弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

アフガン・デフレ・亀井大臣・対米外交

2009-11-01 12:44:49 | 歴史・社会
10月31日の日経朝刊には、メモしておきたい記事が満載でした。

《アフガン支援》
「政府は30日、新たなアフガニスタン復興支援策の骨格を固めた。幹線道路などのインフラ整備を進めるとともに、農地確保のための治水・灌漑技術を供与する。反政府武装勢力タリバンの元兵士の社会復帰を促すため、2010年から5年間で、総額40億~50億ドルの支援を検討している。・・政府は01~09年に約17.9億ドルのアフガン支援を実施済み。・・・拠出資金はこれまで同様、国際機関を経由する計画だ。・・・政府は国際協力機構(JICA)の拠点での職業訓練に加え、アフガン人の職業訓練士候補を日本に招き日本の民間企業で研修を受けさせることも検討。元タリバン兵士には職業訓練中も毎月100~200ドルの給料を支払って生活を保障し、社会復帰を後押しする。」
えっ、これだけですか。
アフガンへの人の派遣については、従来からJICAが行っている域を出ないように読み取れます。ただ拠出するお金を増やしただけ、と見られるでしょう。
そのお金の出し方ですが、現在も日本はアフガニスタンにお金を援助し、警察官の給料を支援しているとのことです。ところが、先日も報告した伊勢崎賢治氏のテレビ出演では、日本は国際機関にお金を預けたきり、そのお金が目的とする警察官の給料支払いに実際に使われたかどうか、全く検証していないというのです。上記新聞記事には「拠出資金はこれまで同様、国際機関を経由する計画だ」とあり、5年間に50億ドルを拠出はするが、その使途が目的通りに使われたかどうか、今まで通り無頓着でいるのでしょうか。

現地に人を派遣することについては、何も進展がないのでしょうか。
伊勢崎氏は上記のテレビ番組で、「アメリカにもEU諸国にもできない、カルザイ政権とタリバーンとの講和の仲介を、日本が主導して行うべきだ」と意見を述べられていました。その意見は、結局鳩山政権の採用するところとならなかったのでしょうか。

《日銀予測「物価3年連続マイナス」デフレ色長引く恐れ》
「日銀は30日の金融政策決定会合で『経済・物価情勢の展望』(展望リポート)をまとめ、2011年度まで3年連続で消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率がマイナスになるとの見通しを示した。・・・『デフレ』色が強まれば、景気回復の足かせとなりかねない。」
「展望リポートの物価見通しは09年が-1.5%、10年度が-0.8%、11年度が-0.4%。」
「物価見通しは、日銀が物価安定の目安と見る消費者物価上昇率(0~2%)を大幅に下回る。物価押し上げへ、日銀に追加の金融緩和を求める声が高まる可能性もある。」

《社説 政府・日銀はデフレを軽視するな》
「日銀は物価安定のメドとして、消費者物価変動率でゼロ%から2%という水準を挙げている。物価下落つまりデフレは、日銀が望ましいと見る物価変動率を下回った状態である。素直に考えれば、一層の金融緩和が必要になるところだ。
これに対し白川方明総裁は、無担保コール翌日物金利を0.1%とする現在の金融政策を『十分緩和的』という。」
「デフレから脱却できるかどうかのカギを握るのは、企業や家計の中長期的な成長期待が回復し、予想インフレ率が上向くことである。この点でショッキングだったのは、経済が無理なく成長できる潜在成長率の推計が、今回の『展望リポート』で従来の1%前後から0%台半ばに下方修正されたことである。・・・現実に即していえば、企業や家計の行動がますます慎重になり、低成長のワナにはまり込みかねまい。・・・潜在成長率を回復させるためには、日銀ばかりではなく経済活性化に向けた政府の取り組みが欠かせない。現状ではその戦略は著しく欠如している。政府と日銀が足並みをそろえた成長戦略を打ち出さないことには、日本経済の展望も開けない。」

