弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

消費者物価2.2%低下

2009-09-01 22:02:54 | 歴史・社会
いよいよ民主党政権が発足することになりました。
いざこうなってみると、期待よりも心配の方が多くなります。
外交政策において、民主党政権は日米関係を毀損することなく振る舞うことができるだろうか。早速鳩山論文の抜粋がニューヨークタイムスに掲載され、物議を醸しているようです。「論文の真意はそこにない」というのが民主党の言い分のようなので、そうであればはやく誤解を解く努力をしてほしいです。
経済政策も、マニフェストレベルでは経済成長の方向は示されず、ばらまき政策のみが目立っています。政権与党としての見識をはやく見せてほしいです。

消費者物価2.2%下落=マイナス幅、過去最大更新-7月
8月28日9時0分配信 時事通信
「総務省が28日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2.2%低下の100.1となった。マイナスは5カ月連続で、比較可能な1971年1月以降で下落幅は3カ月連続で最大を更新した。前年にガソリンなどの価格が急上昇した反動が出た。
 マイナス幅が2%以上となるのは初めて。生鮮食品を含めた総合指数は2.2%、エネルギーや食料を除いた指数も0.9%それぞれ下落しており、デフレ傾向が一層鮮明になってきた。
 7月はガソリンが30.5%値下がりしたほか、灯油も43.4%下落。電力・ガス料金の値下げも物価を押し下げた。
 生鮮食品を除く食料は0.1%上昇したが、プラス幅は前月(0.5%)から縮小した。このほか、洗濯用洗剤など家事用消耗品の価格も下落に転じた。」

デフレ傾向がはっきりしたとき、どのような金融政策をとるべきでしょうか。

最近、高橋洋一氏の著書を連続して読んだので、私の頭の中では取るべき政策は明確です。
1.適正なインフレ率は1~3%である。
2.適正インフレ率を下回るデフレ傾向に陥ったら、日銀はマネーの供給を増やすべきである。
3.その手段は、市中銀行から国債を買い取ればよい。

しかし、日銀の方針はそうではありません。
8月29日の日経朝刊には以下の記事があります。
『日銀、追加緩和圧力を警戒
日銀が消費者物価の下落に頭を痛めている。「ゼロ~2%程度の上昇」という中長期的な物価安定の目安に対して大幅に下振れし、短期的に上昇に転じる展望もみえにくいからだ。「長い目でプラスに転じる展望が描ければ大丈夫」と予防線を張るが、追加緩和の圧力に火がつく可能性もある。
 ・・・
・・・デフレスパイラル(物価下落と景気後退の連鎖)がじわじわ起こる可能性も残る。「政策金利はすでにゼロに近く「短期的に物価を押し上げる政策は持っていない」(水野温氏審議委員)。現行の企業金融支援などを続けつつ内需が回復に転じるのを待つしかない状況だ。』

「日銀がマネーを供給して金融緩和」との方策は一言も出てきません。そもそも、物価指数には上方バイアスがあるので、上昇率1%程度でちょうどとんとんだと、高橋氏は述べています

高橋洋一著「さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白」におもしろい話が紹介されています。

『2008年の大学入試センター試験で面白い問題があった。
「(問)金融政策について、中央銀行が行うと考えられる政策として最も適当なものを以下から選べ
①デフレが進んでいる時に通貨供給量を減少させる、②インフレが進んでいる時に預金準備率を引き下げる、③不況期に市中銀行から国債を買い入れる、④好況期に市中銀行に資金を貸す際の金利を引き下げる」
ある日銀担当記者のブログには、「日銀マンはこの問には答えられない」と書いてある。たしかに、この間、日銀はデフレが解消されていないにもかかわらず、ハイパワード・マネーを減少させ、市中国債の買い切りオペの増額をしなかった。つまり日銀は①を行い③を行わなかったわけで、日銀マンにこの問題を出せば、「正解は①」と答えるかも知れない。
しかし、もちろん、大学入試センター試験の正解は③である。
なぜデフレでも日銀はお金を増やさないのか。突き詰めれば、それは日銀に染みついたDNAに起因する。ハイパワード・マネーを増やすには日銀が国債を購入しなくてはならない。国債の購入は、日銀にとっては大蔵省への屈服、敗北を意味する。日銀の強烈なエリートとしての矜持が、それを許さないのだ。
根は深い。戦前、軍備拡張路線を受けて日銀は国債を際限なく引き受け、そのつけで終戦後、ハイパー・インフレになった。いわば羮に懲りて膾を吹くあまり、経済合理性とは関係なく、組織のDNAとして国債は買わない。国債引き受けは、日銀の屈辱の歴史なのだ。
いってみれば、日銀のつまらないメンツのせいで日本はいつまでもデフレから抜け出せないのである。』

日銀が、自分のDNAから正しい政策を実行できないことはさておき、日経新聞はなぜその点を追求しないのでしょうか。
それとも、「デフレが進んだら日銀は市中銀行から国債を買い入れるべき」という政策は、高橋洋一氏、アメリカのバーナンキFRB議長、学者のクルーグマン氏などの少数意見に過ぎず、考慮する価値がないとういことでしょうか。
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