銚子・角巳之・三代目

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アンコウその②

2006年01月31日 | 銚子の魚

000_0416 一昨日の連載50回にあたり色々な方から連絡を頂きました。誠に有難うございます。含蓄のあるお言葉も賜りました。鵬程万里(ほうていばんり:道のりは遠いが前途は明るい)、多逢聖因(たほうしょういん)・縁尋機妙(えんじんきみょう:良い縁はさらに良い縁を導き物事に良い結果をもたらす)さすがに昨夜は考えました。心が洗われるようで...。今朝は寝不足のまま市場に行きましたが不思議と眠くありません。やはり言葉の力には魂を揺さぶるものがあります。継続は力と申しますが、50回はまだ序の口、これから100回、200回...1年、2年と継続して参ります。10年偉大なり、20年恐るべし、30年にして歴史なる。そんな言葉もあります。年月は何人にも平等。その年月を何処で、誰と、どのように過ごしていくか?銚子に帰ってからそんな事を真剣に考えるようになりました。さて余談が少々長すぎました。アン肝、肝臓はその生物の育った環境を最も濃く反映する。この件でした。畜産の担当時代、枝肉を見る前に内臓を見ろ(特に肝臓)、肝臓の状態はその家畜が育った環境。内臓はウソを付かない。と尊敬する先輩に教わりました。魚も一緒だと思います。ただ魚の場合は対象範囲が物凄く広い。海の環境ですから。これは銚子と言わず、日本中の漁港と言わず、もっと広く日本人の生活そのものでしょう。環境問題が各地で叫ばれている中、近海のアン肝を安心して食べ続けられる環境作り。こう考えると難しく捉えどころがないように思える環境問題も身近に感じられると思います。写真はアンコウの手。珍しいので掲載しました。かなりユニークな形です。続きは明日


アンコウその①

2006年01月30日 | 銚子の魚

000_0527 鍋物における東の横綱・アンコウです。西のフグを上品な美味しさとしたら、アンコウは野趣溢れる濃厚な味。とでも申しましょうか。この容貌、しかも殆ど捨てるところがない...。寒い冬にアンコウ鍋。アンコウの七つ道具といわれる肝や胃袋などを肴にして一杯。身は鍋、アンコウのダシを吸い込んだ野菜も最高の味。最後は雑炊。鍋まで舐めてしまいそうな美味しさです。アンコウと言えば茨城・那珂湊などが有名ですが、銚子沖は以前申し上げましたように、暖流・寒流・利根川の交差地点。アンコウの主要な漁場・鹿島灘(かしまなだ)からの入船もありますし、九十九里沖でも獲れるようです。今年は水揚げが少なく、値段が例年に比べ高くなっておりますが、それでも、他のものを我慢してでもアンコウ鍋を食べたい(私もそう思います)それだけ冬のアンコウには価値があります。日本人はアン肝好きで、聞くところによるとそのアン肝だけ海外から大量に輸入されているようです。これは如何なものか?と思います。需要があるから供給されるのでしょうが、アン肝は希少価値があるが故に美味しいと思います...。美味しいものは少し食べる。ここに有り難さです。また水産物、畜産物の肝は大変美味しく栄養豊富ですが、肝は肝臓。人間同様、体内に取り込んだエネルギー源の貯蔵場所であり、解毒の役割を持つ臓器。漁獲海域の環境が最も反映される部分です(畜産の場合は飼育環境)写真は銚子の割烹旅館さんで今正に“アンコウ尽くし”コースに供されようとしているアンコウです。アンコウはこういうプロがいるお店で食べれば絶対に間違いがありません。続きは明日。


連載50回!

