goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

種子骨軸側縦骨折 成書の記載 症例報告での予後

2022-10-11 | 整形外科

外顆骨折に伴って種子骨が縦に割れてしまう骨折についての成書 Equine Fracture Repair の記載の続き。

             -

 文献には、種子骨軸側骨折についてふたつの報告がある。

一つは、2頭の馬での第三中手骨外顆骨折に伴って起きた外側種子骨の軸側骨折について注意を喚起するものだ。

2頭とも重度の変形性関節症を骨折と顆骨折の修復の3ヶ月以内に起こした。

もう一つは3頭の症例報告で、第三中手骨の変位した外顆骨折に伴って起きた外側種子骨の軸側骨折を報告している。

2頭の馬は顆骨折を手術したが、2頭には跛行が残り、変形性関節症を起こした。

軸側種子骨骨折の結果として深指屈腱への損傷について記載した報告もあり、のちのちの予後を悪化させる。

 軸側骨折を関節鏡で評価することは正当なことであるが、予後を改善するかもしれないという症例報告はまだない。

中手骨骨折に適切な治療をすれば、受傷した馬は引退して快適にすごせるし、繁殖供用することもできる。

まれに、必然的に継発する変形性の関節障害が問題となるかもしれない。特に種雄馬では。

修復を可能にするほど内外の幅が充分ある骨折がときには判明する、しかし併発している関節の損傷の進行は運動機能が戻ることを阻害しうる。

             -

今のところ、この外顆骨折に伴う種子骨の軸側縦骨折の症例報告は多くないし、軸側縦骨折を内固定した報告もない、ということだ。

私は、外側から3.5mm皮質骨screwか、4.0mmscrewを入れて内固定してはどうかと考えたが、競走馬を引退して繁殖供用するということなのでやらなかった。

牡馬たちのために、練習しておく必要があるかもしれない。

          /////////////

このブログを書いている私の書斎

じゃないよ;笑

これじゃあ書き物できないし。

 

 



4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (zebra)
2022-10-12 05:58:48
薄い骨折線は必ず写る訳でもないでしょうし、部分的なもの?が起きうるとしたら後になって気付くなんてこともあるのでしょうか。
関節症が問題になるなら骨片掻爬したらどうでしょうね。

家人ですか。
中から小人が出てきそうと申しますか、おとぎの世界みたいでスケールに戸惑うと申しますか。
自分にない興味を提供してくれる存在はありがたいものです。
返信する
Unknown (はとぽっけ)
2022-10-12 06:47:08
 種子骨の骨折を融合させることのみ念頭にスクリューを入れても、変形性関節炎になっては良好な予後は望めないわけですね。
 過去記事 種子骨骨折 2006-07-24 | 関節鏡手術https://blog.goo.ne.jp/equinedoc/e/e0b5ae5e120f2054ebae3db7da87609b 
 今やもう骨を取ったり、足したりは珍しい手術ではないのかもしれませんね。まさに整形術。!足す方向はどうでしょ?

 ドライフラワーがいっぱい!確かにこのデスクでは。
返信する
>zebraさん (hig)
2022-10-13 05:29:45
良質な画像を撮って初めてわかるとか、あとで見えてくるというのもあるかもしれません。

種子骨間靱帯って認識されているより大事なものかもしれません。骨片を削り取って種子骨間靱帯が機能しなくなるとまずいでしょうね。

訪れたガーデンのショップの展示でした。見事なんだけど、暮らすには不向き、と思いました。
返信する
>はとぽっけさん (hig)
2022-10-13 05:34:48
種子骨の縦骨折が癒合して、球節が安定し、関節面の段差がなくなれば、変形性関節症も継発しなくなるのだと思います。

骨移植もこれから行われるようになっていくかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。