電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【花の季節】
【花の季節】
しだれ桜開花中は普段閉じている JR 駒込駅寄りの染井門が開いているので、外出の帰りには染井門から入場して園内を歩き正門から出て帰宅することにしている。
桜が花開く季節は他の植物にとってもまた花の季節である。
六義園にて。花の咲いていない場所は人影まばら。
き‐ぶし【木五倍子・木付子】
〔植〕キブシ科の落葉小高木。山地に生ずる。高さ二~三メートル。春、葉に先立って多数の黄色花を穂状に垂らす。果実を粉とし、付子(ふし)の代用として黒色染料とする。材は杖・柄・楊枝などとする。マメブシ。漢名、通条花。(広辞苑第四版より)
毎年見る度に唸ってしまう面妖な花が今年も咲いていた。
六義園にて。キブシの花。後ろに黄色く見えているのがミツマタ。
みつ‐また【三椏・三叉】
ジンチョウゲ科の落葉低木。中国原産。繊維植物としてわが国の暖地に栽培。高さ約二メートル。枝は三つに分れる。葉は長楕円形。晩秋、落葉して枝ごとに一団の蕾(つぼみ)をつけ、春、葉に先だって異臭のある黄色の筒形小花を総状につける。樹の靱皮繊維をとって和紙の原料とする。結香(むすびき)。漢名、黄瑞香。(広辞苑第四版より)
六義園にて。ミツマタの花。名前の由来通り枝が三つ叉に分かれている。
キブシのそばにミツマタが咲いていた。ジンチョウゲの仲間なので香気が強いと聞いてなるほぼと思うが「異臭のある黄色の筒形小花」と聞いたら嗅いでみたいのが人情(?)なのだけれど、柵内に立ち入るわけにはいかないので想像するだけで我慢している。
ゆき‐やなぎ【雪柳】
バラ科シモツケ属の落葉低木。河岸の岩上などに自生。茎の高さ一・五メートルに達し、葉は披針形。春、葉とともに、雪白・五弁の多数の小花をつける。観賞用。コゴメバナ。コゴメヤナギ。コゴメザクラ。漢名、噴雪花。(広辞苑第四版より)
六義園にて。ユキヤナギ。
しだれ桜のそばで毎年見かけるユキヤナギが今年も咲いている。柳の枝に雪が積もったように見えることからその名が付けられたと聞くが確かにそういう風情がある。
人工の庭園にもやってきた花の季節を見ると自然の野に出たくなり、それは望郷の心につながっている。
( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2007 年 3 月 24 日、15 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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【六義園再開園】
【六義園再開園】
22 日から六義園が再開園しているので年間パスポート期限延長手続きに行ってきた。
DATA : SONY Cyber-shot DSC-L1
DATA : LUMIX GX7 7artisans 25mm F1.8
例年通り、日当たりの良い場所からしだれ桜の開花が始まっていた。この週末は見ごろになるだろう。
DATA : LUMIX GX7 7artisans 25mm F1.8
そしてコブシも咲き始めている。
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【ティーバッグの裏】
【ティーバッグの裏】
5 歳の子どもの詠んだ句があまりにかわいいので開封せずとっておくことにした。
DATA : OLYMPUS E-PL3 7artisans 25mm F1.8
なんど読んでも目に浮かぶ静かな雪の夜。
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【「おっ!」と気づくまでの歩数】
【「おっ!」と気づくまでの歩数】
最近は通り過ぎてから数歩引き返すことが多い。
視覚の片隅にとらえられた映像が感覚所与として脳に入って解析され、
「警告!警告!謎の物体が左手にありました!」
と数歩分タイミングが遅れて警報が出る。むかしは、
「警告!警告!謎の物体が左前方にあります!」
という早期警戒警報が出ていたはずなのに、中年になって反応が鈍くなったのだ。
静岡県清水。海辺にある清水旧市街から旧東海道方向に戻る時は、かつて清水次郎長も歩いた志みづ道をたどると、早いし足への負担が少ない。
