goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

第三腓骨筋断裂の歩様

2022-10-17 | 整形外科

「跛行診断」を整形外科に含めてしまうのはどうかと思うが、

「頭以外のすべて」を扱うのが整形外科だ、ということなら馬の跛行はまちがいなく整形外科の一分野なのだろう。

             -

「1.5ヶ月前に四肢がバラバラの歩様になり、徐々に良くなったが、左後肢にだけ異常な動きが残った」という当歳馬。

歩かせてみると、たしかに左後の動きがおかしい。

前へ出す動きが遅れるし、逆に大きく高く動かす。

過測尺?

hypermetria ; 測定過大、推尺過大 

求める対象物または目標を通り越してしまう運動失調。通常、小脳疾患でみられる。

------------ステッドマン医学大辞典

速歩させてみると、過大な動きが強調された。

痛みじゃないんだな、と思った。

              -

飛節以下はX線撮影済みということで、要望の骨盤のX線撮影をすることにした。

全身麻酔して仰向けにすると、

あれっ?左の飛節が伸びてしまう。

骨盤や股関節にX線画像で異常なし。

典型的な、腓骨筋断裂のテストをしてみる。

後膝を曲げた状態で飛節を伸展できてしまう。

後膝には、大腿骨の腓骨筋付着部から剥がれたのであろう大きな骨片がみつかった。

ずいぶん遠位まで離れてしまっている。

この骨片を摘出することで歩様が改善した、と言っていたDrがいたが、私は賛同しかねる。

後肢の重要な機能が失われているのだ。

競走馬に成れるとは思えない。 

            -

膝部の腫脹や、痛みが消えて、跛行、歩様異常、として見せられたので気づくのが遅れた。

逆に、第三腓骨筋断裂の症例が、こういう歩様になるんだな、と勉強になった。

            -

正確には第三腓骨筋 Peroneus Tertius

Lameness in Horse

のそのページには、”PT” と書かれている。

もちろん2回目以降の本文でだけど、”PT”はやめてほしいな・・・・

          /////////////

シラカバの玉に生えてきたキノコ。

食べられそうなんだけどな。

やめといた方がいいだろうな。

毎年、秋になるとこんなことを書いている気がする;笑

 



15 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はとぽっけ)
2022-10-17 06:48:58
 よくよく診れば整形外科の範疇だった。ということで。肉付きもすでに左右差が顕著なように見えます。
 1.5MOならなんとかならないものかなぁ?競走馬で成功するのはほんのわずか。ほかに生かされる道はないのかなぁ。
 スポーツ外傷後に、疲れると動きが大きく遅れる走りをする人を見たことがあります。神経系や筋肉に問題があるときもあるんだな。と思いながら読みました。

 キノコが生えると朽ちるのは早いですね。自信を持って「食べられる」のはお店で値札のついたキノコですね。
 山ではキノコ狩りや渓流釣りの方も見かけましたが以前よりかなり少ないのが不思議。外出自体を控える習慣が根付きつつあるのか深い山に行ったからか?
返信する
Unknown (東吾)
2022-10-17 08:09:57
白いキノコ、縦に裂けるキノコは毒だと聞きましたが
判定できるリトマス紙みたいのがあると良いですね。
野生動物は間違って食べないと思うのですが匂い?何でしょう?
返信する
>はとぽっけさん (hig)
2022-10-17 19:02:41
今回の跛行は筋付着部の骨折によるものでしたから整形外科で間違いないのですが。整形外科っていうと骨や軟骨や関節、と思いがちですよね。

エンデュランスが印象的でした。馬が疲れて歩様が悪くなっていく、というのは新鮮な驚きでした。

アウトドアはコロナ禍の中で人気なのではないでしょうか。人さえいなきゃあうつらない。でも、アウトドアへ出かける準備や行き帰りに人ごみに入らないといけないんでしょうね。
返信する
>東吾さん (hig)
2022-10-17 19:05:22
虫や植物を判別してくれるスマホアプリがあるそうなのですが、キノコはダメでしょうね。食中毒の責任が伴いますから。

