いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

ちぇんじ

2009-08-23 00:24:33 | この国の憂鬱
総選挙が近づいてきた。
8/30なんてまだ先だと思っていたら、
早いもんでもう1週間だ。
僕は社会を担当する機会が多いので、
生徒たちにはよく今回の選挙の見方についても質問を受ける。
とはいっても、あれってなんなの?みたいなノリなのだが。

たとえば、
「先生、いま学校がつまんないのは民主党になったら変わるの?」
というレベルだ。
でもそれでいい、と思う。
何も政治だからといって小難しく考える必要はない。
まずは自分たちの身近なレベルで考えればいい。
しょせんは政治など、人間関係の延長にある、
社会全体の利害関係について取り引き・綱引きするだけのものだ。
決して高尚なものでも難解なものでもない。

ただ、世の中は権利や権力や金や欲得や色んなドロドロしたものが、
政治家から官僚、企業から暴力団、果ては「のり塩」に至るまで、
何層にも何層にも分かれてタカリタカラレている構造があり、
その寄生虫の群れの最上部を選出するのが選挙だったりするのだ。
もちろん、しっかりキレイゴトでコーティングされている。

いわく、
「安心できる社会」「くらしを守る」「責任力」
「明るく前向きな活動(どっかでも聞いたな・笑)」

で、どの候補者も政党も、
敵を作らない無難で八方美人な玉虫色の公約ばかりだから、
いったいこの国をどうしようとしているのかがまるでわからない。
だから詳しく教えてくれと言うと、
途端に難解な用語や複雑な数字がたくさん出てくる。
それは要するに、政治の特権を独占したい人が、
さも難しく語ることで、彼ら以外の参入を拒んでいる図に他ならない。
要は、「何も知らないバカの癖に、政治に口出すな」ということだ。
「お前等は黙って、選挙で俺に投票すればいいのだ」ということだ。

いや、実際そうだと思いますよ。
細田幹事長だったか、「国民の程度が低い」みたいな失言あったでしょ。
あれが本音。なんて正直な人だろうと思う。
まあ、そう言われても仕方ない側面もあるけどね。
だって実際、利権でがんじがらめの自民党を、
ここまで延命させたのは他ならぬ国民だもの。
もう10年以上前から自民党政治は限界に達していたのに、
小泉に看板掛け替えた瞬間にフィーバーでしょ。
最後には郵政民営化だけに目を向けさせられて、
よくわからないまま「純ちゃんの最後の夢をかなえてあげたい」おばちゃんたちが、
300議席もプレゼントしちゃったわけでしょ。
日本がここまで落ちぶれたのは自民党だけじゃない、
前回の選挙で自民党に投票した人すべてに責任があるんですよ。
なのに、そこは総括しない。
で、いまはいまで「もう自民党はダメよ」だなんて平気で宣う。
「主権者サマは過ちを犯さない」かのごとき、傲慢さを感じるね。
では自民党の何がダメなのか、ぜひお聞かせ願いたい。
麻生が漢字を読めないから、ダメだってのが関の山。
国民がもっと勉強しないと、スルドイツッコミ入れられるようになんないと、
民主党になったって何も変わりはしないよ。

よーく勉強して欲しいと思うね。
何も難解な用語を覚えろとかっていうんじゃなくて。
色んな人の話を聞いてほしい。
色んな意見に耳を傾け、自分の態度を決めて欲しい。
それだけのことだ。
安易に目先の利害に左右されてちゃダメだ。
選挙民なんてしょせんそんなもんだろ、
あいつらは減税と補助金でいくらでも転ぶんだ、
なんてナメられてるからこそ、
どの政党のマニフェストもバラマキ一色なんですよ。
新聞もニュース番組も批判してるけど、
その政党の姿こそ国民の鏡じゃないのかな、と思う。
やはり、程度が低いんですよ。残念ながら。