見慣れた志みづ道沿いのブロック塀に棒が針金で結わえ付けられており、何のためにこんな事をしたのかがよくわからない……という思考がまとまって
「おっ!」
と思い、数歩引き返して
「う~ん」
と腕組みして眺める。最近はそういうパターンが多い。
意図がわからない
そのうちどんどん歩数が増え、そうとう時間が経ってから
「おっ!」
と気づいたものの
「まぁいいか…」
と引き返すことが億劫になる年齢になり、やがて
「おっ!」
と気づくことすらなくなって人は老人になるのだろう。
( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2008 年 3 月 23 日、14 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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【電力需給逼迫警報】
【電力需給逼迫警報】
寒い雨の朝になり東京西部には雪の予報も出ている。東京電力管内の電力需給が非常に厳しくなるということで電力需給逼迫(ひっぱく)警報が発令された。咲いたオオイヌノフグリも寒かろう。我慢である。粛々と要請に従ってエアコンの設定温度を 20 度に下げ、停電になるとパソコンが使えないので仕事関係で仕上がっているデータを早々に送信した。
警報が出ると無関係なところも妙に引き締まり、片付けついでに静岡の友人宛に送ろうと思っていた書籍をスマートレターで投函した。厚み 2cm 制限が気になるので折り曲げて箱のようにしたら、A5 判(210×148mm)正寸並製で厚さ 18mm の本が隙間なくピッタリ収まった。なるほど考えられたサイズになっていると、妙に感心した。
追記:
メールを受け取った北区在住の編集者から電話があったので
「 16 日深夜から 17 日未明のような停電があるといけないから早めに送っといたよ」
と言ったら
「えっ文京区は停電したんですか?」
などと言う。
「えっ、北区は停電しなかったの?」
と言ったら
「ぜんぜん」
などとと言う。
驚いたので東京電力パワーグリッドサイトで停電履歴を検索したら、文京区でも北区でも停電した町域としなかった町域がある。別に区単位で一斉に停電してるわけじゃないのだ。当たり前のことに「あ、そうか」と気づいた。
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【言葉で膝が笑う時】
【言葉で膝が笑う時】
「膝が笑う」という上手いことばがある。
極度に疲れ、膝に力が入らず、わなわなと震えたりするとき、確かに膝が笑っているように感じる。
一方、思わず膝を笑わせることばもある。
母は、
「あれが食べたいけど、でばちかに行けば売ってるかね」
などと言う。食品と出刃包丁の連想にひかれて、デパ地下と間違えているのだろう。
「デパートの地下食品売り場だからデパ地下なんだよ」
と教えても、一度思い込んでしまうと、一向にあらたまらず相変わらず「でばちかに行こう」と言ってしまい自分でも笑っている。
桜が咲いた静岡県清水市。旧東海道沿いで長年手芸用品店を営んでいた一人暮らしのお年寄りが店を畳むという。また郷里にしもたやが一軒増える。
助けになればと、片付けの手伝いに通う母なのだけれど、店にある物はすべて持って行っていいとお年寄りが言うのだそうだ。二束三文で売り払うより、愛着を持って使ってくれる人にタダで持って行って貰うというのも、桜の季節に相応しい人生の終い方のような気もする。
母もまた年寄りといえば年寄りに近い年齢なので、いただいた物を持ち帰るのも一苦労で、
「ご近所から大八車(だいはちぐるま)を借りて運んでる」
と言う。昔の人だから、リヤカーなどというカタカナ言葉も知らず、大八車などという時代がかった言葉が出て来るのかなと、それはそれで面白く聞いていた。
今朝も定期便の電話をかけたら、
「これから大八車を借りて片付けの手伝いに出掛ける」
と言う。
「いまどきリヤカーなんか持ってる人がよく近所にいたね」
と言うと、
「リヤカーじゃない、大八車だよ!」
と強弁するので、
「本当に、近所に、大八車なんか持ってる人がいるの?」
と聞くと母が怒り出し、
「あんたが、粗大ゴミや古新聞を出す時に便利だから、こんど帰省した時に買ってやると言ってたあの大八車だよ!」
と怒鳴る。