2006年01月29日 | ブログ

000_0542 本日、連載50回を迎えました。早いものです。長らく24時間眠らない東京新宿に住み、夜7時には暗闇の銚子に戻ってきて、全く畑違いの魚市場で35歳からの再出発となりました。長らく新宿のような喧騒の中に居ると、時にそれが煩わしく、しばしば静寂の中に行きたい。と思っていましたが、いざ静寂の中に入ると(1日や2日なら良いのでしょうが)、今度は喧騒が恋しく(不安にすら)なる。人間は勝手なものです。折り合いを付けねば。と思えば思うほど情緒不安定になっておりましたが、やはり仲間でしたね。。銚子の仲間は最高ですし東京時代の仲間もまた最高。銚子に帰ってまだ1年にも満たないのですが、仲間に恵まれなかったらブログなんて書いている精神的な余裕も無かったでしょう。ブログ作成はもう生活のリズムになっております。拙い内容にお付き合い下さっている方々、いつも有難うございます。とても大きな励みになってます。生活のリズムになってしまうと、不思議なくらい問題意識を持つようになります(ネタ探しですから)いずれ商売に繋がる何かが出てくるかも。と淡い期待もありますが、何よりも銚子という街の魅力を多くの方々に知って頂きたいと思っています。これからも色々な角度、へそ曲がりの視点で日常を感じ、情報発信して行きたく思っておりますので、引き続き宜しくお願い致します。最後に投稿頂いている方々、懐かしい方のお名前も見かけ、大変嬉しく思っておりますが、返信もせずに大変失礼しております(連絡先が分かりません)この場をお借りして御礼とお詫び申し上げます。


マトウダイ

2006年01月28日 | 銚子の魚

000_0417 この魚も今の季節の銚子港では良く見かけます。マトウダイ目マトウダイ科のマトウダイ。体の真ん中に的(まと)のようなものがあるので、的鯛(マトウダイ)フランスではサン・ピエール(高貴な名前ですね)と呼ばれ、最高級の魚と呼ばれているようです。焼いても煮ても美味しい。フランス料理ではブイヤベースに使われていると聞き、納得です。これまた素晴らしいダシが出ます。和食でも上品な味と評価は高いです。特に肝が美味しいと言われています。銚子で揚ったばかりの魚たちはすべて鮮度最高ですので、何も言わずに刺身。となりますが、魚によっては新鮮すぎて身が固く、時間が経過した方が美味しいものもあるし、反対に時間が経過したら刺身で食べられず、地元(銚子)でしか食べられないものもある。銚子で揚る魚=和食メニューと考えがちですが、探してみると和食では評価そこそこでも洋食では最高級(料理技法の違いだと思います)と呼ばれている魚が結構あります。マトウダイもその一つでしょう。いつもの網焼きを中止してオリーブオイルで焼くだけでも味が変りますし、先般のアクアパッツア(もどき)、ホウボウが無ければ一般的な白身魚で十分です。食べ方を工夫すると色々な発見があって、魚料理が楽しくなると思います。                        


セグロの水揚げ

2006年01月27日 | 銚子の魚

000_0524 銚子の人はイワシ、サバ、アジ....、等の青魚は買って食べるものと思っていない。長らくそう言われていました。買わずとも誰かが持ってくる。子供の頃の記憶もそうです。漁港周辺が浜の子供の遊び場だったのですが、遊んでいると漁師さんから、わんらえさけえってバケツもってこー(あなた方家に帰ってバケツを持ってきなさいの意)と言われたのを良く覚えております。東京に行って、イワシやサバに値段が付いているのを見てビックリする。銚子の浜の人間の共通意識だったと思います。が、それも今では古き良き話。イワシなど最近は超高級魚です。マイワシは銚子でも殆ど揚らなくなってしまいましたが、1月に入ってセグロ(カタクチ)イワシが揚っています。このセグロにしても子供の頃の記憶とは大違い。水揚げ激減でこれまた貴重品です。セグロの丸干しや佃煮、酒の肴に最高なんですが...。そんな貴重品を狙っている奴らがいます。カモメです(写真)。カモメも美味しいものを知っているのでしょう、奇声を上げて闘争本能むき出しの形相です。セグロの入港時は漁港の上空一面がカモメだらけ。そんな風景になります。“数が多い”という事を表現する日本語は数々ありますが、空一面にカモメ模様のじゅうたんを敷きつめたような。要するにお伝えするのが難しいくらい沢山の。という事です。さながらヒッチコックの映画“鳥”のような情景。遠くから見ているうちは壮観なのですが、近くで見ると少々怖い気がします。それにしてもこの数。貴重品が食べ尽くされてしまうのでは?と思うくらいの勢いです。