生徒たちは僕に言う。
「先生、なんで地理と歴史を交互に勉強したりすんの?ワケわかんない。
中1は地理、中2は歴史、とかって分けて欲しい。
1年の途中でやったりやらなかったり、忘れちゃうよ」
「先生、民主党になったら、これも変わるかな?」
「先生、民主党になったら何もかもよくなるんだよ。先生も民主党に入れなきゃダメだよ」

う~~~~~ん。
テレビの影響ってコワイなあと思うけど、中学生なら仕方ないかなとも思える。
(彼らの情報源は70%テレビなのだ。残りは親とネットかな)
民主党政権になったって、
その下には石頭の官僚がいて、文部科学省があって、
教育委員会があって、古い校長がいて、恐怖の日教組もあるのだ。
先ほど言った、何層もの既得権益集団だ。
日本を変えるのは難しいと思うよ。
何より、この国はアイデンティティを失いつつある。
サムライも大和魂も刈り取られ、去勢され、
勤労の美学も職人気質も滅亡寸前。
みんながみんなアタマを使わず、ラクして生きることばかりを求めている。
挙げ句の果てが持ち金の多寡による安直な序列だ。
何がFXだ。ただのギャンブルじゃねえか。

借金800兆円超に沈む斜陽の日本は、
何を誇りにして21世紀を生き残ればいいのか?
各政党に、そして何より国民に課せられたテーマは、
もっと深く重いはずだ。
それを問いかける選挙であって欲しいと思う。

僕は先生という立場上、子供たちに支持政党について語ったりはしない。
簡単に二元論に陥ってしまう年齢だからこそ、僕の物言いは慎重だ。
しかし、今回の選挙についてはチャンスだと思っている。
あまりにも長く続きすぎた、事実上の一党独裁制におさらばする、ね。
ベストではないけど、まあ共産主義よりゃマシだから、で60年。
他に選択肢がないというのは辛いことだ。
小選挙区制になって、ようやく二大政党制が日本でも実現しつつある。
本気できちんと政治をやらないと、
実にあっけなく(自民党は100を切る予測もあるとか…20年前には考えられない変化だね)
政権を失うのだという緊張感。
これこそが日本に欠けていたものだと思う。

だから僕は民主党に任せれば万事うまくいくなんてこれっぽっちも思っちゃないが、
日本に緊張感を取り戻すには、これくらいの変化は必要だと考えている。
それが本当の意味での「ちぇんじ」なのだ。
本気で日本のためのベストの政策を論じ、主張し、実行し、
ダメだったらきっちり責任をとる。
これが本当の意味での「責任力」
(「力」をつける意味が語法的によくわからないのだが・笑)
だろう。
麻生がロクに意味も考えず連呼しているが、
本当に自民党に責任力があるのだったら、
2代続けて政権放り出した責任とって、下野しろよな、と言いたい。

誰とは言わないが、
「私が着ているのは580円のTシャツ,980円のズボン」
などと、何が言いたいのかよく解らんことを大音量マイクにのせ、
「大逆風です、どうか私をお助け下さい」
と延命を哀願し、陳腐な土下座で票を乞う。
こんな候補がいるのが自民党だからなあ。

自分の仕事に自信があるなら、土下座なんかしないで堂々としてろよ。
「私は何も間違ったことはしていない、胸の張れる活動をしてきた、
これでも落ちたら仕方ない。でも私は落選しても、
民主党が何をするのかしっかりと見続けています。
国民の皆さんが民主党政権に失望することがあったら、
そのときこそ私を思い出して下さい」
とくらい、言えねえか。
「助けて下さい」なんて愚の骨頂。
…じゃあキミは、一体何人の困った国民を、
無慈悲に切られた派遣社員を、「後期高齢者」を、ネットカフェ難民を、
助けたと言うんだ?
失業の辛さ、今こそ身を以て学ぶ時じゃないのか?

だんだん熱くなって来ちゃったなあ。
まあ、この辺でやめとこう。

あ、あれですよ。民主党政権に対しても、
あんまり高い「期待値」を設定しない方が、
ガッカリしなくて済むし、何かとストレスもたまんなくて、
いいかもしれませんよ。

言い逃げ(笑)。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする