電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【 T 字路と X 字路と Y 字路】
【 T 字路と X 字路と Y 字路】


T 字路(てぃーじろ)ではなく丁字路(ていじろ)が正しい日本語だけれど、 字形との符合を重視すると、十字路ではなく X 字路と表現したい交叉点や、Y 字路と表現したい二股の分かれ道もある。
東京は関東大震災や、東京大空襲や、都市開発で、江戸の昔から残る生活道の痕跡は少ない。それでも現代の地図と古地図を仔細に見比べると、奇跡的にそれが残っていることがあり、そういう場所は地図上でも現地でも、不思議な具合の景観になっている。
正岡子規の墓がある大龍寺脇の八幡坂を田端西台通りに向かってのぼると奇妙な Y 字路があり、明治維新期の地図を見ると X 字路になっていて、当時の定式符合表によると「徒歩ニ非レハ通シ難キ小径」が交差していたことになっている。江戸時代から牛馬を曳いては通行できない細い道だったわけだ。
人が斜面を楽な角度で上り下りしようとしたら直行より斜行が楽なので、斜行した道が交差して十字路ではなく X 字路ができる。この X 字路は高度成長期頃まで地図に X 字路の状態で残っている。けれど、バブル経済期の地図では現在のような Y 字路になっており、土地の売買が行われて区画が変わったのだろう。この二股は歴史的古道のちいさな忘れ形見になっている。
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