いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

冷静な怒りを

2020-05-22 09:22:56 | この国の憂鬱
「辞任じゃダメだ、退職金が出る!懲戒免職だ!」
的な(ヒステリックな)声をチラホラ見かける。
黒川氏だけが諸悪の根源で、
彼だけを徹底的にやっつけることが目的ならば、それでもいいだろう。
お金も渡らず、庶民の溜飲は下がるのかもしれない。

しかし、内閣の都合で法をねじ曲げてまで留任させた検事長を、
今度は違法行為があったからと、
すんなり(人事院の規定以上の処分である)懲戒免職させるというのでは、
「法律がどうあれ内閣の都合で検察の定年延長を左右できる」という、
今回の問題の本質が理解されていないことになる。
そこはぼやかされてはいけない。

公職の懲戒処分は、特定の誰かの意思や都合で左右されるべきではなく、
不正行為があれば規定に沿って粛々となされるべきことだろう。
このタイミングで表沙汰にされたことも合わせて慎重に考えたい。
この急展開では、まだ何かを断定するに充分な情報がない。
不可思議な点がいくつかある。
検察官の賭け麻雀が良い悪いとかいうだけのことでは済まない。

巷間言われているように、
黒川氏の下で検察が常に政権に忖度してきたことが、
客観的にも事実ならば、そちらの方が遥かに問題が多い。
個人的には一検事なんかより、これほど法をねじ曲げ、
三権分立などの民主主義の根本を歪ませる現政権をこそ、
総辞職に追い込むべきだと思う。

あとはマスコミが取材源とのコミュニケーションを言い訳に、
政府関係者や警察・検察との付き合いを、
さも当然の如く言うのにも極めて強い違和感がある。
おそらく社内にも高官に私的に「喰い込んだ」記者を礼賛する空気があるのだろう。
そんなズブズブの関係で、批判に力がこもるわけがない。
この業界はそういうもんなんだから、みたいな開き直りは見苦しいことこの上ない。
何なら記者の側に権力者との関係の近さを自慢するような風潮さえある。
ジャーナリズムの何たるかをまるで理解していない。

この国を滅ぼすのは、怠惰な主権者。
そしてそれを大量生産したのは、マスメディア。
安倍政権はそれらの生み出した国家の「生活習慣病」に過ぎない。

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