母は息子が言った台車(だいしゃ)を大八車と思い込んでいたのである。膝が笑った。
( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2002 年 3 月 22 日、20 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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【別れの歌 Abschied】
【デベラ】
【デベラ】
広島の居酒屋で初めて食べた「デベラ」の素朴な味が懐かしい。地元では出平鰈(でべらかれい)、正式名はタマガンゾウヒラメといい、小さなヒラメを干物にし、ヒラヒラ束ねて売っている。
DATA : SONY Cyber-shot DSC-L1
仕事で届いたデータを開いたらアイビーの写真があり正式名として「デベラ」と書き添えてある。そうか、ヒラヒラと風に揺れるアイビーの葉はデベラに似ていなくもないなと思い、あらためて読み直したらアイビーの正式名は「ヘデラ」だった。春分の日の朝である。
追記:新潟に行くと「フナベタ」という魚の刺身で飲むのが好きだ。もしやと思って検索したら、やはりデベラとフナベタは同じタマガンゾウヒラメのことだった。
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【春の質問】
【春の質問】
用事があって有楽町ビックカメラに行ったら、5 階に新しい Apple ストアができており、妙に恰幅が良くて艶々した肌の役者みたいな紳士が
「買うよ!息子に。さあ店員さんと話しなさい」
と息子に向かって聞こえよがしに大声を出しているのが妙な光景でおかしかった。仕組まれたサクラのようで、桜開花のニュースとともにああ春だなぁと思う。
六義園内のコブシ
帰りは駒込駅で下車して染井門から六義園内に入りしだれ桜の開花具合を確かめてから正門を抜けて帰宅したら、園内にあるコブシの巨木が満開になっていた。
見上げて写真を撮っていたら、通りかかった女性に
「あれはコブシでしょうかモクレンでしょうか」
と尋ねられた。
こちらの辛夷にはなぜかカラスがいっぱい
かつてコブシとモクレンの区別が付かず、友人に見分け方を教わって忘れないように日記に書いたのが 2003 年の事だった。教わっても春が巡ってくる度にまた忘れてしまうことが多くて毎年この季節になると自分の日記を読み返している。
かつて日記にコブシとモクレンの見分け方をメモしたことを覚えていて下さっている人がいて、時折その日記の日付を問い合わせるメールが届く。誰でも春になると忘れてしまうくらいに、うららかな春のコブシとモクレンの境界は曖昧に溶け合っている。
木蓮(モクレン)とはそもそも紫の花の紫木蓮(シモクレン)のことであり、辛夷(コブシ)と間違いやすいのは白木蓮(ハクモクレン)なのだそうだ。で、白木蓮(ハクモクレン)は萼(がく)と花弁が同形同大で 9 枚なのに対し、辛夷(コブシ)は 6 枚( 7~12 枚の場合もある)の細い花弁があり、花のすぐ下に 1 ~ 2 枚の小さな緑葉をつけている。だから、近づいて花の下に葉の有る無しを確かめれば確実に区別がつくのだそうで小さな緑葉があれば辛夷(コブシ)なのである。質問してそう教えてもらったメモだ。
六義園内のコブシの巨木は花を見ると花のすぐ下に小さな緑葉をつけているのが見えるのでコブシだとわかり、実は木の根元近くに行ってみると、ちゃんと「こぶし」と書かれた札がつけられている。
コブシと春の空
園内すべての樹木に名札が付けられているわけではないので、春が来て巨木に白い花が咲く度に
「あれはコブシでしょうかモクレンでしょうか」
という問い合わせが庭園管理事務所に寄せられていたので名札が付けられたのかもしれない。
それでも
「あれはコブシでしょうかモクレンでしょうか」
と尋ねてしまうのは、それがいかにも春らしい良い質問だからだろう。
( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2007 年 3 月 21 日、15 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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【落とし物】
