電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
▼冬に咲く桜
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芥川龍之介が見たら仰天すると思うほど、綺麗でハイカラになった田端駅で下車し、かつて文士村があった高台を歩くと、季節はずれの桜が咲いているお宅がある。毎年必ず一瞬驚き、寒い季節に花をつける桜は、春になったらもう一度花が咲くのかと気になり、確認のために見に来ようと思っては忘れている。
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北区田端にて。
それにしても、年に数度しか通らない道なのに、毎年冬に咲く桜の開花に遭遇するということは、開花時期に合わせるように、毎年この道を歩く用事ができるわけで、人間も植物も知らず知らずのうちに、厳密な周期性によって回遊し、遭遇しながら暮らしているのかもしれないなと、我ながら感心してしまう。
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北区田端にて。
帰宅して朝日新聞を開いたら、冬に咲く桜の紹介があり、名は十月桜だという。十月頃から咲き始めるのでその名があるそうで、あの桜も十月桜かもしれないと思い、記事を読んだら十月頃から咲き続けて翌年4月頃に満開を迎えるのだという。厳密な周期性ではなく開花期が長いので遭遇しやすいだけなのだ。
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