銚子・角巳之・三代目

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底引き・農業論②

2011年11月03日 | 海へ!

Img_7133 千葉県では農産物の慣行的な生産方法によるものより、概ね半分以下の農薬、化学肥料で生産されるものに“千葉エコ野菜”の称号を付け認証する制度があります。銚子はもちろん、お隣の旭、香取等もそれらへ果敢に挑戦してきた地域...。田んぼの生き物調査が主にJAの主導によって始まったのが今から10年前...。今では全国100産地以上、韓国、中国にもその輪が広がっておりますが、その最初の産地は銚子のお隣、旭市であります。何度か掲載させて頂いておりますので、詳細は省略しますが、ここの田んぼの用水路には実に様々な生物がいる....。千葉エコ野菜の、たんに農産物の優位性確保のみならず、それが故に、環境保全に多大に貢献してきた結果だろうと思います。この用水路は、新川という川に流れ、最終的に太平洋・九十九里に注ぐ訳ですが、その海域...、漁師さんの間では有名な、多様な魚の獲れるポイントになっているようであります。科学的な証明には至っておりませんが、間違いなく上流で行っている千葉エコ野菜への取り組みや、田んぼの生き物調査による関心の輪が導き出した当然の結果であろうと思います。底引き船は、魚を求めて千葉沿岸から遠くには行けませんので、沿岸に魚がいないと、商売あがったり...であります。沿岸の底引き漁は、陸上の生活雑排水など、人間の生活に多大な影響を受けております。底引きは魚を根こそぎ取ってしまい、海底を傷つける行為であるとと断罪する意見も聞こえて来るのですが、休漁期間を設けたり、選択制漁具と言われる小さな魚を逃がしながら漁獲する漁網を使用したり...、やはり田んぼをいたわり、生育を見守るかのような日常があるわけです。しかも、上流域の人間生活に大きな影響を受ける...。私、作る人、私、食べる人...。これまた、作る(獲る)と食べるが乖離してしまった弊害でしょう。底引き=農業に関しては思うところが多々あります。いずれまた詳述を。


底引き・農業論①

2011年11月02日 | 海へ!

Img_7124 最近、水産物の漁獲、水揚げ履歴に関するお問い合わせが非常に多くなっております。あの、~ベクレルですか?から始まって北緯何度、東経何分ですか?...まで。現実的に対応可能かどうか?とか...。感情摩擦もかなり起きております。私もかつては流通業に携わっておりました、商社、メーカー、流通の方々が意地悪して聞いてくるのではなく、やはりお客様が、不安で...ということでありましょう。それは理解しているつもりであります。いくつか思うことがあります。そこで、水産業、特に漁法に関し、少々ご説明をと思っております。魚を獲る方法はいくつもあります。巻き網、底引きに、刺し網、はえ縄、定置網.....。それぞれ、その海域や地域の特性に合致したものを選択し、それぞれに発展をして参りました。銚子地区における主力は“巻き網”であり、次いで“はえ縄”、“底引き”...と続きます。巻き網、はえ縄は伝統的な漁師=ハンターの世界。魚を追い求めて、(許可の範囲内で)どこまでも。巻き網は八戸沖~銚子沖のいわゆる三陸沖を中心に、主にサバなどを求めて漁が行われております。実際、最近の銚子港水揚げ・サバの漁場は八戸沖付近。そこから10時間近くかけて銚子に戻り、水揚げしている訳であります。はえ縄は、宮崎・高知船籍が中心で、黒潮を北上する主にマグロを追いかけ、銚子港に入港して参ります。それに対して、底引きは漁獲範囲が細かく定められており、千葉県の船は基本的に千葉県沿岸のみで操業することになっております。要するに魚を追いかけるというより、農業者が田んぼを耕す如く、毎回(範囲内の)異なったところに網を入れる。田んぼのように目に見えないけれど、漁師は知っている。この海域ばかり網を入れたら将来魚が獲れなくなってしまうので、次はここ、次はここ....、と同じところに入れないように....。あたかも農業者が、土の感触を確かめながら、稲の生育を見守るように....。続きは次回に。写真は市内某所の地魚天丼。ホウボウ、ネズッポ(コチの一種、江戸前天ぷらの最高峰です)、そしてギンアナゴ...。すべて底引きの魚...。何だ、なんだ、“地”魚って言うじゃねえか...ということでありまして....。


千潮丸!

