鹿


SIGMA DP1 Merrill

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ペットショップで鹿を売っていた。
こんがり焼いたトーストのような、小麦色の毛並みを見て、飼ってみたくなった。
聞くと6匹セットでしか販売しないという。
オスが3匹、メスが3匹。
それらが1mくらいの水槽の中に入っている。
水槽の中央にまとまって、毛皮の塊のように、身を寄せ合っている。

こんな小さな水槽で、鹿が飼えるのだろうかと思い、店員さんに聞いてみると、
「鹿は臆病だから、真ん中に集まる習性があるんです。大きすぎては、怖がるので駄目なんです」
と教えてくれた。

仕方ないので、6匹セットで買った。
いくら払ったか覚えていないが、大した額ではなかった。
鹿の入った1mの水槽を持ち上げると、持てない重さではない。
それを抱えて、家に持ち帰った。

自分の部屋まで持ってきて、窓際に水槽を置いてみた。
鹿は水槽の中で、中央に固まっておどおどしている。
僕の散らかった部屋を怖がっているのか、ぶるぶると震えている。
この様子では、手からエサを食べるようになるまで、時間がかかるかもしれない。
飼ってみてあまり面白いペットではなさそうだ。

後先考えずに買ってしまったが、これがMrs.COLKIDにみつかったら大変なことになると気付いた。
こんな臭い生き物を家に持ち込むなんて、絶対許してくれるはずがない。
日光にでも捨ててくるように言われるに違いない。
これはえらいものを買ってしまった・・・どう言い訳しようか。

と、そこで目が覚めた。
ホテルの天井が見えた。

出張から帰ってみると、Mrs.COLKIDと母親で旅行に行く計画を立てていた。
奈良ホテルに泊まりに行くという。
あなたも行くかと聞かれた。

奈良に何をしに行くの?鹿でも見るの?・・と言おうとして、昨晩の夢のことを思い出した。
そうか、それで鹿の夢を見たのかと、そのことを不思議にも思わず、ごく自然に納得した。
あなたにアリソン・デュボアのように予知夢を見る能力があるとは知らなかった・・と、Mrs.COLKIDから言われた。
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