いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

葛藤

2003-07-24 03:13:29 | Rebirth歴史資料館
最近のRebirthをめぐる環境の変化を敏感に感じ取っているファンがいる。
それはとりもなおさず、様々な影響がライブに出ていることを意味する。
独特のステージングが影を潜めた、MCの歯切れが悪い、
ツアー中のセットリストが変わらない、
色々な感想が寄せられるが、大概はあまり肯定的なものではない。
これについて、俺の考えを少し書いておきたい。

まず本音から言えば、寄せられる声に含められた不満は、
そのまま俺の不満でもあるということを解って欲しい。
今まで慣れ親しんだRebirthの自由なスタイル、
それらが「メジャーになる」すなわち、「商品化される」にあたって、
商品化を図る側の価値観や方針にしたがって取捨選択され、
不要もしくは不適切と判断された部分は削除されてしまう、
そこに不安や不満を抱いているのは君たちだけではない。
何よりも俺がそれを感じている。
では何故、Rebirthは敢えて変化に身を委ねようとしているのか。

Rebirthはメジャーアーティストになることを目標に活動してきた。
それはメジャーメーカーと契約を交わしているというだけで、
街ゆく普通の人々はその名すら知らないような、
凡百の形だけの「メジャーバンド」ではなく、
多くの人々にメッセージを送る資格と権利を与えられた、
文字通りのメジャーになることだ。
自分たちのやりたいことをやりたいようにやる、
そのためには例え理解者が少なくても、客がいなくても構わない、
という古来のインディーズロックの姿勢とは一線を画している。

Rebirthの、と書くと他のメンバーの意見をも含めなくてはならないので、
ここでは俺の私見として書くが、
エンターテインメントはまずオーディエンスありき、
客に対するサービス精神がその原動力となるべきだ。
自己満足や、地位や名声や収入に対する個人的欲望、
そういうものをモチベーションにするのも一つの方法ではあるだろうが、
それらがこの「客へのサービス精神」を上回ってはいけない。
俺たちにも音楽に対する愛情、作品やライブに対するこだわりといったものは強くある。
しかし、それだけで成功するとは限らないのだ。
自分たちの視点だけでは見えないものも多くある。
自分たちが最高だと信じているものは、他人から見れば実に稚拙なものかもしれない。
その余地を第三者が埋めることによって、商品となる価値が生まれ、
メジャーの資格を得る可能性があると判断した者がいて、
彼がRebirthに投資したならば、Rebirthは当然彼の考え方にも沿わねばならない。

Rebirthは今この段階に来たばかりだ。
メジャーアーティストと呼ばれる者たちが備えていて、
今のRebirthが持っていない者は何かを考え、それらを咀嚼している。
Rebirthが持っていて世のメジャーアーティストがもっていないものも有るはずだが、
現状にあって両者が紡ぎ出している動員や売り上げの差を見たとき、
Rebirthの側の主張は説得力を持たない。
従って、現状にあっては「メジャーの方法論」と呼ばれるものを、
試しにでも導入してみるという選択肢しかないのだ。

これがファンの目にはバンドの主体性のなさ、
あるいは敗北、消極的選択という風に受け止められる可能性もなくはない。
しかしRebirthは先に書いたとおり真のメジャーになることが目標だ。
自由なインディーズで10年20年と趣味のように続けることも可能だが、
それはRebirthの望む形ではない。
それにメジャーの可能性が無くなったならRebirthは半年と続かないだろう。
ならば、Rebirthには前進しかない。
ここでつまらない自己満足やメンツを優先させてしまっては、
自ら夢に向かう扉を閉ざしてしまうことになる。
ここは不本意なことがあっても耐えに耐え、
結果を生み出すことだけを考えて努力するしかないのだ。

正直に言うと、背景には日本のCD購買層の大多数が、
音楽に価値や深い意義を求めていないことがあると思う。
日本の音楽シーンの現状に否定的な意見は数多い。
真に音楽を愛する人間、価値あるエンタテイメントを求める人間、
アーティストの心の奥底からのメッセージを感じ取りたいと考えている人間には、
現在の退屈なヒットチャートに並ぶ音楽などは何の価値もないであろう。
そういう人間の多くはメジャーにそれを求めない。
束縛を受けないインディーズやマイナーアーティストの奔放な表現に遭って、
欲求を満たすのである。
CDを買う人間の多くはカラオケや着メロなども含め、
流行に間に合わせるためのファッションの一つとしてとらえている。
もしくは特定のアーティストの信者だ。
彼らに音楽の価値観を問うても、さほどの答えは期待できまい。
しかしそれを嘆いたところで、それが現実であることを考えれば、
対応策も限られてきてしまうのである。
凡百のメジャーアーティストでは満たせない飢餓感を、
Rebirthにそれを解消する価値が有ると認めてくれた人々が、
Rebirthの変化に不満を覚えるのは仕方ないとも言える。

しかし、俺は失望はしているが絶望はしていない。
この世界では数字こそ、実績こそがすべて。
まずはメジャーという土俵にのることが大前提だ。
Rebirthが売れ、数字をたたき出したなら、
俺たちに与えられる裁量の範囲も広がるはずだ。
そこで自分たちの色を出しても遅くはない。
ならば一刻も早くそこへ到達するべく、
今はひたすらに臥薪嘗胆の日々を送るしかないのではないか。
そういう風に考えている。
そうでもなければ、とてもやりきれない。

だからRebirthを愛する人々にお願いがある。
君たちの不安や不満は誰よりもこの俺がよく解る。
ならばこの俺の今の心情も、君たちには解って貰えるはずだ。
どうかRebirthを信じて、Rebirthの闘いの日々を見守って欲しい。
かなり悲壮感の漂う書き方をしてしまったが、
メジャーへの挑戦を間近で見物できる、珍しいチャンスだととらえて欲しい。
幸運に、どんな大きな成功を手にしたとしても、
俺のみんなへの感謝が薄れることはない。
距離が遠くなるとか何とか、色んな不安を打ち明けられることもあるが、
少なくともこの俺にあっては、そんな意図もない。
Rebirthが誰にも相手にされないちっぽけなバンドだった頃から、
価値を認め、支えてくれたみんながあってこそのRebirthだ。
俺はそれを忘れないし、みんなも俺がそう思っていることを忘れないで欲しい。



ーーーーー

【2006年追記】
この後、2年ほどで俺の失望は絶望に変わる。
いつか光が差すことが、あるだろうか。
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