酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

土曜の夜は「ハチワンダイバー」

2008-06-15 01:16:25 | 戯れ言
 岩手・宮城内陸地震の被害に遭われた方には申し訳ないが、今回のテーマは軽くて薄い。

 10代の頃、家にテレビは1台しかなかった。妹とのチャンネル争いでは、譲った記憶が一度もない。今更ながらわがままな自分を、サル並みに反省している。

 日テレはワールドカップ3次予選⇒「ごくせん」、フジは「古畑任三郎」変則2本立て、テレ朝は「相棒」編集版……。昨夜(14日)は録画機器がなかったら、家族の団欒を保てなかったのでは。

 ちなみに俺は、午後8時から0時まで「競馬予想TV!」、「CSI科学捜査班」、「CSIニューヨーク」を録画し、リアルタイムで「ハチワンダイバー」を見た。人気漫画(柴田ヨクサル)のドラマ化だが、原作は読んでいない。舞台は通り魔事件が起きたばかりの秋葉原だ。

 主人公の菅田健太郎(溝端淳平)はプロ棋士を目指したものの、年齢制限で奨励会退会を余儀なくされた。現在は賭け将棋で生計を立てる真剣師である。菅田は追い詰められると、81マス(将棋盤)の底にダイブし、気息を整え勝負手を放つ。

 設定は荒唐無稽だが、将棋の残酷さと魔性がリアルに描かれている。サンドウイッチマンの富澤と角田がいい味を出しているし、大杉漣、劇団ひとり、京本政樹らが個性的な真剣師を演じている。里花(安田美沙子)の関西弁が耳に心地よく、将棋道場主の娘(木下優樹菜)の謎めいた動きも気になる。

 見る者(男だけ?)を魅了するのが、中静そよ役の仲里依紗だ。そよは菅田を一蹴した女真剣師だが、派遣お掃除メイド(源氏名はみるく)という別の顔も持っている。将棋一筋の童貞青年菅田にとって、そよは癒やし、欲望、愛、そして乗り越えるべき対象でもある。仲はそよと同じ19歳だが、若さに似合わず包容力を表現できる女優だ。カメラが執拗に追う巨乳に、嫌でも目が行ってしまうけど……。

 将棋界は3年前、奨励会退会者に門戸を開いた。再チャレンジで夢を実現したのは瀬川晶司4段である。菅田が瀬川4段と同じ道を歩むのか、真剣師のままプロを粉砕するのか、今後の展開を楽しみだ。

 <テレビばかり見ているとアホになり、人格的成長が止まる>という仮説を、俺は身をもって証明した。この30年、俺はテレビを見続けたが、妹は誰に対してもチャンネル権を放棄した。日々の積み重ねが結果になって表れる。

 30代半ばからピアノを学んだ妹は今、子供たちを教える傍ら、友人と定期的に演奏会を開いている。書きためた童話を自費出版する夢もあり、実現に向けて準備中だ。人格的にも陶冶されており、周囲の信頼も絶大だ。テレビ視聴時間の差が、<愚兄賢妹>に繋がった一つの理由であることは間違いない。

 テレビは俺にとって、<仮初のシェルター>であり、<バーチャルな現実>への入り口でもある。俺は安らぎと引き換えに心と頭脳をスポイルされた<TVジャンキー>なのだ。<自然災害、世界情勢、政治、スポーツの勝敗、ドラマの展開を、等価値、等距離で眺める>というのが、カルテに書き込まれた病状である。

 しまった、EURO'08が始まってる。テレビをつけた瞬間、トーレスのゴールでスペインが先制した。


コメント
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