日銀が今後3年間もデフレが続くと予測したのに、当の日銀もそして政府も、危機意識が全く感じられません。マスコミもそのことをただ報じるだけで、社説で弱々しく意見を述べるのみです。
高橋洋一氏は、デフレから脱却するためには日銀がマネーを供給すべきである、という意見です(こちらこちら)。しかし世のマスコミは、このような意見をまったくと言っていいほど表明しません。高橋氏が少数意見なのであって、世の中の通説は「マネー供給はデフレ対策にならない」になっているのでしょうか。
ところで、今の日銀総裁を選択する道を開いたのは当時野党の民主党でした。民主党政権と現在の日銀には、「日銀の金融政策でデフレを脱却すべきである」との意思は皆無のようです。

《亀井大臣の傍若無人》
「代表質問 民主ペースに終始 閣僚は型破り答弁」
「亀井静香郵政・金融担当相の答弁は10分近くに及び、『演説』の様相となった。」
「寸言」
「『わたしは今、国連安保理の(常任)理事国の立場にいる。わたしがノーと言ったらおしまい』(国民新党代表の亀井静香・郵政・金融担当相が30日、広島市内での自身の国政報告会で、鳩山内閣での影響力を誇示)」

亀井大臣の傍若無人ぶり、どうにかならないでしょうか。これに対して鳩山首相はノーコントロールですね。“来年の参議院選挙で民主党が過半数をとるまでの我慢”と思って耐えているのでしょうか。
しかしこのように亀井大臣を調子づかせておくと、そもそも民主党連立政権の屋台骨にひびが入り、来年の参議院選挙まで政権の人気が続かないのではと危惧します。

《日米外交》
普天間基地の移設問題では、閣僚間での混乱が続いています。
岡田外相は、嘉手納基地への統合案を提案し、この提案が「個人的」と言ってみたり「外相として」と言ってみたり自分自身で迷走しています。首相、外相、防衛相の3人の見解は隔たったままです。鳩山首相も対米交渉の強硬姿勢を崩しません。まあ、今までの自民党政権時代があまりにも米国の言いなりでありすぎたことは確かであり、ある程度の強硬姿勢を取ることは妥当と思いますが、現在の鳩山首相の強硬姿勢、ちゃんと着地点を見通した上での姿勢なのかどうか、それとも単に選挙公約に縛られているだけなのか、心配になります。

とうとう米国は不快感を表し始めたようです。
米が対日政策で異例の協議、「普天間」で焦燥
『11月1日3時13分配信 読売新聞
 【ワシントン=小川聡】沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題をはじめとした鳩山政権の対米姿勢をめぐり、米政府が一段と不信感を強めている。
  ・・・
 米政府はゲーツ国防長官が10月20~21日に訪日した際、普天間移設をめぐって沖縄県が求めていた微修正を容認する考えを表明。鳩山政権が現行案を受け入れやすい環境整備に努める一方、現行案以外の普天間移設は「実行不可能」とし、オバマ大統領訪日までに決着するよう強く求めてきた。
 しかし、鳩山政権が同問題の解決に向けて意思統一を図らないうえ、岡田外相が米軍嘉手納基地への統合案にこだわる姿勢を強調したりしていることに、「大統領訪日の際にも何を言われるかわからない。鳩山政権の大臣たちは信頼できない」(国務省筋)と危機感を強めている。
 首相はさらに29日、「日米同盟のあり方全般について、包括的なレビュー(再検討)を新政権として行いたい」と国会で答弁。在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の見直しにも言及した。思いやり予算の削減はゲーツ長官が来日時にわざわざクギを刺して慎重対応を求めた課題で、ある米政府関係者は「大統領訪日前に発言するとは、鳩山政権はどういうつもりなのか」と不快感をあらわにした。
 オバマ大統領は現在、アフガニスタンへの増派問題と医療保険制度改革法案という、国民の賛否を二分する大問題を抱え、政権基盤も不安定化している。大統領訪日で、日本からインド洋の給油活動の撤収を伝えられ、普天間問題でも合意履行への同意を取り付けられないようなら、「大統領の訪日は失敗だったと保守派から批判されるのは必至だ」(米議会筋)。このため、政権内ではここへきて、「このまま衝突するのだったら、大統領の訪日を取りやめた方がいい」といった厳しい意見が出始めている。 」』
コメント
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