【おはようドリームプラザ】

【おはようドリームプラザ】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 4 月 15 日の日記再掲

 

4 月 15 日、エスパルスドリームプラザ前で行われるようになった第 2 回「あっ朝市!」に出店している友人たちを訪ねるため早朝の清水の街を歩く。

■おはよう、黒猫も散歩する清水万世町。

持ち主が誰であれ他人の所有物を壊したり悪戯書きをしたりすれば犯罪なのだけれど、都市部でよく見かけるそれらの犯罪行為が「私(わたくし)」のものより「公(おおやけ)」のものを標的として行われる事に複雑な思いを抱いてきた。犯罪行為の元となる心の鬱憤が「私」でなく「公」に向けられるのが若い頃から不思議だった。

■おはよう、竜爪山と崇徳(ストックトン)橋。

「私」には動脈もあれば静脈もあり汚濁と浄化の仕組みを内包するダイナミズムがある。一方「教育」などに頼らなくてはならないほど「公」のあり方は難しく、清らかな概念を表面に貼り付けて護持しようとすればするほど「悪血(おけつ)」が滞ったように病を孕んで見え、犯罪者の肩を持つわけではないけれど、かれらの標的選びを見ているとそういう綻びかけた社会の肌触りに敏感なのかもしれないと思ったりする。

■おはよう、エスパルスドリームプラザ。

清水千歳町のコンビニエンスストアでおにぎりとサンドイッチを買い、入船町の歩道橋に登って国道 149 号線を渡るとそのままエスパルスドリームプラザ 2 階展望ウッドデッキとなり前方に朝の清水港が見えてくる。エスパルスドリームプラザは商業ビルなので「私」の場所なのだけれど、建物の内側以外は一般の人に四六時中開かれていることに感心する。

ウッドデッキに並べられた椅子に腰掛け、ペットボトル入りのお茶を飲みながら、海を眺めて朝食を食べる。ジャージ姿の高校生が早朝トレーニングに疲れたのか暖かなウッドデッキで横になり、犬の散歩やウォーキングの中年夫婦が海辺を散歩していたりしていて、この辺に住んでいる人は恵まれている。入江南町の実家から直線距離の往復で 3 キロ、カクカクと道を折れながら 1.5 倍を歩くとして往復 4.5 キロの地点にこんな場所があったら毎日でも散歩したいと思う。

■おはよう、清水港。

朝ご飯を終え行儀の悪い利用者が食べ散らかした容器もまとめて備え付けのゴミ箱に放り込む。見ていると散歩の人たちもゴミを拾ってはゴミ箱に投げ込んだりしており、「私」の場所を開くことによって動脈もあれば静脈もあり汚濁と浄化の仕組みを内包するダイナミズムのある自然発生的な「公」の空間が形成されていることに感心する。

いつまでも「おはよう」が心地よい場所であってほしいと願いつつ朝市会場に向かう。

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