【落とし物】
道端に落とし物をした人と拾った人がいいる。習得され、現場近くに置かれたまま、いつまでも回収されない落とし物は寂しい。
DATA : LUMIX GX7 G VARIO 35-100 F4.0-5.6
この子も、もう長いこと赤い郵便ポストの上で待ち続けている。
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【植物と人為】
【植物と人為】
幼い頃から人がする意味のわからない仕事を見るのが好きだった。畑仕事をするお百姓のそばにじっとしゃがみ込んで農作業を眺めていて、物欲しげに見えたのか、作業を終えて帰る際に野菜をくれることがよくあった。
DATA : LUMIX GX7 G VARIO 35-100 F4.0-5.6
人が植物に働きかけた仕事の結果はすぐに出ないので、なんの目的でこんなことをしたんだろうと想像するのが楽しい。本郷通り沿いの植え込みにて。
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【青空より青い空】
【青空より青い空】
銀座一丁目の出版社で打ち合わせを終えて有楽町駅へ向かう道すがら、並木通りでふと空を見上げたら青空に青いガラスの街灯があった。青いガラスを透かして見る青空はそこだけいっそう青い。
中央区銀座一丁目。並木通りにて。
しばらく銀座の出版社での仕事が続いて、銀座一丁目から京橋界隈をぶらぶら歩くことが多い。
両親の介護で外出できない妻が、赤・緑・白・黒などいろいろな胡椒の粒が入ったミル付き香辛料が使い終わり、近所では手に入らないとさびしそうにしていたのを思い出し、たしかイタリア製だったので『明治屋』ならあるにちがいないと思い、行ってみたら同じものがちゃんとあった。
中央区銀座一丁目。並木通りにて。
京橋で目当てのものを見つけ、手土産ができたのが嬉しくて銀座方面に引き返したら、札幌で行列ができるほど人気だというスープカレーの店が開店しているのを見つけた。『札幌 Dominica 』というのだけれど、どうして札幌とカリブ海イスパニョーラ島東部の共和国が結びつくのかわからない。
東京京橋の明治屋でイタリア製の胡椒を買ったついでに札幌の Dominica を見つけ並木通りで青空の青いガラスを見上げてため息をつく春の帰り道。
( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2007 年 3 月 20 日、15 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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【接触と非接触】
【接触と非接触】
2007 年 3 月 18 日から首都圏で PASMO による自動改札が始まり、すでに JR 東日本の Suica を使っているのでまた複数規格乱立の煩雑で無益な競争世界に巻き込まれるのかとうんざりしていたら、PASMO と Suica はそれぞれの機械で相互に利用できるのだという。Suica を持っていたら無理に PASMO を持つ必要はないらしい。
仕事で外出したら地下鉄各駅の改札は見事に非接触型 IC カードシステムの読み取り機に替わっており、PASMO の機械に Suica のカードを恐る恐るかざしたらちゃんと通過できてほっとした。
地下鉄銀座線末広町駅にて
そういえば手元にある VAIO のノートパソコンにはこういうカードの読み取り機が付いていたのを思い出し、調べてみたら PASMO も Suica もソニーの非接触型 IC カード FeliCa の技術を採用し 13.56MHz 帯周波数を利用して無線通信を行うのだった。
昨日の首都圏ニュースで PASMO の運用開始に伴う技術解説を見ていたら、瞬時に運賃計算を行う分散型処理機能を一つひとつの改札機が持っている仕組みに感心した。感心したけれど停電やコンピュータのトラブルでも起きたら大変なことになるだろうなぁとちょっと心配になる。
最寄り駅である JR 山手線駒込駅の改札に駅員のハサミの音が鳴り響いていた頃のことをつい昨日のように思い出す。
面白い駅員がいて通過する乗客がいないときでもハサミをリズミカルに楽器のように鳴らしていて、その響きが心地よくて今でも耳について離れない。
