【朝食と塩辛】

【朝食と塩辛】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2006 年 10 月 7 日の日記再掲

幼い頃、瓦製造を営んでいた祖父母の家の食卓には必ずカツオの塩辛があり、
「朝、カツオの塩辛で飯を食っておくと仕事で汗をかいても汗が眼に入らない」
と祖父はよく言っていた。カツオの塩辛は労働者の友だった。
 
戦前、戦中、終戦直後にかけての思い出話を聞くと、清水上町あたりの漁師の家ではカツオの塩辛を手作りしており、自転車のカゴに空の一升瓶を入れて遠路はるばる買いに行ったという人が多い。その頃は清水にもカツオの水揚げがあったのだ。

■東海道本線始発列車、富士川鉄橋通過中。
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東京駅午前 5 時 20 分発静岡行きが、下り東海道本線の始発である。

この列車は特急列車の車両を使って運行される普通列車なので乗車券だけで利用でき、ゆったりとしたリクライニングシートに腰掛けて、乗り換えなしで清水駅まで行けるのでとても都合がいい。

この列車に乗るためには JR 駒込駅 4 時 33 分発山手線外回り電車に乗ることになる。そうすると東京駅 4 時 50 分着で、東海道線下りホームに入線している午前 5 時 20 分発静岡行きに余裕を持って乗車できる。その次の駒込発 4 時 59 分に乗って東京駅 5 時 14 分着、階段を駆け足で下って通路を走りホームへ駈け登って 5 時 20 分発静岡行きに飛び込む、という手もあるのだけれど、それだとすでに二人掛け席の窓際が満席であることが多い。

■新蒲原駅到着直前。
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毎週末の片付け帰省、JR 駒込駅 4 時 33 分発山手線外回り電車に乗るためには遅くとも午前 3 時頃に起き出して荷造りをし、身支度を調えなくてはならない。当然寝不足になるので東京駅午前 5 時 20 分発静岡行に乗り込んで腰を下ろした途端にまぶたが重くなって眠ってしまうことが多い。

終点静岡駅 8 時 26 分着のこの列車は、東京駅ホームを離れると時間の経過とともに次第に通勤通学に便利な列車になるようで、乗客が次から次に乗り降りして入れ替わり、8 時 14 分清水駅に到着するまで満席で立っている乗客も多い。

清水駅東口ができてからは江尻船溜まりのある海側の駅前に降り立つのが好きだ。

駅連絡通路を歩いて地上に降り立つとほとんど岸壁にいるに等しいという海辺の駅なので、普通列車 3 時間弱の旅を終えて海風に吹かれて歩くのはとても心地よい。

■静岡県清水、入江船溜まりの漁連丸。
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平日だと魚河岸に隣接して何軒かの食堂が早朝から店を開けており、港や魚市場で働く人達が朝食を食べている。リュックサック背負って入っていくと「おはようございます!」と声がかかるのもまた早起きの疲れを癒し充実感をもたらしてくれる。

『河岸食堂どんぶり君』に入り「マグロの生姜焼き定食」を注文して壁の品書きを見たらカツオの塩辛が無料なので食べたい人は申し出るように、と書かれてあってびっくりした。厨房に置かれた大きな密閉容器の中身がそれではないかと思って見ていたら、案の定お玉でたっぷりよそってくれ、目を見張るように見事な自家製だった。

カツオの身(の欠片)や内臓が大振りに刻んで塩漬けされたもので、何となく部位の形がわかる野趣溢れるものであり、そのくせ生臭みがなくほどよい塩加減で唸るほどおいしい。容器入りで市販されているカツオの塩辛とは味も見た目もかなり違う。

思わず大盛りのどんぶり飯をおかわりするとすかさずマグロ刺身のぶつ切りが一皿サービスで出てきたりするのも嬉しい。

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