五月の庭

2014年5月5日(月)
五月の庭

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平日も連休も関係なく毎日母親の食事介助に通う妻と一緒に、埼玉の老人ホームまで五月最初の訪問をした。義母が暮らす南向きの居室からベランダに出たら、前回四月二十九日の訪問から五日しか経っていないのに、小さな庭には生き物の気配が増していた。

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蕾ばかりだった柚子には、弾けるように開花した白い花がちらほらと見える。虫たちにとってかなり魅力的な花であるようで、開花を待ち侘びた大きめの蜂たちが、ブンブン羽音が聞こえてきそうな勢いでまわりを群れ飛んでいる。

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となりにあるカリンは花がとうに散ってしまったけれど、こんどは子房がずいぶん膨らんできており、柱頭、花柱、子房などの構造がよく見える。

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老人ホームの細長い庭はアゲハチョウが定期的に巡回する蝶道(ちょうどう)になっている。細長い庭を東西に通過していく個体もあれば、老人ホームの壁沿いの上昇気流にのり、南北に山岳越えをするように舞い上がっていく個体もある。

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蝶道に沿ってアゲハチョウが飛来するたびに、縄張りを守ろうとスクランブル発進していく一回り小さい蝶がおり、撃退後カリンの葉で一休みする姿を見つけたので撮影したらミスジチョウだった。片方の羽を損傷しているが、意に介さないかのように高速で上手に飛ぶ。

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身体を損なった姿を見て胸が痛むのは、人間がかなり長い命を生きられるからで、あんな身体になってこの先お気の毒になどと思うからなのだけれど、蝶の命は身の不幸を悲しんでいられるほど長くない。

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そんなことを考えていたら人を恐れないミスジチョウが、カメラを持ってもたれたベランダの脇に止まるので怪我の具合を見せてもらった。この夏無事に子孫を残せたら、その子どもは越冬してふたたび五月の庭に羽化するはずで、来年もまたこの個体の子孫が庭を飛び交う姿が見られますようにと祈る。


→ 前回の訪問 2014年4月30日(水) 遠くの世界と近くの世界

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