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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

伝貧検査  採血事故

2009-09-14 | How to 馬医者修行

 伝貧検査や登録検査の採血では、獣医療事故が起こったこともある。

私の記憶するかぎりでは、馬の採血に慣れていない家畜保健所員や登録協会が雇用した獣医師による事故だ。

深く刺しすぎて動脈を損傷する。

針が頚動脈を傷つけただけなら出血はやがて止まるが、馬が動いたりして動脈壁が切れると出血量が多くなる。

それでも、出血量だけで死に至るほどにはならないのではないかと思う。

出血が喉頭周囲を腫脹させたり、あるいは気管を押しつぶして、窒息死させるケースが多いのではないだろうか。

 馬の臨床獣医師でも頚動脈を誤って刺した経験がある人はいるだろう。

動脈血を採る方法として頚動脈採血も実験の手技としては存在する。

頚の付け根あたりで頚動脈の拍動を感じておいて動脈を刺して、動脈血を採取する。

その後は、15分以上、採血した部位を圧迫することになっている。

15分は結構長いが、そうしないと血腫ができてしまうそうだ。

誤って動脈を刺してしまったときも、15分くらい強く!刺してしまったところを圧迫することだ。

そうすれば、大きな事故にはならないはずだ。

                          -

P9140842_2 what are they doing?


9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
>sutemaruさん (hig)
2009-09-16 17:39:48
>sutemaruさん
 「試合で怪我をするなら馬事公苑」(笑)他の会場では診療所などはないんでしょうね。
 診療所があって、獣医師が詰めていても、頚動脈の置換手術を受けているとわかるのはJRAの施設ならではでしょう。それがわからないとどうして動脈血がぴゅーぴゅーでるのかわからず焦ると思います。不幸中の幸いでした。
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>運動生理の研究に使うために、頚動脈を皮下に引... (sutemaru)
2009-09-16 12:08:20
>運動生理の研究に使うために、頚動脈を皮下に引っ張り出しておく頚動脈置換手術を受けていたんですね。
その時はご自分からこの手術自分でしたと言われたので、ちょっと母としてムカっとしたので(^^ゞ詳しい説明は聞けませんでした。
自分の子になる前の事ですので仕方ないのですけどね。
手帳には何も書いてありませんでしたので、来て毛刈りして傷が見えてはっきりしました。良く耐えて来てくれたと神に感謝です(^^ゞ
診療所のある所で良かったです。血腫も出来ないほど癒着していたので、気をつけなくてはと言う思いが強くなりました。
馬事公苑は車が遠くにあるので、すぐには器具も取りにいけなくてひたすら出血を抑えながら祈ってしまいました~
試合で怪我をするなら馬事公苑と思ってしまいました(^^ゞ
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>sutemaruさん (hig)
2009-09-16 05:58:26
>sutemaruさん
 運動生理の研究に使うために、頚動脈を皮下に引っ張り出しておく頚動脈置換手術を受けていたんですね。
 
 そういう馬は、健康手帳に書いておいてくれると助かるのだと思います。

 しかし、頚動脈置換手術を受けていたとはいえ、頚動脈が傷つくことがあるんですね。そして、よく死なずに済みましたね。
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書き忘れました。動脈を何らかの実習の目的で採血... (sutemaru)
2009-09-16 00:14:58
書き忘れました。動脈を何らかの実習の目的で採血しやすいように置換したようです。
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娘のサフィールは競馬馬時代一回も走らないで実習... (sutemaru)
2009-09-16 00:11:37
娘のサフィールは競馬馬時代一回も走らないで実習馬に出されていました。
一回も競馬に出なかったのは、資格的に出られないという前に、誰も乗せない子だったからだと思うのですが、肉にするにはまだと言う事で農大に出されたようです。引き取った時も大体人を乗せて一瞬後にロデオして落としていました(結構最近まで(^_^;))。
怪我するまではそこの状態は把握出来なかったのですが、不幸中の幸いとでも言うのでしょうか、試合中私が居ない時にたまたま怪我して血が噴出している最中サフィールの所に戻ってびっくり、皆出血の勢いに真っ青になっていましたが、急でしたので圧迫以外動きが取れなくて、それでも止まらなくて、馬事公園内の診療所に処置してもらいに行ったのですが、その時に「これ農大に居た馬だろう、これは僕がした手術だよ」って言われて、あなたのせいだったのねと複雑な母の心理でしたけどね。結局圧迫だけでは止まらなくて縫いましたが、皮膚と癒着していて昔の術後の経過が目に浮かんでしまいました。試合中は保護して飛ばせたいのですけど、何も付けさせない気の強いじゃじゃ馬ですから、着ける事は諦めています。
出ている部分は10センチほどありますでしょうか。縫い傷は30センチ弱くらい残っています。
実習馬だったのを引き取ったので、はじめからずっとその手術の状態がどうなっているか気になっていたので、それが判った事でさらに注意が出来ますから、怪我の功名かもしれません。
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>QHライダー(yu-ko)さん (hig)
2009-09-14 23:08:38
>QHライダー(yu-ko)さん
 道産子など頚が太い種類の馬で、太っていて、採血が嫌いで頚にグッと力を入れられると本当に頚静脈がわからなくなってしまう馬がいます。
 
 でも、10回も刺してはいけませんよね。
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>kinakoさん (hig)
2009-09-14 23:04:59
>kinakoさん
 若くない獣医師からの要望もありますが、あなた達は自分でできるでしょ。と思っています(笑)。
 物江先生の足元にもおよびません。
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採血をきっかけとした事故や後遺症的なこともある... (QHライダー (yu-ko))
2009-09-14 20:34:43
採血をきっかけとした事故や後遺症的なこともあるんですね。

我が家の種牡も若い頃の伝貧で、慣れない家畜保健所職員に両サイドを何度も(10回くらい)刺し直して採血されたことがありました。パロミノでしたから金色の首が鮮血で染まりました。
あの10分間は保定する私にとっても、採血する職員にとってももちろん馬自身にとってもストレスの溜まるものでした(苦笑)
若手の職員にも育って欲しいし自分もどんな困難な状況でも自分の管理する馬なら自在にコントロールできなければいけないと、お互いいい勉強になったと思っています。

その馬は一時採血に敏感でしたが今はリラックスして打たせます。が、血管が細いのかやっぱりなかなか一発では静脈が探せないようです。
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hig先生 (kinako)
2009-09-14 19:50:16
hig先生

すごい実習ですね!!素晴らしいです!
(“若い”という限定が…ToT)
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