酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

中高年のオアシスを守れ~接骨院の“不正”を弁護する

2008-06-04 00:38:21 | 戯れ言
 旧聞に属するが、シドニー・ポラック監督が亡くなった。「ひとりぼっちの青春」(70年)に描かれた虚しさ、やるせなさ、孤独は、俺の人生の主音でもある。名匠の冥福を祈りたい。

 インテルがリーグ3連覇のマンチーニを切り、モウリーニョ(チェルシー前監督)を招請した。プレミアに躍動感を植え付けたモウリーニョが、欧州一のタレント集団をどう変えるか楽しみである。

 さて、本題。今回は<やせ蛙 負けるな一茶 ここにあり>の心境で記したい。

 <保険のきくマッサージ施設と勘違いしている利用者を、けが人として扱い、(健康保険を)不正請求する柔整師が多いことをうかがわせる……>(6月1日付朝日新聞1面)。

 <社会の公器>が接骨院の”不正”を取り上げた。記事は真実を穿っており、”法廷荒らし”猪狩文助でさえ無罪を勝ち取るのは不可能だ。それでも俺は、朝日記者が言及しなかった背景を示し、情状酌量を主張する。

 子供の頃から接骨院に親しんできた。夫婦喧嘩で卓袱台を蹴飛ばした父は、星一徹のように見えを切るつもりが、足指の痛みで泣き顔になる。父のお供で訪ねて以来、俺は接骨院の常連になった。階段を踏み外すわ、石を踏むわ、走って転ぶわ、不注意ゆえ捻挫と打撲が習慣になっている。

 接骨院というと、体格のいい柔整師をイメージされるかもしれないが、武道未経験の若い理学療法士が増えている。環境音楽が流れる清潔な院内で、肉体の綻びが健康保険証を用いて施療される。不正請求の謗りは免れないが、大半の肩凝りや腰痛は労災ではないか。

 ガテン系、事務系、主婦業問わず、すべての仕事は特定の部位に過重な負担を強いている。一日中パソコンとにらめっこしている人が体調不良を訴えたって、聞く耳を持つ会社は少ない。肩凝りや腰痛を労災に含めるのも一つの案だと思う。

 接骨院に通う年金生活者は、施療中や待合室の会話で心の癒やしを得ている。保険を適用できないと治療費は数倍に膨らみ、結果としてオアシスを失うことになる。月数万円などはした金に過ぎない朝日記者に見えっこない現実が、そこにあるのだ。

 EU並みに<同一労働/同一賃金>が法制化されたら、非正規雇用者や下請け会社を収奪しているメディアの社員たちは、怒りの声を上げるはずだ。今回の朝日の記事に<貴族階級>の浅さと奢りを感じた俺は、間違いなく<下層階級>の一員である。


コメント (6)
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