酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

ブリランテ&フェノーメノ~愛と意地の日本ダービー

2012-05-25 22:27:30 | 競馬
 河本準一の謝罪会見が、仕事先のフロアに流れていた。経緯からしてメディアのサンドバッグになるのは当然だが、何をやってもお目こぼしされる輩がいる。<原子力村>の住人たちだ。

 内閣原子力委に属する推進派(経産省や電気事業者など)が秘密会議を開き、総合評価を書き換えて小委員会に提出していたことが、毎日新聞のスクープ(24日付朝刊)で明らかになった。続報によれば、同様の会合は昨秋から20回以上に及び、近藤委員長も4回、出席したという。4号機の深刻な現状、放射能汚染が若い世代を蝕む可能性など一顧だにしない<原子力村>は、良心や倫理とは無縁の〝獣の巣窟〟と断じていいだろう。

 毎日の報道を受け、昨日の「報道ステーション」に飯田哲也氏が出演した。<原子力村>の国民愚民視、閉鎖性、上から目線を批判する過程で、残念なことに飯田氏は差別表現を用いてしまった。権力に対峙する側には高いハードルが求められる。それが脱原発なら尚更で、小さなことで足をすくわれかねない。

 明後日の日本ダービーを格別な思いで迎える。POG指名馬のディープブリランテとフェノーメノが出走するからだ。ワールドエースとゴールドシップが前々日売りで単勝2倍台と人気を集める中、ブリランテは離れた3番人気(13・5倍)、フェノーメノは7番人気(23・1倍)とおいしい配当になっている。両馬の馬連⑩⑪は71・5倍で、ワイドでも20倍超だ。

 射幸心と肉親の情で判断が鈍るのは致し方ないが、<ワールドエースとゴールドシップの2強対決>という図式はピンとこない。ワールドエースは爪、ゴールドシップは気負いと懸念材料があり、ともに調教は控え気味だった。

 ブリランテはかかる気性が問題で、フェノーメノには〝青葉賞馬は勝てない〟というジンクスが立ちはだかる。同一馬主(サンデーレーシング)のヤンチャ坊主で、ともに岩田のお手馬だった。先行して差されるブリランテに、「外国人なら上手に御せるのに」……。中山でフェノーメノの能力を引き出せなかった時は、「騎手を代えろ」……。岩田は両馬の騎乗で批判の矢面に立たされた。

 更なる試練が岩田を襲う。NHKマイルCで落馬事故の原因をつくって失格となり、4日間の騎乗停止処分を受けた。〝災いを転じて福となす〟とはこのことで、岩田はこの2週間、ブリランテに付きっきりになる。<愛>を込めて接し、人馬の絆を育んだ。調教の動きは超抜で、気性をなだめる秘策(馬具)も用意したという。

 一方のフェノーメノは、ベストディール回避で空いていた蛯名を鞍上に据える。オークスではレース中の故障もあり、1番人気ミッドサマーフェアで⑬着と惨敗した。先週のというより、過去19回のダービーの雪辱を果たしたいというのが、蛯名の本音だろう、ベテランジョッキーの<意地>を懸けた大一番だ。

 先週の府中の芝は異常な高速馬場だった。オークス直前のフリーウェイSで1分19秒6のレコードで勝利したのは、10年度のPOG指名馬ミトラである。新馬戦の芝で⑫着惨敗後、ダートに戦いの場を移して頭角を現した同馬がスピードで圧倒するなんて、俺は今も信じられない。奇跡を現実にする〝亜空間〟馬場で、ダービーはいかなる結末を迎えるのだろうか。

 週明けからいれ込み気味だったが、ブリランテとフェノーメノがともに掲示板を外しても、さして落胆しない。POGの継続が決まり、心は既に来年のダービーに向かっているからだ。アンドレ・マルローいわく、「希望とは人間にとって最大かつ最後の病」……。〝負け続けた男〟の心に、痛いほど染みる言葉である。

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