食魚革命その③

2006年01月26日 | 銚子の魚

000_0497 ジャミサバと脂の乗った輸入サバ。イクラを取ったあとの国内の親サケと脂の乗った輸入養殖サケ。単品で(焼くだけという単純調理で)比べたら確かに後者のほうが美味しいと思います。しかも値段が安かったりする。日本の何十倍の規模で大量生産。野菜も肉もそうですが、単位あたりのコストは日本より安く出来る。ただそれを輸送する。燃料を消費する。生産者の顔が見えない....。以前フードマイルという事で申し上げました。にもかかわらず世界的に見ると一次産品が戦略物資にされているところがあって、一様に巨大な中国マーケットに進出し始めている。そういう状況ですかね。食糧自給とか、そんなことは抜きにして、少しでも高く買ってくれるところに売りたい。作っている立場からすれば当然でしょう。ただ世界的に見ると人口は大幅に増加、砂漠化などで収穫面積はそれほど増えておりません。海流の変化、異常気象などの影響。ここ数年、農畜水産物を巡る話題に事欠きません。ジャミサバも調理の工夫で美味しく食べられる。マサバの大きいのは美味しいけどゴマサバは美味しくない。と言わないで、ゴマサバの美味しい食べ方を。こう考えて行きたいと思います(食べ方の投稿もお待ちしています)。規格が揃っていなければ、脂が、骨が....、選択できる事は豊かさの証拠では有りますが、それがもしかしたら自分達の首を絞めているのかもしれない。最近そう思っております。さて長らくシケ続きでしたが、本日近海小型は出漁しております。明日からまた暫く銚子の魚冬バージョンを続ける事にします。


食魚革命その②

2006年01月25日 | 日記・エッセイ・コラム

000_0480 昨日の食魚革命の続き。番組では長崎松浦港(日本有数の漁港です)のサバが取り上げられておりました。松浦では年間5万㌧のサバが揚るそうですが、300g以下のサバはジャミサバと言われ食用で売れず、殆どが養殖等のエサとして安い値段で販売される(銚子も同様ですが)このジャミサバは人間が食べられないか?というと全くそんな事は無く、要するに規格好き、脂の乗りが最終評価の日本人の間で評価されないだけのようです。余談ながら、牛肉も結局サシ(脂肪交雑)が評価基準。牛乳は乳脂肪分、鶏肉はパサパサしているとムネ肉が売れない。番組ではそのジャミサバを中国に輸出。の場面が紹介されておりました。そのサバ、中国では日本の価格の倍で販売が出来るということでこれから本格的に実行に移したい云々とありました。中国大連の水産会社は輸出ではなくて、漁獲したら船ごと大連に寄港し、そこで水揚げして欲しいという希望を持っているようです。そうすれば輸送費、包装加工、人件費等が大幅に削減されると...。(現時点では制度・法律の壁で不可能のようですが)日本国内における農林水産業の後継者が激減している昨今、食糧自給率は40%前後(世界最低水準)に落ち込んでいます。続きは明日。写真は銚子港前・水産物直売所の空き地で休憩中のカモメです。その数、400~500羽はいたと思います。


