細部


D810 + AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED

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下の写真はアレン・エドモンズ製造の3種類の内羽根式ウイングチップの靴。
手前から・・・

・アレン・エドモンズ「ヘリテイジ」
ゴルフシューズを通常の靴に改造したもの
ウォールナット・バーニッシュド・カーフとボーン・カーフのツートン。
サイズ:US8E
2015年6月13日の日記
2015年7月8日の日記

・ウルヴァリン・1000マイルシリーズのウイングチップ。
アレン・エドモンズ製造。
ブラウンとブルーのオイルレザーのツートン。
サイズ:US8D
(ここでは未紹介)

・アレン・エドモンズ「マックアリスター」
メルロー・バーニッシュド・カーフ。
サイズ:US7.5EEE
2014年5月12日の日記

である。

中央のウルヴァリン・ブランドのモデルは定かではないのだが、恐らくすべて65ラストで作られていると思われる。
いわゆる5番ラストである。
それぞれサイズが違うが、まあ何とか履いている(笑)



ウイングチップのパターンは、恐らく一番奥にあるマックアリスターがオリジナルで、他の2機種はその派生モデルではないかと思う。
一見よく似た外観の3足であるが、よく見ると細部にかなりの違いがある。
今回この3足を載せたのは、その比較がなかなか興味深かったからである。

たとえば靴紐のアイレット数を見ても、マックアリスターは6ホール、ウルヴァリンは4ホール、ヘリテイジは5ホールと3足すべて違っている。
羽根の大きさは同じのようだが、穴の間隔を変えている。
よりフォーマルなモデルのアイレット数を増やしているのは、エドモンズ流のやり方でわかりやすい。

トゥにはマックアリスターとヘリテイジにメダリオンが入っている。
これにより、トゥ部分のパーツの奥行きが、飾りのないウルヴァリンと違っている。
ところがウイングの形状は、ヘリテイジのみが下方に緩やかに流しており、マックアリスターとウルヴァリンはカーブを描いて下に落としている。
これは本来ゴルフシューズのヘリテイジが、ツートンのパーツを明確に区分けする華やかなデザインを取っているためだろう。
マックアリスターのようなカーブさせる形状だと、ヴァンプ部分の色分けが中途半端に途切れてしまうのだ。

さらにヴァンプの部分の構成パーツを見ると、マックアリスターとウルヴァリンは2枚の革が覆いかぶさるようになっているが、ヘリテイジは羽根との区切りの部分にもう一枚細長いパーツを使い、3枚の革を使っているのがわかる。
これによりパーツを明確に分割し、ツートンのデザインを強調しているのだ。

一方その上の羽根のふち部分を見ると、マックアリスターとヘリテイジは履き口にまで伸びた独立したパーツが使われている。
それに対しウルヴァリンは、サイドのパーツと一体化され、簡略化された構造になっている。
そこにミシンの縫い目を入れることで、デザイン上のバランスを取っている。

ウイングチップは構成パーツが多いが、細部を観察するとこのように非常に面白い。
同じ型を使っているようで、それぞれが少しずつ変えてあるのだ。
フォーマルなマックアリスター、カジュアルなウルヴァリン、華やかなヘリテイジ・・・
それぞれのモデルの成り立ち、使われ方、コスト的な制約などの条件を考えて、デザイナーの創意工夫が生かされているのだ。

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