JR山手線駒込駅にて
足下に切符の切り屑が無数に散らばり、その切り込みの形にもさまざまな情報があるらしく、駅員はハサミで切符を切りながら見事に不正乗車者を見つけだしていたのだった。
コンピュータによる非接触型自動改札の凄さに驚きつつ、人力による接触型手動改札の暖かみを思い出し、あれはあれで凄かったんだなぁと改めて感心しつつ懐かしく振り返る。
( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2007 年 3 月 19 日、15 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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【剪定】
【剪定】
休園中の六義園と敷地周辺で樹木の剪定作業が盛んに行われている。
DATA : SONY Cyber-shot DSC-W1
ヨーロッパ暮らしの経験がある友人は
「日本の公園の木はかわいそう、日本人は剪定のしすぎ」
と憤っている。日本人が剪定好きなのではなく、欧州とは樹種や気候の違いもあるんじゃないかと思うけれどよくわからない。
DATA : SONY Cyber-shot DSC-W1
妻は剪定された樹木を見て
「プロなのか素人なのか知らないけど、ずいぶん思い切って切るわね」
と言い、
「でもなかなかうまいこと切ってあってさっぱりして見えるね」
と言ってみたが同意を示す返事がない。
さっぱりしたくなったので理容室まで剪定してもらいに行ってきた。
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【本当の耳垢】
【本当の耳垢】
耳垢(みみあか)俗称耳糞(みみくそ)は空気中の埃や、皮膚の残骸や、外耳道の耳垢腺から出る分泌物が混ざりあったものであり、乾燥した乾性耳垢と湿った湿性耳垢があるのだそうだ。
日本人では湿性耳垢の人は約 16% だと言われている。この割合は人種によって大きく差があり、北部の中国人や韓国人で湿性耳垢は 4~7% に対し、ミクロネシア人やメラネシア人では 60~70% 、白人では 90% 以上、黒人は 99.5% が湿性耳垢であると言われている。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より ※2007年当時)
自分の顔を見るとどう考えても「ミクロネシア人やメラネシア人」の系統の顔で確かに耳垢が湿性なのに対し、妻の顔を見るとどう考えても「北部の中国人や韓国人」の系統の顔で耳垢は確かに乾性である。
東京都港区赤坂にて
で、驚くべき事に日本人では少数派、100 人中 16 人という湿性耳垢体質の人間だけが「本当の耳垢」が出るのだという。
2006年1月29日、長崎大学の研究グループの論文発表で、耳垢が湿性か乾性かを決定するのは DNA の塩基配列の 1 ヶ所の違いであることが判明。また同論文では、「乾性耳垢」というものは本来存在せず、この体質の人は先天的に耳垢が出ない体質であり、彼らが耳垢だと思っているものは耳壁の皮や外部の埃などであることが述べられている。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より ※2007年当時)
わが母親はしょっちゅう耳かきを持って耳掃除をする人だったし、親戚の者もよく耳かきをし、瓦職人だった叔父などは仕事の合間に耳かきがないとマッチ棒や釘の頭を耳かき代わりにして耳をかいていた。おそらく家系が湿性で耳垢の出る体質なのだ。
一方、 日本人の 84 パーセントは耳垢が出ないけれど耳かきをしているということになり、妻に聞くと耳垢がとりたいのではなく耳の中が痒いのだと言う。そう言うときに古墳の石室を覗くように耳の中を見せてもらうと確かに耳壁の壁が剥がれかけている。
湿性耳垢は優性遺伝し乾性耳垢は劣性遺伝するのだそうだ。
( 2009 年 3 月に閉鎖した電脳六義園通信所 2007 年 3 月 18 日、15 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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