食魚革命その①

2006年01月24日 | 日記・エッセイ・コラム

000_0484 昨日の銚子は晴れのち吹雪(10分くらい)のち曇りのち晴れ。という本当に変な天気でした。晴れても海上は大荒れ、ドックの中ですら写真のような状況です。さて銚子の魚シリーズ、ネズッポーだ、青ヘラだとマニアックな魚ばかり書いているのでは?という方もいらっしゃると思いますが、本当に銚子では一般的な魚なんです。これは銚子にお越し頂き銚子魚屋さんツアーで是非ご確認下さい。ただ一つ思うところがあります。日本は四方を海に囲まれ水産王国なんて言われてますが、実は魚の輸入大国。本当に足りないのか?と素人の私は思っています。各地域にはまだまだ個性豊かな駒(魚)がいます。既成概念を外すと新しい発見があるのではないでしょうか?輸入の理由は、価格が安い、規格が揃っている、脂が乗っている、そして骨が無い?....など。本当にこれで良いのでしょうか? そんな事を日々感じているのですが、昨日のNHKクローズアップ現代で正にその特集がありました。中国の特集です。現在中国の水産物消費量は驚異的に伸びており、もはや全世界の漁獲量の1/3相当にあたる量を消費。しかも沿岸部4億人でその70%を消費している。魚の健康効果も見直され、内陸部9億人の方々にも魚をもっと食べようと食魚革命なる動きが出ていると報道されていました。所得水準が上昇し、ロシアのカニ、豪州のアワビなどは日本より高値で取引され、内陸への交通網も発達。インフラは整いつつあり、彼らが本気で食べ始めたら....。という内容でした。続きは明日。


ネズッポー

2006年01月23日 | 銚子の魚

000_0112_2 今の時期、この魚は近海小型底引きにほぼ毎回入ってきます。良く見かけますが名前が分からなかったので、また魚博士に聞きましたら、それネズだっぺよ(銚子弁で、それはネズ?ですねの意)との答え。ネズとかネツポだとか色々言う方がいましたが、聞けば聞くほど分からなくなる。素人だから、からかわれたのかも知れないと、これまた帰ってから図鑑で確認したところビックリしました。スズキ目“ネズッポー”亜目、ネズッポー科に属するメゴチの一種だと判明しました。ネズッポーのネズだったんですね。ヌメリゴチなる名前もありました。触ってみると確かにヌメリがあります。銚子の魚屋さんでは一般的で天ぷらのネタにしたり干物にしたりして販売されています。今まで名前が分かりませんでしたが、良く食べてました。処理に大変手間の掛かる魚で、小さいので食べるところが少ないのですが、味は抜群です。東京では一部、こだわりの天婦羅屋さんでしか食べる事が出来ないようです。それだけ通好み。という事でしょう。こういう魚に遭う事が出来るのも銚子港ならでは。自称:銚子あるもの探し隊員の私としましては、いずれネズッポーを探せツアーでも企画せねば。と思っております。


ネズミザメ

2006年01月22日 | 銚子のサメ

000_0468 今年に入ってサメによる被害(釣り上がって来るキンメを食い荒らす)が多発しているので駆除が行われた。一昨日の読売新聞(千葉版)に載っていました。ちょうどその駆除されたサメの搬入時に市場におりましたが、その数430匹です。(写真はその一部)14隻出漁し、たった1日でこれだけ揚ったようです。このサメはネズミザメ(モウカザメとも言われてます)かなり危険なサメらしいです。体長は2m前後、100㎏前後はあるでしょう。これは蒲鉾原料にはなりませんが、地域によっては滋養強壮の薬。と珍重されているようです(特に心臓などの内臓)そう言えば、深海サメの軟骨などサメはその生命力の強さからその薬効成分にかなり注目が集まっています。ヒレはフカヒレ、内臓や軟骨が医薬品に、種類にも寄りますが身は刺身、湯引き、そして蒲鉾。実はサメ、捨てるところがないくらい価値のある魚です。ただマグロの延縄や釣りキンメ漁ではその漁を妨害する暴れ者。漁師さんもかなり危険な目に遭遇するようです。サメはかなり種類がありますので、市場で見掛けたらまた掲載します。


