電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【紙のアコーディオン】
【紙のアコーディオン】
妻が誕生日のプレゼントに「紙で作る手のひらサイズのアコーディオン ペパニカ」というものを編集者からもらった。紙工作でつくるかわいいアコーディンである。
ペパニカは紙でつくる楽器です。 ひとつ1音鳴ります。 ドレミファソラシドをつくって集めると演奏を楽しむことができます(ペパニカ公式サイトより)
自分で組み立ててみると言うので水溶性で乾きの遅い木工用ボンドを買ってきてやった。
工作の肝である蛇腹折りで苦戦しており、どう見てもギブアップ状態に見えたので引き取って手伝った。蛇腹折りで四角い筒をつくるのはトポロジックな作業で、点線と実線による山折り谷折りの言語的解釈だけではちょっとむずかしい。
トポロジックな立体の例に錯視的立体「クラインの壺」がある。壺の外壁を辿っていくといつの間にか内壁になり、内壁を辿っていくといつの間にか外壁になり、それが無限につづく。錯視の本にはそういうおかしな壺の下手糞な絵が載っている。
あれは Kleinsche Fläche の Fläche をフラスコ(壺)と間違えているのであり、正しくはフレッヒェ と読んで「面」である。
蛇腹折りでくるっと筒をつくると山折りはやがて谷折りになり、谷折りはやがて山折りになるという循環が永遠に続く。妻が苦労した折り目をいったん全解除して、子どもの頃いじった写真機の蛇腹を思い出しながら、手が勝手に動くのにまかせて折り上げた。
妻が横から山折り谷折りの説明をぶつぶつ言うので、
「身体が野性的に作業してるのに、言語的理論なんかで横槍を入れるんじゃない!」
と言って笑った。頭で組み立てた理屈で作業するから面がいつの間にか壺になったりするのである。
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