【表裏に浮かぶ舟】

【表裏に浮かぶ舟】

禅でいう「貧」は富や地位を捨てるというより、富や地位などという俗なものを「欠いている」ということであって、積極的に欠いていることにより貧富の俗性が明らかになっている。「貧富」は一体となった欲の表裏に過ぎない。

「ある」と思うから「ない」、「ない」と思うから「ある」があって「有無」は表裏に過ぎない。「多い」を知るから「寡(すくな)い」が知られるのであって「多寡」も表裏一体になっている。つまるところ「生死」もまた起きると寝るが表裏になった「起臥」に似ている。起きているのが辛いと眠くて眠くて「死ぬほど眠りたい」などと思うのはそのせいだろう。

「表」を欠いた「裏」は無く、「裏」を欠いた「表」も無いという当たり前のことが言葉ではわかりにくい。けれど南宋の画家馬遠の寒江独釣図(かんこうどくちょうず)で水面に浮かぶ舟と人の絵を見たりすると、「いいなあ」と思う。「いいなあ」と思うことで、それが胸に沁みてわかったような気がする。だから一枚の絵が国宝になっている。

2024年4月15日 文京区立昭和小学校前にて

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