ショウサイフグ

2006年01月21日 | 銚子の魚

000_0111 フグといえば、トラフグを連想されるかと思いますが、銚子でフグといえばこのショウサイフグです。から揚げ、干物、吸い物、これまた何でも美味いです。トラフグ同様、卵巣等に毒があり、調理に際してはフグ調理師の免許を持った方があたります。銚子の魚屋さんでは良く干物にして販売しています。この干物、酒の肴に最高です。この魚は房総周辺で比較的良く釣れます。3年ほど前、友人と犬吠埼下の磯で根魚を釣っていましたら、このショウサイフグがかなり釣れました。美味しい魚ですが、釣りでは何故か外道として嫌われてます(持って帰っても自分達では処理できないからかもしれません)その時はアイナメ、カサゴ、そしてこのショウサイフグが釣れました。釣れた魚は磯場の潮溜まりに放しておきましたが、アイナメ、カサゴはすぐ死んでしまったにも関わらず、このショウサイフグだけは余裕タップリで泳ぎ回っておりました。フグは生命力が強く、料理の世界で何かと珍重されるのは、美味しいだけでなく、生命力の強い魚を頂く事で人間にも活力が沸くからだ。と同行した和食の料理人の方がおっしゃっておりました。確かに、あの潮溜まりで余裕タップリで泳いでいる姿には生命力の強さを感じました。潮溜まりで泳いでいたフグのその後ですが、あまりの強さに一同感心し、再び太平洋に戻って頂く事にしました。ユニークな姿、泳ぎ方ですがこの生命力の強さ。人も魚も見かけによらない。そんな事を思いました。


ホウボウ

2006年01月20日 | 銚子の魚

000_0092 市場で初めてこの魚と対面した時、叱られた柴犬がシュンとしたような顔だな、とか“ドラエもん”に出てくるスネ夫のような顔だなと、さんざんそんな意地悪な事ばかり考えてました。市場で初めて触ったのもこの魚なのですが、触った瞬間にトゲが刺さり激痛が走りました。きっとバカにした天罰です(ホウボウさんごめんなさい....) このホウボウ、高級魚として知られ、刺身で良し、干物良し、煮たり、揚げたりすべて良しの万能選手。骨っぽくて食べるところが少ないと思っていましたが、イタリア料理のシェフに聞いたところ、ホウボウの骨や頭を捨てるなんてもったいない、もったいない。との事。イタリア料理ではこのホウボウの骨や頭から出るダシが大変美味しいと珍重されているようです。先般、料理もどきを掲載させて頂きましたが、あの美味さはホウボウのダシか?と妙に納得です。和食でも潮汁やあら汁、これまた絶品です。要するに捨てるところは殆どないという事です。愛嬌のある顔に似合わずかなり獰猛で、イワシなど丸呑みしてしまいます。そして味は絶品。将棋で言えばさしずめ桂馬、くせ者です(良い意味で)またこの魚はグーグーと鳴くと漁師さんから教わりました。腹の中に鳴き袋と呼ばれる浮き袋があり、それを収縮させることで音が出ているようです。この鳴き袋も通の間では珍味と呼ばれ湯引きで食べると最高のツマミと言われています。銚子では小型のホウボウをキリキリと呼んでいます。何故そう呼ぶのかは分かりませんが、このキリキリホウボウ、市場に出て初めて触った魚として、生涯忘れられない魚の一つになりそうです。


出世魚(ブリ)

2006年01月19日 | 銚子の魚

000_0368_1 ブリと言えば日本海。が有名ですが、銚子をはじめ太平洋沿岸でもこの季節には良く揚っています(ワラサ、イナダと呼ばれるサイズですが)これまた出世魚。ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ。とこの辺では呼んでおります。ブリは九州周辺で産卵、孵化しその後北上。北の豊富なエサでどんどん大きくなり、秋ごろに南下を始め、一番脂の乗った冬に能登半島周辺へ。佐渡ブリ、能登ブリ、富山湾に入って氷見のブリ。超有名で、築地あたりでは㎏あたり1万円を超えるものが出るようです。あまりにも有名なのでブリは日本海のみ。と思われる方も多いと思いますが、三重尾鷲の定置網、銚子のまき網など、太平洋沿岸各地でも今の季節は頻繁に揚っております。日本海産に比べ値段も手頃ゆえ、知る人ぞ知る産地として知られているようです。私は銚子の水揚げで10㎏を超えるサイズをまだ見ていませんが(市場に出てからまだ半年未満ですので)、イナダ、ワラサというサイズは良く見かけます。太平洋産は大味で日本海のように冷たい海水に晒されていないので脂が少ない等という事を聞かされました。以前、富山に行って食べたブリは確かに美味かった。ただ太平洋産には太平洋産の良さも有る。銚子のワラサやイナダ。刺身で良し、煮て良し。本当に美味い。しかも値段が手頃です。銚子の魚屋さんでは連日、銚子港に水揚げされた新鮮なワラサやイナダが並んでいます。銚子には魚屋さんが92軒あり、それぞれが工夫した食べ方提案をしています。銚子観光・魚屋さんめぐり。これは面白いと思います。これまた既成概念を捨てると新しい発見があると思います。


