電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【ヘチマの蔓】
【ヘチマの蔓】
(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2002 年 10 月 4 日の日記再掲)
自然の造形は素晴らしい。
仕事帰り、JR 駒込駅から『私の庭みんなの庭』に寄り道し、ヘチマ棚を見たのだけれど、ヘチマの蔓の先ってなんて凄いのだろう。
蔓が伸びて次々に突き当たるものに絡みついて、葉を繁らせ、太陽の光を受け、秋には見事なヘチマの実をたわわにつけるのだけれど、絡みつく対象を見つけられなかった蔓が、自らを始末するようすが美しいのだ。
「自然なカーブ」という言葉を誰でも口にする。
例えば、習字の時間、いけないと言われている二度なすりをした文字の不自然さは、誰でも気づいてしまうし、焼き物を見に行って曲面が気に入らないのは、自然なカーブでないことに、気づいていたりするのだ。
人間は自然が作り出す曲線の美しさを知っていて、数学の時間、グラフ用紙に座標点を打ち、繋いでいくうちに出来上がる曲線を、美しいと感じるような感性を誰もが持っているらしい。それが母胎に宿る以前、人間の遺伝子に書き込まれている知恵なのか、初めて触れる母親の身体のまろやかさに源を発する、学習の結果なのかは知らない。
ヘチマの蔓が描く曲線の美しさは、見ていても見飽きる事がない。アルファベットのスクリプト書体の美しさに似ているし、かな文字草書の流麗さにも似ている。
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