【体操と収穫のサンバ】

【体操と収穫のサンバ】
 

 静岡県清水桜橋町。中学校の一年先輩で、珈琲自家焙煎工房のご主人が育てている家庭菜園のキュウリ。
「キュウリもトマトも遠慮しないでどんどんとっていいから」
などと言うので笑ってしまう。



清水桜橋町の家庭菜園。

 幼い頃、清水大内にあった祖父母の家でも自家消費用に野菜を作っており、ちょっと余った土地に、ナス、キュウリ、トマトのほか枝豆やトウモロコシやトウガンも作っていた。
 夏の野菜はみんなそうなのか、実がなったら少し小さいと思うくらいのところで収穫しないと、あっという間に大きくなって、皮の固いお化けキュウリやお化けナスになってしまうので、次から次にはえてくる野菜に追い立てられるように、とっては食べとっては食べして過ごした。
「ラジオ体操の帰りに畑へ寄って野菜がなってたらもいで来い」
などと言われ、手を棘だらけにしてもいで帰ったものだった。ナスもキュウリもトマトもトウガンも、次から次に実をつける夏の野菜には、なぜかみんな棘があった。



ここからが早いキュウリの成長。

「お金を払って買わなくたって、人が汗を流せば、お天道さんと地べたが食べ物は恵んでくれる」
と祖母は口癖のように言い、時折嫁に手伝わせて畑の手入れをしていた。そして夏本番になって収穫量が膨大になると、ありがたいありがたいと困ったように笑いながら次から次へと野菜を食べており、夏の食事というと、山盛りのキュウリ漬け、山盛りの枝豆と茹でトウモロコシ、山盛りのナス味噌炒め、山盛りの冷やしトマト、具だくさんのトウガン味噌汁という、野菜だらけの食卓が目に浮かぶ。
 夏の野菜が実る光景に、サンバのリズムに乗ってラジオ体操と野菜の収穫に追われ、困ったように笑いながら慌ただしく駆け抜けた夏の日々を思い出す。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )
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コメント
 
 
 
青野菜の匂い (sakura)
2009-07-22 09:25:08
野菜は買うものではなく、畑から採ってくるものと言う習慣がいつの間にか抜けてしまっていましたが、地べたとお天道さまがあったことを感謝していただいています。
青い野菜のみずみずしい匂いをかぎながらラジオ体操に通いましたね。
 
 
 
もうひとつ ()
2009-07-22 10:41:25
青い野菜のみずみずしい匂いをかぎながらラジオ体操に通い…の続きにあったことを思い出しました。
枝豆を枝から切り落とす作業と、とんもろこしの皮むきをやらされました。昔の子どもと小なべはよく働きます。
とんもろこしはむいたあと、外側の皮を折りたたんで輪ゴムでとめ、葉をほぐしてブラシ状にし、それで醤油をなすり混む作業をさせられました。
「うわっつらだけ撫でてたじゃ、醤油んしみこまないんて、味がしにゃあ」
と祖父に言われたのを思い出します。焼きとんもろこし、懐かしい。日蝕記念で(?)今日焼いてみようかな
 
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