出世魚(スズキ)

2006年01月18日 | 銚子の魚

000_0108 私は釣りが大好きで、東京にいた時、銚子に帰ってきては釣りに行っていました。銚子に帰ったらいつでも釣りが出来るだろうと思っていましたが、帰ってきて釣りに行ったのは昨年9月に友人と船でヒラメ釣りに行ったきり。しかも私だけボウズ(何も釣れない)そんなものですね。写真はスズキ。銚子では馴染みの魚です。各地によって呼び名が違うようですが、銚子ではセイゴ、フッコ、スズキと成長するにつれて呼び名が変ります。利根川河口にはセイゴのポイントが沢山あり、子供の頃このセイゴを釣って、その強烈な引きとエラ洗いと言われる水面のジャンプを見てこの魚の虜になりました。今年は写真のようなサイズ(80㎝以上)のスズキをルアーで何とか仕留めたい。と思っております。さて出世魚。生後1年未満、以上とか60㎝以上、未満とかそんな分類が図鑑等に書かれていますが、どうやって生後1年と分かるのだろう?長さを計った訳ではないのにどうして?とこんな事を考えてました。市場の魚博士に聞くと、見ろばわがっぺ-よ(銚子弁で、見れば分かるじゃないですかの意)。それだけでした。私にはまだまだ修行が足りないようです。ただスズキ、子供のセイゴと言えど引きは強いしエラ洗いもする。小さくても背伸びして大人(スズキ)の真似をする。デカくなりたい、強くなりたい...という気概を感じ、それが出世魚たる所以ではなかろうかと思っています。このスズキ、夏場が旬で“洗い”は最高。と言われていますが、真冬のスズキも美味いです。洋食メニューでは定番・通年で、卸先は和食より洋食のお店が多いようです。既成概念を捨てるとこの魚の価値が良く分かります。


肉と魚-その②

2006年01月17日 | 日記・エッセイ・コラム

000_0403 昨日、魚は将棋・肉は囲碁なんて突然変な事を書きました。ただ当の本人はそう思い込んでおります。本日は囲碁(肉)です。囲碁は将棋と違って白と黒の石しかありません。ただし奥が深い。大局観と言いますか、あまり局地戦にばかり目を向けていると、そこでは勝っても最終的な勝負に負ける。そんなケースが良く有ります。部分の最適を重ねていっても全体の最適にはなりません。肉の場合は正にそれ。エサ~飼育~食肉処理.....、という一連の流れもそうですし、ロース、ヒレ、バラ...、という部分と例えば豚肉という全体もそうです。ロースとヒレは売れるけど、モモやバラは売れ残った。こうなると豚肉1頭と考えれば負けとなります。将棋のプロは囲碁も強い。反対に囲碁のプロは将棋も強い。将棋と囲碁、どちらが好きですか?という質問には個人の好みがあろうかと思いますが、本質的にこの二つは似ております。将棋と囲碁、両方を行う事でそれぞれの勝負に好影響があると聞いたことがあります。豚1頭にロースやヒレがあるように、船一艘の水揚げを豚1頭と考えると、ロースは鯛で、ヒレは平目か...。恐らくサメはウデかモモ。ウデ・モモで美味しいソーセージ、サメで蒲鉾...。もっと言うと水産は魚種にだけ囚われていると今後は成り立たないのかもしれない。食肉の視点で水産を眺めると色々な発見がありそうです。反対もまた然り。さて明日からまた銚子の魚冬バージョンを続けます。写真は千人塚付近から見た夕陽です。