牛も馬も毒草も食べると思いますよ。昔は食中毒がけっこうあったようです。
返信する
Unknown (zebra)
2022-10-18 06:35:23
付着部離断の時はイテテ、だと思いますが、完全に逝ってると運動と関連した疼痛は持続せず、回復不能な機能障害だけが残り、間もなく麻痺と限りなく類似してくるのではないでしょうか。
この場合は患肢の歩幅が後ろに短縮し、それを前に持ってくるために全身的な代償が起きたのかもしれません。
鶏跛みたいな?と思いましたが違いますか。
もしそうなら過去&世間の診断にも混乱があるかもしれませんね。

内科で診断してこれ外科、と回されてももう一回診断から再構築なんてのもままあると思います。
腫瘍摘出適わず、放射線行くか抗がん剤いくかなんてパターンですね。
?今回は整形と外科の判別ですか。これは難しい。

芯から腐りだしてたんですかね。
シラカバふんだんなところが亜寒帯ですね。
玉切りまで自分でされてますか。
返信する
>zebraさん (hig)
2022-10-18 19:42:28
痛みは消えるのでしょうね。残るのは麻痺ではなく、飛節が自動的に曲がってくれないために意識して曲げて肢を前へ運ぼうとする動きのようでした。鶏跛に近いです。

獣医学的にも跛行診断を整形外科としては教えていませんよね。そもそも跛行診断、が分野として意識されているのは馬だけでしょうか。

このシラカバはどこから持ってきたのだったか。自分で切ってます。
返信する
Unknown (zebra)
2022-10-19 06:40:47
自動と言いますか、リンクが伸展してしまって思ったより前に踏み出せず、それで膝で持って行き背中捩っても持って行き、で四肢失調みたいになったのかな、と思いました。

馬みたいにこれ判らないと治療に進めないよと整形で真剣に取り扱うべきなのでしょうね。
牛のダウナーは今世紀に入りかなり説明ができるようになったと思います。
これは北海道生産システムにしっかり嵌った酪農大の2大巨頭先生の貢献が多大ですね。
牛の腰痿は椎体骨折が過小評価されてると思います。
この辺は屠場が把握してるのでしょうけれども。

割った量見て買ってるんだなと思いました。
シラカバは暖炉燃料として良好らしいですが、本州ではほとんど入手できないはずです。
庭先ならACチェンソーが使えるのでしょうね。
エンジン煩い煩わしい。まあこれも楽しめる人がいるわけで。
返信する
Unknown (zebra)
2022-10-19 07:22:35
巨頭は巨塔ですね。失礼しました。
返信する
>zebraさん (hig)
2022-10-19 07:36:44
後肢は膝と飛節と趾節は連動して屈曲します。第三腓骨筋が機能を失うと、飛節が伸びたまま残るので、持ち上げ、振り出すように運ぶしかなくるのでしょう。そういう歩様になる、とは成書にもはっきり書かれていないようです。

ダウナーはかなりしっかり診断されるようになっているのでしょうか?なかなか難しいことのように思います。多大な労力がかかるでしょうし、「含まれて含まれてしまうのではやってられませんよね。

薪作業もどこまで自分でやるかよく考えた方が良いでしょう。薪ストーヴユーザーのほとんどが、5年以内に薪の自家調達をあきらめるそうです。でも、薪買ってると他の暖房方法より高くつきます。
自分で薪を調達するならエンジンチェーンソーは必須です。
返信する
Unknown (zebra)
2022-10-20 06:01:19
推察しうる既存の理屈を証明できる現象がここに出現したわけでして、こういうのが短報でも雑誌記載されれば教科書は変わっていくのでしょうね。
hig先生が教科書かけばその手間すら省けるわけでして笑

ダウナーも腰痿も相変わらず難しいです。
でも色々理屈が存在するようになって、これなら牛の獣医やってみようかな、と流れるようになるのも解るようになったのは今世紀なんだと思います。
それ以前は牛医者で免許出してもらった人しかやらない伝統芸能ぐらいにしか志す理由が教科書にすら書いてないカテゴリーだったのではないでしょうか。

薪づくりはハンドメイドですよね。
その手間が値段みたいなところがありますね。
短期的に見ればCO2リサイクルで環境にも優しいですが、煙がもっとわかりやすい問題を起こしたりもします。
チェンソー使いは車乗るような手間がありますね。
燃料、マシンオイル、目立てはタイヤ交換みたいなものですか。
買って使うとなると投資ですからね。
枝切り剪定くらいなら電動でも十分な感じです。
割るのを電動で手抜きしてはhig先生的にはつまんないですか笑
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。