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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

距骨滑車の骨嚢包

2008-10-18 | 関節鏡手術

Photo 1歳馬の飛節が腫れて、跛行を見せた。

関節炎を疑って治療したが、跛行はよくならないとのこと。

普通に立った状態でのx線撮影でははっきりした異常はみつからなかった。

怪しいところがあったので、飛節を屈曲させた撮影をすると距骨滑車に透過像が確認できた。

骨折か、骨軟骨症か、骨嚢包bone cystか・・・・

飛節の痛みによる跛行かどうかもわからないので、関節内に局所麻酔薬を入れてブロックした。

15分待って歩かせると跛行はかなり軽減された。

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Hpnx0223_2 関節鏡手術することになった。関節を屈曲させた状態で、飛節の足底側の外側から関節鏡を挿入する。

距骨の内側滑車の軟骨に病変があり、その内部は空洞になっている。

異常な骨と軟骨を掻爬した。

大腿骨の骨嚢包に似ている。

しかし、周辺の軟骨も異常に柔らかかったり、厚くなったりはしていない。

この馬はちょうどこの部分の皮膚に傷もあったので、骨節があり、その部分に骨壊死が起こり、骨嚢包ができたのか?などと想像してみる。

  それほど大きな病変ではないが、跛行はけっこう強い。

ちょうど脛骨と関節する部分に病変があるので痛いのだろう。

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1000頭前後の飛節の関節鏡手術をしてきたが、足底側の手術は10頭あるかないか。

ひょっとすると、x線撮影で病変を見逃している症例があるかもしれない。

                                 

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