2010年09月07日 | 海へ!

004 001 002本日早朝の水揚後、何気なく市場周辺を歩いておりましたら、高校生らしき集団が船に乗船中...。近づいて見ますとこれ千葉県の所有する実習船、千潮丸でありました。船体上部に赤い旗、イカリにC・Sマーク、商業神・マーキュリーと双頭の蛇....。これすなわち、甲子園でお馴染みの千葉県立銚子商業高校旗であります。要するに今回の高校生は、銚子商業・海洋科のみなさんの実習だったようです。引率されていた千葉県職員、銚子商業の先生方に聞くと、今回は沖には出ず、船内での実習のみ行うようで、いずれ出発する、ハワイ実習に向けての事前研修のようなものですよ....と。すでに数名は卒業後の進路で漁師を選択しているとのことで、こういう地元・高校生の存在あってこその地域・地場産業の存続であります。この船は500㌧級で、銚子商業の他、館山総合高校、勝浦若潮高校(すべて千葉県立)の海洋科のみなさんが実習に使っているのだそうです。日本一週20日間、ハワイ沖でのマグロはえ縄50日間等の研修を控え、みなさん真剣な面持ちでありました。気が付けば10代は20代に、30代は40代に....。近海漁船の平均年齢は60代を越え、後継者のいない船は容赦なく廃船。後継者がいたとしても、魚価低迷、危険の伴う作業、世界の食糧事情.....。かなり厳しい業界でありますし、半端な気持ちで船には乗れない....。まあ、どの職業もすべからく半端な気持ちでは務まりませんが、来春の新卒者の就職が非常に厳しいと報道される昨今、それでも船に乗りたいと決意を固めている10代に接し、おっさんら~しみじみしろや(おっさん方、しっかりしなさいよ)と言われているようで.....。 


太平洋へ!⑤

2010年09月04日 | 海へ!

065 097 101出漁中、二艘巻きの漁に遭遇しました。無数のカモメが漁の後を追い、非常に勇壮な風景でありました。午前9時半~、巻上げが終わった(乗船していた底引き)船は、国の研究機関の方々の指示で海域を移動し、海底測量のソナーを投下。その後、研究機関の方々が海の模様を監視し、午前10時、銚子港への帰途となりました。航海中、トビウオを何度も目撃しました、何度も写真に収めてやろうとしましたが、動きが早すぎて断念しました。本当に海上を飛んでいる。しかも物凄いスピードで、かつ長距離を。時々、船の中にも飛び込んでくるようです....。これは漁師さんのおかずになるのだとか....。トビウオ、関東ではあまり馴染みがありませんが、関西では一般的、しかも高級魚だろうと思います。焼き干しや蒲鉾の原料にもなりますし....。個人的にトビウオは非常に美味しい魚だろうと思ってます。小骨が気になると言う方もおりますが、骨ごと砕いてツミレなどにすると絶品であります。続きは明日。           


太平洋へ!④

2010年09月02日 | 海へ!

043 049 055 午前9時....。巻き上げ開始......。さてさて何が.....。写真真ん中、ホウボウ、マトウダイ、カガミダイ、アナゴ....、例のホシザメ君も小型ですが入っておりました。漁師さん方曰く、これだけ種類、量共に少ない試験操業は初めてだ....。近海の高すぎる海水温が影響しているのかも.....と。乗船前、船頭さんからマコガレイでも入っていたら活かして持ち帰り、洗いにするか?と....。期待しながら生簀を積み込みましたが、マコガレイは空振り。ヒラメもソゲといわれる小型が2枚ほど....。やはり海のこと。揚げてみなければわからない。ホウボウ、ヒラメは高級魚、夏のマコガレイ、スズキも高値....。これは使えない魚、処理が面倒だし....。こういう先入観の中では水揚状態が写真のようであると、売れるものがない....になってしまう訳であります。益々もって、水揚されたものは先入観を捨てて、いろいろな提案方法、販売方法をしていかなければと思う次第であります。


太平洋へ!③

2010年09月01日 | 海へ!

