◉権現堂堤の桜

2019年3月30日(土)
◉権現堂堤の桜

会社員時代の友人夫婦と久喜市狐塚の川魚料理屋で食事をしようという話になり、電車を乗り継いで出かけた。友人夫婦の地元である。

駒込から山手線で日暮里に出て、常磐線、東武伊勢崎線、東武日光線と乗り継ぎ、南栗橋駅前に集合した。ネット上にほとんど情報のない、まさに隠れ家的な店を友だちのブログで見つけ、「いいなあ」と書き込んだら連れて行ってもらえることになった。店の名は川魚料理『魚楽』という。農地の真ん中にぽつんとあるといった風情の店なので、南栗橋駅前まで車で迎えに来てくださり、帰りはお願いして権現堂堤そばの橋まで送っていただいた。妻は鯉のあらいと鯰の天ぷらにいたく感動していた。

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郷里静岡県は海沿いに長く、熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松と東海道新幹線の駅が6駅もある。それでも県域を広大と感じないのは平野部が狭隘だからだ。電車に乗って埼玉県内に出かけるたびに、武蔵野の広さを実感し、その広大さに自分の縮尺が縮んで砂つぶになったような気がする。

そういう感慨が胸に迫るたびに

むさしのは月の入るべき山もなし
草より出でて草にこそ入れ

という歌を思い出す。

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広大な武蔵野原に見事な桜並木がある。テレビでよく見る「あの」権現堂堤桜並木を初めて歩いた。桜はまだ四分咲き程度だが、この週末は見頃となって大変な人出になるのだろう。露天の多さにも驚いた。

 

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友人の奥さんは、NHK がテレビで宣伝するからこんなことになっちゃった、地元の人たちが茣蓙を広げてお花見をしていた頃はもっと良かったと苦々しげに言っていた。広大な平野にひっそりと連なる桜並木の幽玄さに、静かに心うたれた時代があるのだろう。

 

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あまりに寒いので幸手駅行きの臨時直通バスにそそくさと乗りこみ、旧日光街道御成道の名残りがある家並みを車窓から眺めた。御成道を江戸に向かって辿れば駒込まで歩けるわけだ。遠い昔の武蔵野の旅を思う。

(2019/03/30)

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