【旧清水市役所と大胞子葉の褐色毛】

【旧清水市役所と大胞子葉の褐色毛】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 5 月 28 日の日記再掲

8 時 26 分新清水バス停発の清水ライナーを待つ間、旧清水市役所辺りを散策。

妻が免許証の書き換えに行ったら新しい免許証には本籍地の表記がなくなり、さらに個人情報保護のため 4 桁の暗証番号を 2 つ登録する磁気カードになっていたと言う。次回の更新からはそういう免許証を持つことになるのだけれど、免許証に記載される本籍地は旧清水市役所の番地にしているので免許証から表記が無くなるとちょっと寂しい。

前回の更新案内が来た時は母の病状がいよいよひどくなり仕事を休んで清水の実家に泊まり込んでいたので、更新のためにわざわざ帰京することもできそうになく、9 月の誕生日まで 1 ヶ月の更新可能期間になったら清水でも更新してもらえるのかな、清水の本籍地表示の免許証だからやってくれるんじゃないかな、などとあれこれ思案したものだった。

■旧清水市役所時代からある大蘇鉄。

旧清水市役所前に大きな蘇鉄があり、根元に寄贈者のネームプレートがあるので今の市庁舎ができた際に寄贈されたものだろうと思っていたのだけれど、読んで見るとなんと寄贈されたのは昭和 29 年になっている。ということはこの蘇鉄は丹下健三設計の旧清水市役所を知っている。

小さな蘇鉄は大蘇鉄で名高い龍華寺から贈られたもので蘇鉄の寄贈はもっともな根拠がある。一方大きな蘇鉄の寄贈者は個人名でありどんな人だったんだろうと横砂 68-4 で地図検索してみたがヒントがない。

■雌株の分泌物。
NIKON COOLPIX S10

蘇鉄は雌雄異株の常緑裸子植物である。
郷里静岡県清水はなぜか町の中に植えられた蘇鉄が多く、子どものころからよく眺めて育ったけれど、雌株の真ん中にある雌花は不気味な形状の触手のようなもののまわりにオレンジ色のものを分泌しており、松脂(まつやに)のように触ったらべとっと指に付着しそうでおぞましく思っていた。

■雌株の分泌物。
NIKON COOLPIX S10

人間暇だと余計なことをしたくなるもので、ちょっと植え込みに入って恐る恐る黄色い物質をつまんで見たら、拍子抜けするほど柔らかくさらっとした繊維状のもので、毛布の毛をむしり取ったのに似ている。

■膝にのせてアップで写した雌株の体毛。洗いざらしたジーンズと対比するとその繊細さがわかる。
RICOH GR Digital

雌花は気味の悪い物質を分泌しているのではなくふんわりとした体毛に包まれて毛深いことがわかったけれど、毛深いことをもっと上手に表現できないかと広辞苑を引いたら、
「雌花は羽裂した大胞子葉が束生。大胞子葉は褐色毛で覆われ、下部に 1 ~ 3 対の胚珠をつける。」
とあり雌花の毛は「大胞子葉の褐色毛(だいほうしようのかっしょくもう)」と呼べば良いのだった。

そういう紋切り型の表現を覚えて安心するのは、対象の存在を気味悪がっている証拠なのだ。

 

 

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