席とステージとの一体感というのは、生では大切なことである。それは分かるが、一方の立場が不得意というのはあるとは思う。出来ればじっと聞いていて、終わったら拍手というのは普通にいいな、と思う。
 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」という映画があるのだが、劇中にヤードバーズが演奏しているのだけど、客は円陣を組んだりして座って大人しく見ている。演奏は激しくジェフ・ベックはギターを壊したりしてるんだけど、客は曲が終わると拍手している。今の感覚からはなんともシュールなんだけど、これはこれでいいなと思う。いつも盛り上がるのはどうなんだろうという感じかもしれない。もちろん全部がどっちらけではお互いに不幸なのかもしれないのだが…。
コメント
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