におい


Z9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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電車の中で座っていたら、強いにんにくの臭いがしてきた。
少し前に、酔って顔を赤くした男性が乗ってきて、ひとつおいて隣のシートに座った。
その人がにおいの発生源のようだ。

マスクをしていると、臭いがマスク内部に滞留するのだろうか。
しばらくその臭いから逃れられなくなる事がある。
嗅ぎたくなくても、息をするたびにその臭いが鼻から入ってきてしまう。

にんにくの臭いは苦手なので辟易した。
自分で食べる分には、それほど気にならないのだが、人の食べたにんにくの臭いは大嫌いだ。
鼻の中にその濃厚な臭いがいつまでも滞留している。

そのうち本当に気分が悪くなってきた。
もう無理だと思い、堪らず席を立ち、隣の車両に移った。
男性は「何か文句でもあるか」という顔で、ちらりとこちらを見た。

においって、その発生源から放出された分子が空気中を彷徨い、それが鼻から体内に入ってきて、センサーが感知するのだろう。
調べてみると、鼻の内部にある粘膜に、その分子がくっついて溶け込むらしい。
それに細胞が反応して、脳に情報を伝えるのだという。

つまり、臭いの大元である物質が、実際に鼻から体内に入ってきて、しかも体に取り込まれてしまうのだ。
あの酔った男性の胃の中にある、噛み砕かれたにんにく料理やアルコール、その他のグチャグチャしたものの分子が、自分の体の中にも侵入してきたのである。
臭いを感じるという事は、空気を通して、あの男性の胃の中と繋がっていることでもある。
考えれば考えるほど、気分が悪くなってきた・・・

よく「臭いにおいには○○」などといった消臭剤の宣伝があるが、そもそも臭いを感じた時点で、もう自分の体内にそれが入っているわけである。
ということは、トイレで排泄物の臭いがしたり、腐った食品をにおいで判別する時などは・・・
ああ、もう考えるのはよそう。
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