026 031 044出航からおよそ1時間....。無風、べた凪の状態でありましたが、船には大きな揺れが....。これいわゆる“うねり”であり、銚子沖はこの“うねり”が大きいのが特徴で、複雑な潮の流れも相俟って、難所と言われる所以なのだそうです。午前8時、試験操業の投網開始。機械化されているとはいえ、殆どが人力。大きな揺れの中での作業はちょっと筆舌に尽くしがたいものがあります.....。網の投入を終えてから、件のオッター・トロール板の投入。その後、網を曳航しながら約一時間......。さあ、何が入っているかと期待を膨らませつつ.....。続きは明日。 そう本日は9月1日でありました。底引き漁の解禁日であります。小底部隊も早朝4時に集合。毎回一昼夜におよぶ本格的操業となります。本連載の模様はあくまでも試験操業であり、投網も一回のみでありましたが、本操業は一昼夜で投網~巻き上げ作業を6~7回繰り返します....。かなりの重労働であります....。解禁後の初水揚は9月2日(木)午前6時頃かと。 


太平洋へ!②

2010年08月31日 | 海へ!

012 017 底引きの特徴は写真左に後部に見える2枚019の鉄板...。オッター・トロールと呼ばれるこの鉄板が海中に投下され 漁が行われます。底引きは海中の根を荒らすのでは?など、とかくマイナスイメージをもたれがちのようですが、このトロール板は海底には着きません....。網も選択性漁具と呼ばれる、小さな魚を逃がしながら捕獲し、海中資源にいくつもの配慮が見られます...。さてさて、出航後、川口神社前に全船舶が終結し、洋上より参詣。船内では榊と御神酒が奉納され、航海の無事と大漁祈願を....。川口神社を抜け、海難慰霊塔・千人塚、第三魚市場前を通過すると、その先は遮るものが何も無い太平洋であります。阿波の鳴門か・銚子の川口・伊良湖度会が恐ろしや....。太平洋の3大難所と言われる銚子沖。当日出航時は、ほぼ無風、いわゆる“べた凪”状態でありましたが.....。続きは明日。


太平洋へ!①

2010年08月30日 | 海へ!

006_3 008_2 009_3 8月下旬の大安吉日。9月の(銚子)底引き漁の解禁に先立ちまして、近海小型底引き船による漕出(こいで)式および試験操業が行われました。故ありまして、この度は私も乗船し、一路・太平洋へ!となった次第であります。本日から数日間、海の模様などを掲載させて頂きます。銚子の底引き船は2種類あって、一つがこの近海小型。もうひとつ沖合い底引きという大型船がありますが、これは次の機会に...。さて小底...。船体は珍しく黄色に統一されており、大きさは9㌧(船の容積のようです)未満、通常航海では3人乗り。操業海域は犬吠埼以南から九十九里の終点・大東岬(たいとうさき・たいとうみさき:千葉県いすみ市)まで。沖合いは大陸棚手前、概ね水深20~30mまで....。小底...。銚子では、チャンキ、エビ曳きなどの愛称で親しまれており、銚子港に“量”を水揚するのがまき網船なら、小底は“種類”を水揚する代表的な船舶であり、銚子の旅館、飲食店などで名物になっている魚はこれら小底の水揚によるものであります。最盛期に40~50隻と言われておりましたが、いまや10隻を残すのみ。高齢化、後継者難が容赦なく.....。愛称のチャンキ....。銚子で“小さい”を表す形容詞“ちゃっこい”のチャが訛ってチャンとなり、小底の正式名称、機船底引き網の“キ”が合わさってチャンキと聞き及んでおりますし、エビ曳き(銚子では訛ってエビシキとなるのですが)は、その名の通り、銚子名物サルエビ(芝エビの一種かと)を中心として操業しているからだと。そのサルエビも殆ど獲れなくなっており、キンチャクガニも同様ですが.....。とにもかくにも、銚子港を午前7時ちょうどに出航。海の守り神・川口神社に洋上から参詣し、一路・太平洋へ!となりました....。続きは明日。